<第40回>新GHC王者・秋山への期待(06.1.25)

 秋山が3年9ヵ月ぶりにGHC王者に返り咲いた。この1〜2年の秋山は裏に回ってノアに味付けする"策士"的なポジションに自ら身を置いていて、もったいないなあという気がしていただけに、今回の"本気"は嬉しいことだ。

 だが、ここで秋山が打って出たということは「若い奴らに任せておけない!」という厳しい決断でもあり、KENTAや丸藤らの熱いジュニア・ヘビーに押され気味のヘビー級に対する活でもある。ベルトを取った時に秋山は言った。 「ジュニアが体を削ってやっているのに、ヘビーがそれにオンブにダッコでいいのか。リキ(力皇)、森嶋、ヨネ…ちゃんとやってくれ。世代交代、世代交代って、まず横の人間を倒してから世代交代だろ。みんなで上を狙うことは有り得ないんだから。他の人間もそう。佐野さんもそうだし、斉藤さんもノアに入ってそれで終わりかって。田上さんもベルトを落としてホッとして、永源さんの後を狙ってるかもしれないけど、まだまだ休ませませんよ」。

 いちいち秋山の言葉には説得力があるのだ。また、こうも言っている。 「ベルトはずっと腰に巻かない。みんなのヒーロー、小橋建太を倒すまではね。あそこまで高められたベルトは、なかなか巻けませんよ。みんなファッションのように巻いていたけど、一体、どんな気持ちで巻いていたのか聞いてみたいですね」。

 去年あたりから新日本に取って代わって"日本プロレス界の盟主"と呼ばれるノアだが、秋山の危機感は大きい。秋山のこの危機感、持って生まれたセンス、覚悟がどういう形で表れてくるか…ノアは刺激的な新王者誕生で変革の時を迎える。

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<第39回>諏訪間の行動は是か非か?(06.1.18)

 このところリング外の話題が多いので、ここではリング上の出来事について書きたいと思う。それは1・8大阪で突如、VM入りを表明した諏訪間幸平の行動は是か非か、という問題。結構、ネットでも取り上げられているようなので、私なりの考え方を書こう。

 結論から言えば、私は賛成派。アマレスでの実績から"ジャンボ鶴田2世"として売り出されてきた諏訪間だが、私はむしろ、こちらの方に違和感を覚えていた。なぜならジャンボと諏訪間は、イメージ的に全然違うからだ。ジャンボはスラリとした体で躍動感溢れる若々しいファイトを売り物にしていた。対する諏訪間はズングリムックリの体型。むしろ谷津嘉章2世と言った方がピンとくる。にもかかわらず、ジャンボのイメージを求められたことは、諏訪間にとっても苦痛だったと思う。

 ハッキリ言って、私は諏訪間を過小評価していた。だが、それが変わったのは1月3日。ブルート一生のデビュー戦の相手を務めた時だ。諏訪間とブルートはアマレス時代に戦っていた間柄。ところがプロになってからの1年3ヵ月が、いかに遠い距離かを諏訪間は見せつけたのだ。エルボー一発にしても当たりが違うし、厳しく攻めていながら、ちゃんとブルートの良さを引き出す。これはキャリア1年程度の新人レスラーにはできない芸当だ。また、普段とは違う憎々しさも良かった。この本当のキャラを活かさない手はないだろう。

 小島は諏訪間の行動を容認している。ただし「自分の責任は自分で取れ」とも言う。これは正解。この諏訪間の行動が、いわゆるアングルと呼ばれるものに終わってしまうか、それとも、かつての長州力が「俺は噛ませ犬じゃない!」と発言して一気に革命戦士としてブレイクしたように、諏訪間のきっかけになるかは諏訪間本人次第。長州は、噛ませ犬発言にレスラーとしての全人生を懸けたからこそ、ファンに支持されたのである。

 果たして諏訪間にそれだけの覚悟があるのか? レスラーとしての資質は十分なだけに、2月3日からスタートする新シリーズからの諏訪間に注目したい。


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<第38回>06年も全日本は侮れない!(06.1.11)在

 ジャマールのWWE復帰、バーナードの新日本転出、チーム3Dの来日キャンセル、曙の卒業。フロント面では青木&高橋の元取締役が新団体キングスロードを立ち上げ、武藤の懐刀だった渡辺秀幸氏が退社…と、実は新日本に負けず劣らずのゴタゴタ続きの全日本。ようやく認知されてきた武藤のパッケージ・プロレスがグラつきかねない状況だが、それでも全日本のエネルギーは06年も健在だ。

