レインメーカーの武器

 昨日は後楽園ホールで全日本プロレス8月シリーズ開幕戦のGAORA中継解説をしてから新日本プロレスのG1両国決勝へ。両国に到着したのは3時15分過ぎで、ちょうど第1試合のMVPvsランス・アーチャーが始まったところだった。ビックリしたのはお客さんの入り。新日本&全日本40周年記念の7・1大会ではリングサイドの放送席にいたためによくわからなかったのだが、1階奥のボックス席から会場を見渡したら、場内の照明も明るかったせいもあるかもしれないが、人がぎっちりと詰まった“昔懐かしい光景”が広がっていたのだ。主催者発表で11500人は、7・1よりも500人多い。94年~96年の3年間はこの両国で5連戦をやっていたことを考えると、その当時のプロレスのパワーがいかに凄かったかがわかる。今回のG1を足掛かりにして、あの熱が再び甦ることを願ってやまない。
 さて、肝心のリング上では大混戦の末に勝ち上がったのはオカダ・カズチカとカール・アンダーソン。開幕戦後のダイアリーで“G1は過去の実績や今現在のポジションは一切関係なく、参加選手が横一線で競う大会。その意味では何が起こっても波乱や番狂わせではないのだ”と書いた通り、この決勝カードは驚くことではないのだ。そして勝利したのはオカダ…初出場にして史上最年少24歳のG1覇者が誕生した。
 試合を見ていて感じたのは、何があってもドロップキックひとつで試合を逆転できる、お客をどよめかせることができるという“かけがえのない武器”をオカダが持っていることだ。コーナー最上段からのダイビング・エルボーもそう。これだけ多くの技がある時代に、シンプルなドロップキックで「おおっ!」と言わせ、説得力があるというのは他のレスラーにはないオカダの財産である。
 私がオカダのドロップキックを見て「これは凄いな!」と初めて実感したのは09年1月4日の東京ドームにおけるダークマッチだった。私はこの試合をスタンド席から見ていた。ビジョンに頼らず、肉眼だけで試合を追うと、いかに大きい選手が得なのか、なぜメキシコのルチャ・リブレは派手なマスク&コスチュームを身に付け、空中戦が進化していったのかが理解できる。さて、ダークマッチはお客さんがまばらで、しかもリングに集中していない時間帯だが、そな状況でも背が高いオカダは目立つ存在だった。そしてドロップキックが凄く映えていた。それがずっと私の中にインプットされていたのだ。
 ちなみその時のダークマッチ15分1本勝負のカードは稔&ミラノ・コレクションA.T.&石狩太一vs平澤光秀&岡田かずちか&吉橋伸雄。稔は田中稔として全日本のジュニア戦士として活躍し、ミラノは引退、石狩はタイチに変貌した。そして平澤はキャプテン・ニュージャパンで、オカダは“レインメーカー”オカダ・カズチカ、吉橋はYOSHI―HASHIだ。4年も経っていないのに遙か昔のような気がする。
 若手時代の色、イメージがまったくなくなっていることもオカダの大きな武器。実は8年のキャリアを持ち、その中で紆余曲折があったが、それをまったく感じさせない。あくまでも“新日本の40年の歴史の中で突如現れた本物”であり、G1では3敗を喫したが、負ける姿をイメージさせないところまで来ているのは凄い。こういう形で新しいスターが誕生したのは日本プロレス界で初めてだ。ここからどこまで進化していくか…とにかく注目していきたい。

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