昨日の午後2時46分に思ったこと

 昨日の午後2時46分、私はDDTの後楽園ホールにいた。全試合が終了して1分間の黙祷。DDTは東日本大震災直後の昨年3月27日の後楽園大会では節電のためにビジョンによる演出を自粛した。ビジョンを使っての対戦カード発表を、何とカード発表ごとに選手がリングインして対峙することで“ナマの絵”で見せた。昨日はそれをあえて再現。そこに「我々は1年前を決して忘れてはならないのだ」というDDTの決意とメッセージが見て取れた。
 この1年、みんなが悩み、そして考えた。震災から9日後に予定されていた3月20日のドラゴンゲートの両国国技館大会は中止になってしまった。翌21日の全日本プロレスの両国国技館大会は会場サイドから使用許可が出て、賛否両論ある中で開催された。この開催を裏でバックアップしたのは新日本とノア。それまで鎖国政策を取っていた全日本は、こうした背景があって以後、開国路線にシフト。また、この3・21両国での諏訪魔vsKENSOの三冠戦は“史上最低の三冠戦”と酷評されたが、その直後からKENSOのテンションと明るさがファンの心を癒してKENSO人気が爆発することになった。
 阪神淡路大震災、東日本大震災の両方を経験したTARUは「やらぬ善より、やる偽善」とブードゥー・マーダーズTARU義援金を立ち上げたし、時のGHC王者・杉浦貴と鈴木みのるが“被災者の人たちにプロレスラーとプロレスは何ができるのか”で論争になった。みんなが自問自答し、もがき、そして何ができるのかを模索していたのである。そして日本武道館、仙台と2回のATが実現した。
 そんなことが頭の中をよぎった昨日の午後2時46分からの1分間だった。よく「プロレスで元気を与える」という表現が使われるが、私はこの言葉の使い方は嫌いだ。「与える」という言葉に違和感を感じるのだ。「プロレスを観て元気になってもらいたい」が正解だろう。プロレスを観ることで、辛い現実からほんのひと時でも解放され、楽しむことで元気になってもらえたら、こんなに嬉しいことはない。その嬉しそうな顔を見ること、声援を聞くことでプロレスラーも「もっと頑張ろう」と元気になれる。それが本当の関係のはずだ。
 私の立場からすれば、私の記事や出演した番組を楽しんでもらえれば、こんなに嬉しいことありません。日々を大切に生きていきましょう。

金の雨が降ってきた…

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 昨日は新日本の旗揚げ記念日。40年目の記念すべき日に後楽園ホールは超満員札止めになった。前売りの段階で指定席は完売。当日売りの立見券を求める長蛇の列が出来、入れなかったファンもいるという。これはブシロード新体制への期待か、あるいは新IWGP王者“レインメーカー”オカダ・カズチカが金の雨を降らせたのか…。
 試合開始前に木谷会長がリング挨拶。「この程度の集まりで“黄金時代の再来”とは言いたくないです」と刺激的な言葉も飛び出したが、おっとりとした語り口、それでいて押し出しの強さがあり、人を惹きつける魅力がある。きっと会場に集まったファンは「この人なら大丈夫だろう」という好印象を持ったのではないかと思う。
 さて、メインのIWGP戦だ。会場は当然、大・内藤コールに包まれたが、バルコニーからはオカダ・コール、レインメーカー・コールも起こった。1・4東京ドームの凱旋帰国試合ではファンがウンともスンとも言わず、唐突にIWGP挑戦が決まった直後も意地悪な眼で見られていたオカダだが、リング上のファイトで見方を変えさせ、ベルトを取って結果も出した。プロレスファンは頑固な反面、正直でもある。逆風からスタートして、コールが起こるようになった時点で、ひとつの課題はクリアーだ。
 試合は序盤はアームロックからキーロック…と、イメージと違ってオーソドックス。その後はレインメーカーにつなぐための首攻めと組み立てが理に適っている。闘龍門出身だけに多くのジャベを知っているから、首への一点集中攻撃も単調にならない。私がオカダを評価するところはミスしないことと、技が的確で丁寧なこと。細かい技でも粗さがなくきっちりとやっているところだ。そして、あの長身と身体のバネ、スタミナ。現時点ではケチのつけようがない。
 レスラーとしての色気とか、醸し出す雰囲気とかはこれからのことで、今は外道に補ってもらえばいい。勝利者インタビューで「しっかり結果を出しましたが、それについてはいかがですか?」と聞かれて「特にありません」とクールに答えた途端、会場は大爆笑となったから、高慢ちきなレインメーカーというキャラもファンに受け入れられつつあるのは確か。このキャラが今後、どう変化していくのかも興味深い。
「みんな遅いでしょ。もっと早く気付かないと。新日本プロレスの大先輩方、今日は俺の試合を観て勉強したみたいだな。勉強したコは伸びる。大先輩方、もっともっと勉強して、俺に挑んでこい!」
 今のオカダは何を言ってもいい。やり過ぎぐらいがちょうどいい!