 正月シリーズ、様々なマイナス要素がどう出てくることかと心配したが、リング上は戦力ダウンを感じさせなかった。その大きな理由のひとつには健介ファミリー、AKIRA、東京愚連隊というフリー選手も含めて、選手たちが一丸となって"全日本を盛り上げよう!"と同じ方向を向いていること。その空気が試合を通して観客に伝わっているのである。

 そして04年秋からのストーリー性重視の方針を変えずに続けているのもいい。ケアがRODを離脱してVMに行きそうな気配があったと思ったら、最終戦の1・8大阪大会で何と諏訪間が電撃VM入りをするというドンデン返し。WWE並みの想定外ドラマが待ち受けていた。

 諏訪間が入ったことで、VMはバーナードが抜けた穴が埋められるだろうし、これは諏訪間にとってもチャンス。去年の秋から曙の陰に隠れてしまったものの、キャリア1年3ヵ月とは思えないほどの技量とセンスを持った男である。ここでヒール・ターンすることで新たな一面が見られるだろう。ここで、もう一方の勢力RODをどう立て直すか…。

 全日本のいいところは、基本的にビッグネームに頼るのではなく、自分の団体内の選手を育て、加工して独自の世界を作ること。他力本願ではないところだ。こうした苦しい時にこそ、武藤敬司のプロレス頭の発揮のしどころ。06年も全日本プロレスは侮れないぞ!

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<第37回>2006年1月4日=東京ドームを終えて(06.1.4)

 新日本プロレスの再生をかけた1・4東京ドームが終わった。ドーム大会と言えば、一種のお祭りだが、今回はお祭りではない。あらゆる意味で闘いである。メインのレスナーVS中邑の試合前にアントニオ猪木がリングに上がって、例によってパフォーマンスを行なったが、ハッキリ言って、これは無用だった。生まれ変わろうとしている今の新日本に猪木の匂いはいらない。皮肉にも観客が一体となって盛り上がったのは、いつものように猪木が登場した時だったが、そんな中でブーイングを飛ばすファン、「帰れよ!」と野次るファンがいたのも事実。もはや猪木は神ではない。猪木を新日本凋落のA級戦犯とみなしているファンもいるということである。

 ここでお断りしておきたいのは、今日のドーム大会は25時10分〜28時55分までテレビ朝日で放映されるために結果は29時以降までお伝えできないことになっているということ。だが、プロレスは結果がすべてではないから、総括を書くことはできる。

 観客動員的には昨年の1・4と同じくらい。今日のダイアリーにも書いたが、新日本VSインディーというしっかりした柱が立っていたものの、世間一般にアピールするものではないし、各団体の思惑もあって、大会前の選手同士による言葉のキャッチボールが行なわれなかったため、事前の盛り上げが十分ではなかった。こうしたことが、観客動員に響いたのだろう。チケットを買う側からすれば、買ってから試合当日まで、あれこれ考えるのもチケット代のうちなのだ。

 さて、肝心の試合内容だが、どの試合も選手に気合いが入っていたと思う。無駄と思える試合はなかった。みんな再生に必死なのが伝わってきたのはよかった。だが、信頼を取り戻すのは並大抵でないことを選手も新日本関係者も痛感したことだろう。

 全盛期の新日本のドームだと、このリングに上がる他団体のレスラーは"さらし者"になることを覚悟しなければならなかった。新日本の対戦相手だけではなく、ドームの観客全員と闘う覚悟がなければ、とてもじゃなければ上がれなかった。だが、今回は新日本VSインディーという対立概念がハッキリしていたにもかかわらず、観客に新日本のレスラーを強力にサポートしようというムードはなかった。
 試合のところどころで盛り上がるが、新日本コールや、新日本の選手への圧倒的なコールはなし。冷静に試合を見極めようと姿勢なのだ。それだけ新日本信者と言われる人たちが減っているということだろう。言い方を変えれば、求心力がないのだ。これが今の現実である。ただ、重ねて書いておきたいのは、決して試合内容は悪くなかったということ。この1・4をスタートとして、再び新日本が信頼と人気を取り戻すには2年ぐらいの月日が必要だと思う。そのぐらいの覚悟を持ってやってほしい。

