IGFに感じた昔の新日本の匂い

 アントニオ猪木のオモチャ箱IGFにはいつも新鮮な発見がある。立ち上げ当初は、ファンの目的はあくまでも猪木のパフォーマンスで、試合はどうでもいいような感もあったが、大会を重ねるごとに独自のカラーが出来上がってきたように思う。レジェンドがいれば、ルチャ・ルブレやアメプロもあり、総合格闘技的な匂いの試合もある。そしてクセになってしまうのが「何が起こるかわからない」というハプニング性だろう。ある意味でお金を払って観に行くのは賭け。長州が言うところの今のプロレスのオープンキッチンではないのだ。
 さて、昨日は久々に面白い異種格闘技戦を観ることができた。猪木全盛の頃はプロレスファンは異種格闘技戦に熱狂したものだが、総合格闘技が生まれ、MMAが確立されてからは、プロレス的な異種格闘技戦は過去の遺物的なものになってしまった。その曖昧さが目の肥えたファンには受け入れられなくなってしまったのである。
 ところが昨日の鈴川真一とジェロム・レ・バンナの異種格闘技戦には、猪木時代の匂いがあった。「K-1番長の打撃か、鈴川のマーダービンタか!?」というわかりやすいテーマの中でバンナの容赦ない鉄拳に鼻血を出しながら何度も立ち上がる鈴川の闘志が観客を興奮させた。技術論を持ちだしたらおしまいだが、細かいことを抜きにしたプロレス的な異種格闘技戦を見せてくれたと思う。これまでマーク・コールマンとのデビュー戦に始まり、モンターニャ・シウバ、ボブ・サップ相手に連勝を重ねてきた鈴川にとってはいい経験になっただろうし、その上で「勉強になりました。何かを伝えられるファイターになりたいと思います」というコメントには勝敗だけではないプロ意識が感じられて好感を持った。
 さて、個人的に昨日のベストバウトは第1試合の鈴木秀樹&定アキラvsタカ・クノウ&澤宗紀のタッグマッチ。闘志剥き出しに気持ちと技術をぶつけ合う攻防は気持ちがよかった。決してキレイな試合ではないし、大技の攻防もロープワークもないが、それは私が子供の頃に観ていた新日本の前座試合を思わせるもの。プロレスが持つ闘いの迫力を感じさせて漏れるものだった。
 中でも宮戸が主宰するスネークピット出身のプロ第1号選手の鈴木秀樹は注目すべき選手だ。話題的には鈴川や澤田敦士に隠れているが、188センチの体は魅力だし、ファイティング・スピリット旺盛でテクニックも確か。経験を積んでいけば、化ける逸材だと思う。
 なお、橋本大地と藤原喜明の激突については、5月1日にアップされる週プロモバイル『サンデー・小佐ポン』で書いているので、そちらを読んでください。

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