私が見て、感じた全日本・両国

 昨日、全日本プロレスは無事に両国国技館大会を終えた。賛否両論がある中での開催。その評価はチケットを買って会場まで足を運んだファン、PPVを購入してテレビで観戦したファンに委ねたい。私は、私が現場で感じたこと、見たことを書く。
 節電の関係からリング照明を吊るさず、電力供給車を使ってサイドから光を当て、暖房も入れず…という大会。恒例となっているビジョンを使っての煽りVTRもなく、テレビもオープニングの煽りVTRはあったが、それ以外は試合の組み合わせを伝えるVTRのみ。今の状況で、出来る限りの配慮をしての開催である。
 開場と同時に募金活動。3月11日、仙石線の車中で被災した近藤修司、三冠戦という大一番を控えながらも諏訪魔、その数メートル後ろには諏訪魔に挑戦するKENSOが募金箱を持って立ち、義援金への協力を大声で訴えていた。そして西側通路ではVMが全員で募金活動。偽善だなんだと言われても、多くのファンが募金する光景を見た時に、それだけでも大会を開催した意義があったと心底思った。
 試合前にはVMがリングに上がり、あのブラザー・ヤッシーも久々に登場して「ご機嫌ちゃんを東北に送ろう!」とまったく衰えないマイク・パフォーマンスで訴えた。その言葉の力は強かった。
 試合は当然、当たり外れがある。でも、選手たちは心をこめて精一杯ファイトしたと私は感じている。第1試合では実家が津波で流され、親戚が行方不明の宮本和志が「自分はこうやって元気に試合をしています!」と地元・福島、東北に身をもってメッセージを伝えた。武藤敬司は橋本大地に試練を課すことで立ち上がることの意味を伝えたかったのだと思う。「チャンピオンシップだけど、それ以上のものをかけて、背負って戦います」と言っていた近藤は稔に敗れたが、左腕が伸びきってもギブアップせずに諦めない心を体現して見せた。
 諏訪魔vsKENSOの三冠戦については、それこそ賛否両論あると思うが、私はKENSOを見直した。両国開催正式決定の記者会見で「ボクは一生懸命やります!」と大きな声で語ったKENSO。この日の試合前に募金箱を持って大きな声で協力を訴えていたKENSO。そしてリングインしてから諏訪魔が入場するまでの間、一点を見つめて自らのテンションを最高潮に持っていくKENSO。そんなKENSOを見てきて、摩訶不思議なKENSOワールドは自由奔放、勝手気ままなものではなく、実は鈴木健三という人間がKENSOというプロレスラーに成りきるために自分をとことん追い詰めた上で出来上がった世界だと感じたのだ。諏訪魔の凄まじい攻めにボロボロになりながらも立ち上がる姿は、KENSOなりの被災者への自らの体を犠牲にしたメッセージ、体を張ってのパフォーマンスだと私は解釈した。
「被災した我々だからこそ、出来ることがある」と今回の開催に漕ぎ着けた全日本の選手と関係者に改めて拍手を送りたい。純粋な興行としては100点ではなかったかもしれない。でも、何年か経って復興が成った時に「あの全日本の両国で勇気づけられた!」という人がいたとしたら、こんなに嬉しいことはない。

「私が見て、感じた全日本・両国」への2件のフィードバック

  1. 全日がこういう形で大会を実行したのは、素晴らしいと思います。
    私は関西なので行っていませんが、かつての阪神大震災のとき、
    (これも、被災してて大阪まで移動できずに直接観戦してはいないけれど)
    川田と小橋が勇気をくれたことは鮮烈な思い出です。
    ただ、ファンサイトや掲示板などで、今回の両国大会では、
    万一、余震などがあった際の誘導などについては、観客にまったく説明がなかった、
    という話を読みました。
    大日本など他の団体では、それこそしつこいくらいに注意を呼びかけ、備えています。
    開催の是非について色々ある中、せっかく開催してくれるのであれば、
    万全を期してもなお足りないくらいだと思うのです。
    全日だけじゃなく他の団体も含めてですが、今後東日本エリアで試合を行うなら、
    (西日本であっても同じかもしれませんが)
    そうした面にも配慮してほしいと思っています。

  2. 是非、両国だけじゃなく地方でも同じ事をお願いしたいです…
    全国の全日ファン、プロレスファンが待ってると思いますし、一緒に熱くなりたいですね!!

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