 最後に、テレビ観戦ガイド用として印象に残ったことを書いておこう。
@山本VS崔=いかにも若手の団体対抗戦といった感じの溌剌さ。
Aタイガー&稔VS高岩&石井=対戦相手の高岩&石井だけでなく、パートナーのタイガーまで食ってしまう稔のしたたかさ。このあたりはさすがにバトラーツというインディー出だという気がした。
B藤波軍VS長州軍=藤波軍の長州に対する感情、長州のインディーで頑張っている人間に光を当てたいという気持ちが伝わってきた。
C棚橋VS柴田=共に自分の信念を貫いた試合。今大会のベストバウト!だと私は思っている。
D中西VSバーナード=中西の"想定外のファイト"に注目!
E蝶野&天山VS大森&越中=これは棚橋VS柴田に次ぐ好試合だったと思う。大森の弾けっぷりが良かった。


あとは、それぞれが自分の眼で判断してください。大会終了後の時点で私が書けることは以上です。


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<第36回>恐るべし!総合格闘技パワー(05.12.28)

 今年の年末も『Dynamite!!』と『男祭り』の2大総合格闘技イベントが世間の話題を独占している。これはもう、今のプロレスでは太刀打ちできないパワーとスケールの大きさを持っている。

『Dynamite!!』は曙VSボビー・オロゴン、シドニー五輪メダリスト永田克彦のプロデビュー、KIDVS須藤、武蔵VSサップ、さらには魔裟斗の参戦決定…と、テレビを意識した一般大衆を取り込むようなラインナップ。一方の『男祭り』は小川VS吉田を筆頭に極上の総合格闘技を見せようというコンセプトが見える。同じ総合でも、カラーがまるっきり違うところが、さらに興味を持たせてくれる。

 そして『Dynamite!!』が矢沢永吉を担ぎ出せば『男祭り』は韓流スターのクォン・サンウを起用する。もはや両陣営にとって、敵はNHKの『紅白歌合戦』。自軍のイベントを国民的行事として定着させようという意識である。悪い言い方をすれば、かつてはプロレスを踏み台にステップアップしてきた総合格闘技イベントが、もはやプロレスを意識することはなくなったのだ。プロレスを通り過ぎたのである。

 今年の両イベントは紅白を瞬間視聴率で抜くのではないか。それだけの勢い、パワー、魅力を感じる。今年最後のプロレスコラムで総合格闘技イベントについて書くことになったのは、ちょっと寂しい気持ちになる。

 新日本に分裂の噂が立ち、全日本は看板外国人の流出でコンセプトが崩れ…と、プロレス界は相変わらずゴタゴタ続き。ハッキリ言って06年も苦しい年になりそうだ。

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<第35回>老舗2団体の行方(05.12.21)

 年末にきて、新日本&全日本が揺らいでいる。新日本では金本を始め、選手の大量離脱(契約更改せず)が囁かれているし、全日本ではジャマール、バーナードの離脱に続いてチーム3Dが1月シリーズの参加をキャンセルという具合。混迷のマット界にあって老舗2団体がグラつくというのは大問題だ。

 今や両団体共にリセットの時期にきた。新日本のリセットは1・4東京ドームから始まる。ここでの注目は、もはや観客動員数ではない。インディーの選手相手に新日本の選手が何を見せるかである。新日本とインディーはどう違うのか? 新日本の選手たちは、本当に"大国"の中でぬるま湯に浸かっていたのか? すべてがハッキリするのだ。その結果によって自ずと進むべき道が見えてくるだろう。現場監督の長州の本心は、新日本の選手に期待しつつも、一度すべてを破壊した上で作り直していきたいのではないか。破壊なくして創造なしだ。今回の東京ドームは近年の中でも一番注目の東京ドーム大会だと私は思う。

 そして全日本。トップ外国人がいっぺんにいなくなってしまったのだから、これは緊急事態だ。今年1年かけて作り上げてきた外国人レスラーの醍醐味という売りが一瞬にして消えてしまったのである。またまた新たな世界を作っていかなければならない。その一方では、かつての全日本のキャッチフレーズだった『王道』を掲げたキングスロードが旗揚げする。この新団体の選手&フロントはどう見ても武藤・全日本に対する抵抗勢力。これは武藤にとって、武藤=全日本を確立するための戦争と言ってもいい。

