諏訪魔の決断、そして秋山は…

 昨日6月11日は予想外に忙しい1日だった。6月26日(水)発売予定のGスピリッツ第28号の原稿の締切日だったのだが、午前11時30分から全日本プロレス事務所で白石伸生新社長、諏訪魔の記者会見の取材。自宅に戻って原稿を仕上げてから夜はサムライTV『速報!バトル☆メン2000万パワーズ』に出演。ゲストが6・30両国で諏訪魔の三冠王座に挑戦する秋山準だったのだ。このタイミングで秋山がゲストとは、番組的にはオイシイ巡り合わせだったと思うが…。
 両国につながる6月ツアー『CROSS OVER2013』は6月16日の高崎で開幕する。その直前での会見は…もはや現状では仕方がないことだった。5月31日付で武藤敬司が会長の辞任届を提出、内田雅之社長が更迭されて白石オーナーが新社長に就任。白石新社長と武藤派の間で株の返還についての交渉がある一方、武藤が新団体旗揚げを示唆…と、この10日間は様々な情報が飛び交った。当然、選手たちには「あいつはどっち派か?」という好奇の視線が浴びせられる。先シリーズ最終戦の6・2後楽園を前にしての新体制発表について、私はダイアリーの中で、選手やファンへの配慮のないことに苦言を述べさせてもらったが、今回ばかりはシリーズが予定通りに行われることを示す意味でも記者会見をせざるを得なかったと思う。会見前日には7月の『サマー・アクション・シリーズ』の日程も発表された。ただし、当初は『ハイパー・ジュニアリーグ』だったはずなのが名称変更されたということは、選手離脱を想定してのことであることは否定できない。やはり予断を許さない状況なのだ。
 さて、白石新社長の会見だが、6・2後楽園のリング上の挨拶もそうだったが謝罪と反省を口にして、これまでとは随分と違う印象を受けた。これまで白石氏はプロレス村の悪しき習慣云々という発言を繰り返してきたが、どんな業界や社会にも、その世界特有のルールと秩序はあるはずだ。今になって白石氏はそれを実感してきているのではないかという印象を受けた。とはいえ、その言動によって今回の混乱を招いた責任は大きい。武藤&内田の旧経営陣が「この人にはやっぱり任せられない!」と判断したことから分裂騒動はスタートしているのである。今回の騒動で傷ついたのは、本来だったら分かれる必要などなかったのに、否応なしに選択を迫られる選手たち、そしてファンなのだ。
 もちろん、その経緯はどうあれ、譲渡した武藤&内田の旧経営陣も自分たちの落ち度を認めて反省しなければならない。分裂は避けられない状況になってしまった以上は、白石新社長は全日本プロレスというプロレス界の財産を建て直すのが責任の取り方だし、武藤派にはプロレス界を活性化させるようなアクションを起こしてくれることを祈るばかりである。
 そうした中で、最初に自分の選択を明確にしたのが三冠王者の諏訪魔だった。昨日の会見の様子はニコニコプロレスチャンネルでも観ることができるので、ご覧になればわかっていただけると思うが、これほど緊張した諏訪魔は見たことがない。武藤について語る時には目に涙が滲んでいた。馬場さんはおろか、鶴龍時代も四天王時代も知らない生粋の武藤・全日本生まれの諏訪魔だが、子供の頃から全日本のファンだった。中学時代に柔道を始めたのも「全日本でプロレスラーになるなら受け身だろう」というのが動機だったと聞いている。プロになってからは巡業バスのビデオで70年代からの全日本の歴史を勉強した。諏訪魔は自分がいなかった馬場時代から現在の全日本までの流れすべて背負う気概を持っている。そんな諏訪魔だから、今回の決断は当然といえば当然のようにも思える。ただし残留を決意したからには、今後、白石新社長との闘いもあるだろう。これも全日本を守る意味で大きなポイントになる。諏訪魔が選択したのは白石新社長ではなく全日本プロレスなのだ。その意味で武藤の「廃業する気か?」は言い得て妙。すべてをひっくるめての武藤ならではの表現であろう。
 私は今回の諏訪魔の決断をファンの人に非難してほしくないと思っている。いや、諏訪魔だけでなく、選手たちのそれぞれの選択、決断を非難してほしくない。会見後、諏訪魔と少し喋ったが「誰がどういう道を選んだとしても、俺はそれについてわだかまりはないです」と言っていた。それこそ武藤が言うように「今度、会う時はお互いに笑って会えるように」だ。たとえ離れ離れになったとしても、再び相まみえることがあるのは歴史が証明している。
 そして夜のサムライTVでの秋山。秋山及びバーニングの場合はフリーなので所属選手とは立場も契約の形も違う。秋山はフリーになった時に声をかけてくれた武藤&内田に感謝している一方で白石氏と接点があることも隠さない。むしろ所属選手ではないから白石新社長に遠慮なく物言いができるという面も感じられる。
 今現在、秋山が最優先で考えているのは、とにかく16日からスタートするシリーズ&両国をどう盛り上げるかということ。6・23札幌ではSMOP相手に潮﨑との世界タッグ防衛戦があるし、両国は諏訪魔の三冠に挑戦する大一番だ。今の秋山からは「リング外の話題じゃなくてリング上で、試合でファンの目を集中させたい!」というプロレスラーとしての純粋な気持ち。身の振り方を決めるのは両国以降。バーニングはその都度の契約で、6月30日で当面の契約は切れるのだ。「俺らはフリーなんで、オファーがなかったら上がるリングはないんですよ」と笑っていた秋山だが、武藤&内田への恩義か、巡り巡って戻った故郷・全日本への愛着か? 現在、バーニングは世界タッグ、世界ジュニア(金丸)、アジア・タッグ(鼓太郎&青木)と全日本のベルトを保持していることも見逃せない要素。これでもし両国で秋山が三冠を獲ったら…。
 繰り返しになるが…誰がどちらに付こうが、どういう選択をしようが、私はそれを支持したいと思っている。私はこれまで様々な分裂&離脱劇を渦中で取材してきたが、ファン同士、選手同士のいがみ合い、中傷合戦はこりごりなのだ。

「諏訪魔の決断、そして秋山は…」への4件のフィードバック

  1. この先渕さんはどうするんだろう?と思って状況を見ています。やはりかつての吉村道明さんのように、スパっと業界から身を引いてしまうのでしょうか。

  2. この際、武藤選手が白石氏に条件を付けて全選手をこのまま残させてほしい。
    武藤選手は、契約選手として年間何試合か全日のリングに上がればいい。
    無理なんかなあ。

  3. 白石氏に問題もあったこともあるけれど
    暴力事件から和田レフェリーや小島、古くは川田など、全日本から選手を流出しまくってきた武藤の手法は棚にあげちゃう風潮があることに(特に某週刊プロレスなど)げんなりしていたところに
    ちゃんと武藤・内田氏の責任を問うている小佐野さんの指摘はすごく誠実だと思います

  4. 毎回後楽園に観戦しますがいつも空席が、目立ちます。分裂したら、より客が来なくなり両方とも潰れてしまうのでは?GAORA中継は、どうなるのだろう

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