WNCが探求するものは

 昨日はWrestling New Classic(WNC)後楽園大会。4・26新宿FACEでプレ旗揚げ戦を開催してから、東京で6回目の興行だが、様々な伏線を経て、ようやく本編がスタートした印象を受けた。それはTAJIRI&華名を軸とするいわゆる正規軍、AKIRA&朱里&スターバック、大原はじめ&野崎渚&黒潮二郎(昨日の大会で加入)の3派に分かれての抗争。やはり敵味方がハッキリしている方がわかりやすいし、これを大きな柱としつつ、メインテーマの「New Classicとは何か?」「プロレスの魅力は何なのか?」を模索していこうというのが見て取れた。
 本編以外にもバックパッカー・ジョーの登場は私の子供の頃の「未知の外国人選手登場!」だし、VENENOvs高橋星人の「メキシコの神vs宇宙人!」という荒唐無稽さはプロレスならでは非日常空間。どちらもプロレスでは定番の手だが、それを新しく見せてしまうところがTAJIRIプロデュースだ。あるいは他の人間が忘れてしまっている当たり前のことを独自のアレンジを加えて持ち出すのがTAJIRIプロデュースと言っていいかもしれない。
 今となってはありふれた形式の有刺鉄線ボードデスマッチをあえて「デスマッチって何だろう?」とメインに持ってきたところが昨日の大会の最大の実験。有刺鉄線に敢えて突っ込んでいくのももちろんアリで、今はそれが主流になっているが、昨日の試合では、いかに相手を有刺鉄線に突っ込ませるか、いかにそれを阻止するかという攻防が焦点になった。そこには…古~い話を持ち出せば、ジャイアント馬場vsフリッツ・フォン・エリックで、エリックの鉄の爪がジリジリと馬場の顔面に近づくようなスリルがあったのだ。それも有刺鉄線ボードをコーナーに立てかけたり、斜めに置いてみたり、あるいはキャンバスに置く…などなど、もはや新鮮味がないはずのアイテムが実はまだまだ魅力的なことを証明してくれた。これこそがNew Classicである。
 TAJIRI&華名&マイキー・ウィップリックvsAKIRA&朱里&スターバックの有刺鉄線ボードデスマッチは今日の大阪、明日の豊橋でも行われる。そこでどんな闘いのバリエーションがあるのか興味深い。
 そして来月9・20後楽園ではデーブ・フィンレーvsレイ・メンドーサJr.(ビジャノ5号)が実現する。今やヨーロッパもメキシコもWWEの影響が強くなっているが、そんな中でヨーロッパ伝統のキャッチを継承するフィンレーと、正統ルチャ・リブレ継承者のメンドーサJr.を対戦させるというのも「プロレスとは?」を模索する試み。SMASHではないWNCが掲げた“New Classicの探究”の本格始動である。

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