決定!2011年度プロレス大賞

『2011年度プロレス大賞』選考会議は昨日12月13日、午後1時30分から行われた。柴田惣一選考委員長(東京スポーツWeb東スポ編集長)、内館牧子特別選考委員(脚本家)、東スポの原口典彰運動部部長、平塚雅人運動部次長、細島啓輔運動部次長、楠崎弘樹運動部次長、秋山直毅写真部主任、水沼一夫、小阪健一郎、大島啓、岡本佑介の各記者、写真部の下田知仁、前田利宏の各氏、サンケイスポーツの江坂勇始記者、スポーツニッポンの仁木弘一記者、デイリースポーツの藤澤浩之記者、東京中日スポーツの大西洋和記者、日刊スポーツの小谷野俊之記者、報知新聞の勝田成紀記者、週刊プロレスの佐藤正行編集長、プロレス評論家の菊池孝氏、門馬忠雄氏、サムライTVキャスターの三田佐代子さん、そして私の24名による選考会議は約1時間半。選考会議の経緯と各賞受賞者は以下の通りだ。
【最優秀選手賞(MVP)】棚橋弘至
 09年度以来2度目の受賞になった棚橋の他、G1に初優勝、常にクォリティーの高い試合で対戦相手をも光らせていた中邑真輔、ノア革命に着手して1年間頑張ったKENTAがノミネートされた。だが、投票では棚橋=23、中邑=0、KENTA=1と棚橋がダントツ。
 1・4東京ドームから始まって内容のある試合でIWGP防衛タイ記録のV10を達成した実績、各会場での人気とファンの期待感、3・11震災があった中で新日本のみならず日本プロレス界全体を牽引していこうという姿勢、ファンに対する応対…など、あらゆる要素で棚橋の評価は高かった。私も棚橋を推した。最終的には選考委員全員納得の文句ないMVPだ。
【年間最高試合(ベストバウト)】武藤敬司&小橋建太vs矢野通&飯塚高史(8月27日、東京・日本武道館)
 ベストバウトには実に13試合がノミネートされた。ノミネート順に列記すると①武藤敬司&小橋建太vs矢野通&飯塚高史(8月27日、東京・日本武道館)②棚橋弘至vs中邑真輔(IWGPヘビー級戦=9月19日、神戸ワールド記念ホール)③秋山準vs潮﨑豪(GHCヘビー級戦=8月6日、東京・ディファ有明)④中邑真輔vs鈴木みのる(G1公式戦=8月14日、東京・両国国技館)⑤諏訪魔vs秋山準(三冠ヘビー級戦=10月23日、東京・両国国技館)⑥棚橋弘至vs内藤哲也(IWGPヘビー級戦=10月10日、東京・両国国技館)⑦諏訪魔vs永田裕志(チャンピオン・カーニバル公式戦=4月9日、東京・後楽園ホール)⑧杉浦貴vs佐々木健介(7月23日、大阪府立体育会館)⑨杉浦貴vs佐々木健介(グローバル・リーグ戦公式戦=11月14日、東京・後楽園ホール)⑩天龍源一郎&諏訪魔&鈴木みのるvs佐々木健介&小島聡&太陽ケア(11月10日、東京・後楽園ホール)⑪スターバックvsデーブ・フィンレー(SMASH王座戦=11月24日、東京・後楽園ホール)⑫棚橋弘至vs後藤洋央紀(IWGPヘビー級戦=6月18日、大阪府立体育会館)⑫CIMA&土井成樹&B×Bハルク&戸澤陽&サイバー・コングvs望月成晃&吉野正人&鷹木信悟&YAMATO&Gamma(ブラッド・ウォリアーズvsジャンクション・スリー サバイバル敗者ユニット脱落マッチ=11月4日、東京・後楽園ホール)
 これだけの試合がノミネートされたのは、裏を返せば「これだ!」という決定的な試合がなかったということでもある。ちなみに私が挙げたのは11・14後楽園の杉浦vs健介。「これこそベストバウト!」という意味ではなく、複雑な技、スピーディーな攻防、上手なプロレスが主流になっている今、杉浦と健介の攻防には「他がマネできない」というタフなプロレスがあった。あの攻めとあの受けは…本当に頑丈なプロレスラーにしかできないものだ。それを主張したかったのである。
 天龍の35周年記念試合をノミネートしたのはカメラマン。カメラマンのスタンスからすると「見た目で凄かった!」試合だったという。
 初回投票は1位が武藤&小橋vs矢野&飯塚=10、2位が諏訪魔vs秋山=4。1位が過半数に満たなかったことから、この2試合による決選投票にもつれ込んだ。その前にも改めて議論が交わされた。「東スポ主催の興行の試合を選ぶのには抵抗がある」という意見もあったし、その一方では「あのATは一番雰囲気のいい興行だった。その中で矢野と飯塚がいい人にならずにヒールを貫き、即席コンビの武藤&小橋が持ち味を発揮して、最後はムーンサルトの競演というファンが求める形で終わった」と改めて高く評価する声も。諏訪魔vs秋山については「ここ数年、ヘビー級のまっとうなプロレスがベストバウトに挙がっていない」「秋山によって三冠ヘビー級という由緒あるタイトルの新たなドラマが生まれた」「いや、諏訪魔と秋山だったら、もっといい試合ができるはず」などの意見が。最終的には武藤&小橋vs矢野&飯塚=20、諏訪魔vs秋山=4という結果に。