 ハッスル、ドラゴンゲート、DDT、大日本…今やプロレス界は独自のスタイルと価値観を確立した団体が支持される時代。伝統的なプロレスを守っているプロレス業界の盟主はノアになっている。そんな中で老舗2団体は何を提示することができるのか? もうブランドは通用しないのだ。


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<第4回>今年のプロレス大賞(05.12.14)

 今年のプロレス大賞が決定した。MVP=小島聡、ベストバウト=小橋VS健介、最優秀タッグチーム=武藤&曙、日高&藤田、殊勲賞=力皇、敢闘賞=中嶋、技能賞=TAKA、新人賞=曙、話題賞=インリン様

 マスコミ各社の代表が集まって、ああでもないこうでもないという議論の末に決まったんだなあと感じる選考だ。年々、プロレス大賞の選考は難しくなっている。この多団体時代では、すべての試合を見るのは不可能だから、見ていない選手や試合に投票するのは無理があるし、スタイルも多種多様で、すべてを同じ線上で見るというのはハッキリ言って不可能なのだ。総合格闘技系とエンターテインメント系でどちらがいい試合だったかなど、比較しろというのが無理な話である。… というカタい話は抜きにして、私なりのプロレス大賞をここで発表させてもらおう。

まず、MVP=該当者なし。今年はプロレス業界全体を引っ張るような選手がいなかったというのが実情だ。小島聡に関して言えば、初の三冠&IWGP統一という偉業を成し遂げた実績は大きい。また、ベルトを獲得した試合(川田戦)、防衛戦もいずれも内容が良かった。だから決して小島のMVPにケチをつけようとは思わない。

私はGAORAの解説をしていることもあって全日本の大会に行くことが多いが、こと全日本のMVPということになると、武藤でも曙でも3Dでもなく、文句なく小島だと思っている。今の全日本はパッケージとしての面白さがウリだが、そうしたバラエティに富んだことができるのも、王者・小島がしっかりとした柱になっているからである。もし柱がしっかりしていなければ、どんなにデコレーションしても"鉄筋量不足"で簡単に崩壊してしまうのだ。小島は今年1年、チャンピオンでありながら、損な役回りを黙々とこなしていた。そんな小島は個人的に好きだ。きっと今回の小島のMVPは、そんな小島の愛社精神への評価もあっただろうし、真の意味で日本マット界の主役になってほしいという希望があったのではないか。

 ベストバウトは難しいところだ。小橋VS健介は、確かに素人には絶対に真似のできない肉体と肉体の真っ向勝負だった。ただ、個人的な好みは、たとえ全盛期よりも衰えたと言われても、同じ東京ドームで行なわれた三沢VS川田を推したい。高校時代からの人生ドラマ、心理戦、受けの妙…と、かなり深い試合だったと思うのだが。

 最優秀タッグチームは日高&藤田で決まり。武藤&曙の同時受賞はちょっと納得がいかない。純粋にタッグチームとして見るなら、日高&藤田の8年にも及ぶチーム歴から繰り出される合体技は芸術品。単独受賞させてあげたかったなあ。

 殊勲賞は小橋からGHCを奪い、新日本の棚橋、ノアの象徴・三沢を撃破したことを考えれば、力皇で妥当か。敢闘賞は中嶋クンでも文句はないが、今年のノアのジュニアを引っ張り、ヘビー級相手にいい味を出したKENTAにあげたい。難しいのは技能賞。これはプロレス特有の解釈があり、いわゆるテクニックではなく、誰とでもいい試合ができることを技能と捉えることもできる。その点からすると川田、鈴木みのるが挙がるだろうし、技術という点では、みちのくの遮那王の空中殺法が凄い。新鮮さを考えるなら、遮那王だ。

 新人賞は私も曙。話題賞はインリン様、HG、逮捕されちゃったけど和泉元彌の3人にあげたいところ。以上、私なりの無責任なプロレス大賞でした!

