放送席から観た新生・全日本プロレス旗揚げ戦

 6月30日の両国国技館から2週間…昨日はGAORAの新生・全日本プロレス旗揚げ戦中継の解説席へ。実際には『サマー・アクション・シリーズ』開幕戦だが、武藤・全日本が6・30両国で終焉して新たな体制の出発だから事実上の旗揚げ戦という形で鍵野アナウンサーとともに実況解説に臨んだわけだ。
 そして放送席にはセミファイナルから渕正信も。去就を明らかにしていなかった渕だが、この日の入場セレモニーで諏訪魔に呼び込まれてリングイン。「私は生涯、全日本プロレスです!」と宣言した。この渕の選択は予定調和のように感じる人も多いかもしれないが、それは違う。今回の分裂騒動が起こった時に「全日本プロレスの看板の重さをわかってない!」とえらい剣幕だったのだ。白石社長と会うことすら拒否してまるで聞く耳を持たなかった。やはり昭和のレスラーは頑固なのだ。ただ、その一方では6・30両国終了後、「やっぱり全日本プロレスはいいよねぇ。出来れば、またここ(解説席)に一緒に座れたらいいなとは思うよ」とも言っていた。和田京平レフェリーは「渕君を連れてくるのは諏訪魔の宿題だよ」と言っていたが、諏訪魔の全日本に懸ける熱意が通じたのだろう。きっとあの大歓声を浴びて、渕自身も王道一筋40年で生きてきてよかったと思ったに違いない。90年代にブッカーとして鶴田軍vs超世代軍、四天王時代を支えた渕の存在は、これからの全日本にとって大きいはずだ。
 さて959人という発表観客動員数が話題になっているようだが、実数発表にこだわっていたのは秋山だ。「団体がふたつに割れたんだから、普通はお客さんの数も半分になると考えるんだろうけど、俺は3分の1になると考えるべきだと思うんですよ。全日本も武藤さんのところ(W-1)も3分の1ずつ。残りの3分1は今回の騒動で嫌気がさして来てくれなくなると。そのくらいの厳しさだと思っていて間違いないですよ。だからこそ、みんなが現実を知らなきゃいけない。今までが1000人だったとしたら300人で当たり前。そこからどうやって増やしていくのかが重要なんですよ。だから会社には実数発表にしてくれって注文をつけました」と試合前に言っていた。昨日はあいにくの天気で、ちょうどお客さんが来る時間帯の4時前から雷雨。それを考えたらよく入っていたと思うし、お客さんの観る目も温かかったと思う。
 そして選手たちは緊張していたが、その緊張感の中でお客さんの気持ちに応えよう必死に、誠意を持って闘っていたと思う。ここでひとつ書いておきたいのは、新生・全日本が目指しているのは“ガチンコ格闘プロレス”ではない。全日本の伝統である“明るく楽しく激しいプロレス”である。原点回帰した上で新しい闘いを構築していく。そして一度失ってしまったファンの信頼を取り戻す。その視点で見れば、メインの諏訪魔vs潮﨑豪の一線を越えたような激闘も頷けると思う。正直、開幕からあんな試合をしていたら最終戦までもたないのではないかと心配になるが、彼らは1日1日、その日に会場に足を運んでくれたお客さんにベストを尽くした試合を提供すること、その積み重ねしか信頼を取り戻せないことを知っているのだ。
 87年春に長州力らジャパン・プロレス勢が大量離脱した時、天龍源一郎と阿修羅・原は「後楽園を満員にするところから始めよう」と猛然と走り始めて、そこから鶴龍時代が生まれた。その天龍が90年春に離脱した時には「鶴龍のプロレスを越えるにはどうしたらいいか!?」と試行錯誤しながら三沢光晴、川田利明、小橋建太らが怪物ジャンボ鶴田に挑むことで超世代軍のブームが生まれ、それは四天王プロレスとして完成形になった。
 昨日の後楽園には、そうした先人たちの気概と同じものが感じられ、どこか懐かしさもあった。
 この新生・全日本プロレス旗揚げ戦は23日(火)22:30~25:30の3時間番組としてGAORAで放送される。実際に自分自身の目で新生・全日本のスタートを判断してほしいと思う。

「放送席から観た新生・全日本プロレス旗揚げ戦」への2件のフィードバック

  1. 全日一筋43年(43歳ですが・・・)これからも変わらず応援します。小佐野さんこれからもよろしくお願いします。 

  2. そんな中、PWF、インター、UNの三冠ベルトが馬場元子さんに返還され、新たに一本の統一ベルトが作られることになりました。これ自体は武藤さんの頃からの懸案だったわけで、遅かれ早かれ避けられないことだったと思います。できれば三本別々に作って欲しいとは思いますが、一本だけでもお金をかけていいものを作った方がいいのかもしれません。
    そこで思い付いたのですが、新しいベルトのデザインを一般公募したらいいんじゃないでしょうか。今回の一連のニュースで、全日本プロレスは一種のパブリック・ドメイン…プロレスを愛するみんなのものだと思ったので。どうでしょう?

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