 私は迷いつつも最終的に武藤&小橋vs矢野&飯塚に1票を投じた。そこには癌から復帰以来、初めてムーンサルト・プレスをやった小橋の覚悟が大きかったし、2011年という特別な年をプロレスで振り返った時、人々の記憶に残っているのはATのあの試合だと思ったからだ。
【最優秀タッグチーム賞】関本大介&岡林裕二
 この賞は関本&岡林、ジャイアント・バーナード&カール・アンダーソンのバッド・インテンションズ、そしてノアのKENTA率いるNO MERCYに絞られた。関本&岡林は全日本でアジア・タッグを奪取、大日本での『最侠タッグ』に優勝した実績はもちろんのこと、全日本マットをも活性化、岡林の成長、そのわかりやすいファイトぶり、デスマッチもこなす幅の広さなど、あらゆる面が高く評価された。バッド・インテンションズはIWGP、GHCの2大メジャー・タッグ王座2冠王を達成した誰も文句のつけようがないタッグチーム。NMCはタッグチームというよりもユニットとしてノアを活性化させたことが評価されたものだ。
 私はGAORAの全日本プロレス中継の解説をしているので関本&岡林の全日本における活躍ぶりを間近で見ているが、ここではあえてバッド・インテンションズを支持した。関本&岡林はまだまだ成長できるタッグチームだと思うし、対するバーナード&アンダーソンはタッグチームとして完成の域に達していると思うのだ。ノアの潮﨑&谷口の挑戦を受けたGHCタッグ防衛戦は、ノア勢の持ち味をちゃんと引き出しつつ、試合を完璧にコントロールする手腕に脱帽させられた。
 結果は関本&岡林=13、バッド・インテンションズ=7、NMC=4。もちろん私も関本&岡林の受賞に異論はない。おめでとう!
 ここからはいつも大混戦になる殊勲・敢闘・技能の3賞。選考委員それぞれに「この選手には何かの賞を!」という思惑があるだけに、どの賞にノミネートするかという駆け引きも生まれてくる。ただし、選考は3賞まとめてではなく、殊勲・敢闘・技能の順で選考されるのである。では殊勲賞から…。
【殊勲賞】秋山準
 ノミネートされた順から①中邑真輔②秋山準③ジェロム・レ・バンナ④KENTA⑤永田裕志。MVPに名前が挙がった中邑、KENTA以外に出てきた名前が秋山、バンナ、永田だ。秋山は諏訪魔戦がベストバウトに挙がったように状況的に有り得ないはずだった三冠初戴冠を果たし、なおかつ三冠というベルトのドラマを改めて提示したこと、それ以外でもノア・マットで常にレベルの高い試合、自分の試合をしていたことが評価された。バンナはIGF王者として輝いたこと、永田は新日本のNJC、全日本のカーニバルと2大メジャー春の祭典を制してアンチエイジングを実証したことが評価された。結果は中邑=5、秋山=16、バンナ=1、KENTA=1、永田=1。私も秋山に投票した。
【敢闘賞】永田裕志、望月成晃
 敢闘賞には惜しくも殊勲賞で落選してしまったKENTA、永田に加えてドラゴンゲートの望月成晃、内藤哲也がノミネートされた。
 永田はアンチエイジングを掲げ、新日本&全日本の春の祭典を制覇、IWGP挑戦、三冠挑戦とまさに敢闘にふさわしい活躍をした。望月も同様で、若い選手が揃ったドラゴンゲートの中で41歳にして頂点のドリームゲート王座を奪取。常にコンディションをキープし、団体外でも橋本大地や垣原賢人と対戦するなど、積極的に打って出る姿勢が評価された。内藤は特にG1以降のめざましい成長ぶりがポイント。投票結果はKENTA=6、永田=7、望月=7、内藤=4。ここで同点の永田、望月の決選投票になったが、何と永田=12、望月=12の同点に。その後、議論が交わされたが、平行線。最終的には両選手共に年齢を感じさせない敢闘ぶりという共通の評価ということでダブル受賞となった。
【技能賞】KENTA
 KENTAが殊勲、敢闘で票を伸ばせなかったのは「技能賞が最もふさわしいのでは…」という声があったことも大きい。ところが、この技能賞も競り合いとなった。ノミネートされたのは国内引退までDDTでレベルの高い試合を続けたディック東郷、頭脳的なヒール殺法、チラリと見せるレスリング・テクニックで職人ぶりを大いに発揮した矢野、誰が相手でも好試合を展開してきた中邑、全日本の世界ジュニア王座を奪取したケニー・オメガ、そしてKENSOがノミネートされた。