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<第33回>どうなる!?武藤の理想郷(05.12.7)

 05年は全日本プロレス躍進の年だった。武藤は「これからのプロレスはパッケージとしての面白さを提供しなければファンはついてこない」と言っていたが、この路線は大当たり。

03年秋からの外国人軍団RODがファンに認知され、さらに新外国人軍団ブードゥー・マーダーズ(以下、VM)が加わってボリュームアップ。正直な話、両軍団のメンバーはWWE解雇組だが、TAKAみちのく(ROD)、TARU(VM)というキャラが立った司令塔がいることで、その潜在能力が十二分に引き出された。それによって従来のプロレスの基本であった日本人VS外国人の対立構図が復活し、また両軍団の激突によるスーパーヘビー級対決のド迫力を生んだ。第1試合からファンを飽きさせない、テーマのある緻密なマッチメークも全日本人気の大きな要因となった。

 そして三冠王者・小島、武藤、健介ファミリーがいるのだから万全。下半期から曙、3Dが参戦したことも全日本人気に拍車をかけた。

 このまま行けば全日本は安泰なはずだが、そうスムーズに行かないのが、この世界。RODのトップ外国人ジャマールのWWE復帰が決定し、その一方ではVMのトップのバーナードも06年から新日本に転出することが、ほぼ決まったのだ。RODとVMのトップがいなくなると、今の路線を維持するのは難しい。06年は、またまた新しい路線を作らなければならない。そうなると"知恵袋"の渡辺秀幸氏を失ったことも大きい。

「ジャマールにしても、ウチが再生した選手。埋もれている人材を再生するのは得意だから。第2のジャマールを作りますよ」  とは武藤の言葉だが、今、ファンの全日本に対する期待感が高まっているだけに、新路線のハードルは高くなる。武藤のお手並み拝見だ。


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<第32回>ここにプロレスの使命がある!(05.11.30)

 ゼロワンMAXが新潟中越地震のチャリティとして11月26日=小千谷市、27日=十日町で興行を行なった。その模様を28日にサムライTV『NEWS侍!』に出演した時に見させてもらったが、いろいろと考えさせられるものがあった。

 映像は大森隆男が現地の小学校を訪問した映像から始まる。まるで転校生のように緊張し、子供たちと同じ目線で一生懸命、語りかける大森。生真面目な大森の性格丸出しで微笑ましい。一途な大森が子供たちに受け入れられるのは当然だろう。

 そして試合の映像。試合に大喜びの地元の人たち。試合後に大谷が「皆さんを元気づけようと思って来ましたが、逆に私たちが元気づけられました。ありがとうございました」と挨拶していたのが印象的だった。

 こうした映像を見て感じたのは「ここにプロレスの社会的使命があるんだ!」ということ。元々、プロレスは人々を元気づける娯楽である。戦後、日本人は力道山の活躍によって元気づけられた。それこそがプロレスが日本に根付いた原点である。難しいことは抜きにして、日々の嫌なことを忘れ、ストレスを発散し、明日への活力をくれるのがプロレスの原点ではないか。その意味で、このチャリティには大きな意義があったと思う。

 そして、やっぱりプロレスは明るくなくちゃいけない。人々に活力を与えるプロレス界が暗いニュースばかり提供していてはいけないのだ。猪木さんの「元気ですかーっ! 元気があれば何でもできる!」という挨拶も大正解なのだ。

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<第31回>東京ドームに新たな長州イズム(05.11.23)

 長州現場監督の仕切りによる1・4東京ドームの主要カードが決定した。ズバリ、テーマは新日本VSインディーの対抗戦。やはり長州はやってくれた。

かつてはインディー批判をした長州だが、WJ、リキプロでインディーの選手と関わって新たな世界を知った。早くもその経験が生かされたのである。8月にあるムック本の取材でリキプロ道場を訪れた時、長州は私にこう言った。 「インディー? まあ、昔だったら接点はなかっただろうな。でも、頑張っている奴らはいる。日が当たらなくても頑張っている奴らはいるぞ。そこでメジャーだって、あぐらかいてる奴は痛い目を見るぞ!」

 長州は、新日本を離れてから培ったもので新日本と勝負しようとしている。新日本に対して「これでも食らえ!」と、自らの体で、目で確かめた選手をチョイスして"自分がいなかった新日本"と勝負するのである。

 ここで一体、何人の新日本の選手がインディーと呼ばれる選手を凌駕できるのか? 長州流の新日本に対する非常ベルだ。

 現段階では長州と藤波を大将とした10人タッグのメンバーが未定となっているが、ここにぜひとも金村キンタロー、BADBOY非道、田中将斗に入ってほしい。アパッチの金村、非道はリキプロと敵対関係にあるが、ここは対メジャーという意味で長州と組んでもらいたいというのが、私の気持ち。W★ING時代からメジャーに挑み、プロレス=闘いというハッキリした主張がある金村に、新日本で破天荒に暴れてほしいのだ。


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