楽しいデスマッチ王者

 昨日は横浜文化体育館で大日本プロレスの今年最後のビッグマッチ。全日本勢が参戦したりとバラエティーに富んだ内容になったが、最後をきっちり締めたのは伊東竜二とアブドーラ・小林のデスマッチ王座を賭けたクライマックス・ゲーム・オブ・デスだ。普通の蛍光灯はもちろん、蛍光灯スカイツリータワー、格子状に組んだ蛍光灯、コンクリート・ブロック、剣山、今年1年間のデスマッチアイテムを用意。フォークを剣山状にしたボックスまで登場した。
 そんな過酷な戦いを制したのは小林。05年12月に伊東の防衛記録V6をストップさせた時と同じように、今回もその記録をV6でストップさせた。
 小林の魅力はどんな凄惨な試合でも、最後は和やかなムードに持っていってしまうこと。それは本人のキャラクターもあるし、プロレスをいろいろな意味で心底楽しんでいるからだ。
「伊東、プロレスをやってて楽しいか? 俺は16年もやってきたから、たまに楽しめなくなる時もあるんだけど、お客さんが楽しみに来てるんだから、俺らレスラーがもっと楽しまなきゃいけない。強いだけじゃなく、激しいだけじゃなく、お客さんを喜ばす楽しいチャンピオンになりたいんだ!」という言葉にはアブドーラ・小林というプロレスラーの心意気を感じた。控室に戻ってからの「今のウチの若い世代は凄いけど、みんな右に倣え。100点はいつまでも100点。でも、俺は100点以上を目指していますから」と。これも深い言葉。楽しいデスマッチ王者とは、普通に考えたら有り得ないが、アブドーラ・小林はそれをやってしまう男である。
「プロレスはな、楽しいもんなんや」という馬場さんの言葉をふと思い出した。楽しいの表現の方法はまったく違うが、プロレスラーとしてプロレスを愛し、楽しむ心は共通しているように感じた。
 額に突き刺さった剣山を自らの手で引っこ抜いたアブドーラ・小林は「じゃあ、サイン会に行ってきますので…」と、血を拭うことなく売店へと急いだ。

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