 KENSOの名前を挙げたのは私。レスリング技術云々ではなく「観客を惹きつけてしまう予測不能の言動やパフォーマンスはプロレスならではの技術ではないか」ということで推薦させてもらった。今年、全日本は暗い話題が続いた。そんな中で唯一、ファンをホッとさせていたのがKENSOだったのではないか。それこそ1年前は本当にファンに不快感を与えていたのが、いつしかファンを「KENSOは、今度は何を言うのか? 何をやるのか?」と引き込んだ。それはプロとして大切なことだ。あの摩訶不思議なKENSOワールドは決して偶然の産物ではない。新日本を飛び出してから様々な経験を経た上で構築されたものなのだ。ATの3大メジャー揃い踏みの6人タッグにしても、KENSOという調味料があったからこそ、豪華食材が活きたのだと思っている。というようなことを述べさせてもらった。
 その結果、東郷=1、KENSO=8、矢野=3、中邑=5、KENTA=6、ケニー=1という結果に。ただし、トップのKENSOが過半数に届かないため、KENSOとKENTAの決選投票に。その前の議論では「KENSOに賞をやったらプロレスが馬鹿にされる!」「いい試合がない!」という厳しい意見も…。そして最終結果はKENTA=13、KENSO=11。
 KENSOを推しておきながら、正直な気持ちはKENTAになってホッとした。KENSOプッシュは「こういう技術も認めてほしい」という気持ちであって、KENTAのノア改革にかける1年間の頑張りも凄いという実感があったからである。
【新人賞】鈴川真一
 ノミネートされたのは鈴川、橋本大地、征矢匠、女子からは愛川ゆず季、世Ⅳ虎、そして私がノミネートしたのは沖縄プロレスのめんそ~れ親父。めんそ~れ親父は闘龍門出身で07年4月にメキシコでデビューしていることを考えれば選考対象から外れてしまうが、実質的なデビューは08年7月の沖縄プロレス旗揚げ戦ということで入れさせてもらった。実際、私が彼のファイトを観たのは11・4新宿FACEでのvs怪人ハブ男だけ。だが、あのハブ男相手に素晴らしいファイトを展開した。沖縄プロの東京初進出にあたって、ハブ男がメインの相手にめんそ~れ親父を指名したのも頷けた。その風貌&喋りとファイトのギャップは、中央の団体に進出したらハブ男のように支持されるに違いない。正直、賞を獲れるとは思っていなかったが今年が新人賞資格ギリギリだし「頑張っている中にはこういう選手もいる」ということで上げさせてもらった。
 選考結果は鈴川=17、大地=7、匠=4、世Ⅳ虎=4、愛川=4、めんそ~れ親父=1だった。
 鈴川は昨年もノミネートされたが、その時点では1試合しかしておらず「あと1年間、観てみよう」ということで選ばれなかった。そして今年はバンナ戦が高評価。また「今年のIGFは鈴川が軸になっていた」「この1年は予想以上の成長だった」「あの体格はプロレス界にとって魅力的な逸材」という声、元横綱審議会委員だった内館さんの「相撲時代とは違う生き生きぶりに驚きました」という意見も。鈴川に対する選考委員の期待は大きい。
【女子プロレス大賞】愛川ゆず季
 女子プロ大賞にノミネートされたのは愛川、華名、尾崎魔弓、里村明衣子の4選手。昨年、新人賞にもノミネートされていた愛川はアイドルから体をキッチリと改造して女子プロレスラーになり、女子プロに注目を集めさせたこと、スターダムで2つのベルトを奪取した実績によって18票を獲得して晴れて大賞に。その他は里村=2、華名=2、尾崎=1、棄権=1だった。
 という形で今年の選考会議は終了したが、各賞にノミネートされながら、あと一歩で届かなかった中邑、GHC最多防衛記録V14を樹立して王座転落後も中身の濃い試合を展開していた杉浦貴、GHC王者に返り咲いて秋山、高山、KENTAを退けた潮﨑豪、カーニバル準優勝、三冠初挑戦、最強タッグ優勝などの目覚ましい成長を見せた真田聖也、同じく世界ジュニア奪取、シングル&タッグのジュニア・リーグ戦制覇、最強タッグ優勝を成し遂げたKAIなどの選手が何も賞を獲れなかったのは残念でもある。その反面、MVPの棚橋以外の賞は「何が何でも!」という決定打がなく、誰にでもチャンスがあったという印象も受けた今年のプロレス大賞だった。
 なお、例年通りにコメントの書き込みは、私個人は読ませていただきますが、ブログ上に公開しないのでご了承のほどを。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です