それぞれの信念のもとに

 一昨日の全日本プロレスに続き、昨日はブードゥー・マーダーズ(VM)が午後3時から記者会見を行った。会見に臨んだTARUはいつもの悪の総帥ではなく、素顔の多留嘉一だった。95年1月17日の阪神淡路大震災、そして今回の東日本大震災と2回の大震災を経験したTARUは義援金を立ち上げた。
「我々は特殊な仕事をしていて、一般の方とは違います。やらぬ善意より、やる偽善の精神で、命を懸けて両国に全力を尽くし、いいものを見せて元気と勇気を与えたいと思います。力道山、ジャイアント馬場さん、今の全日本の社長の武藤敬司…どんな時もみんなに勇気を与えてきたプロレスラーとしてリスペクトしています。今日はヒール的な発言じゃないですけど、熱いプロレスファンには理解してもらえると思います」とTARU。
 阪神淡路大震災当時はまだプロレス・デビューしておらず、会社を経営していたTARU。その翌年にプロレス界に飛び込んだのには何か心に期するものがあったのだろう。そして今回は石巻市総合体育館に向かって東北自動車道をバスで走っている最中に被災。高速を降りる手前で負傷者をバスに乗せて多賀城市内の病院まで運搬した上で会場に向かった。そんな経験をしているだけにTARUの言葉は真摯だった。
「義援金のために初めてVMのサイン会もやります。寄付してくれたファン、グッズを買ってくれたファンに心を込めてサインを書かせてもらいます」とTARU。「普段のヒールのイメージが崩れるのでは?」の声には「自分たちは悪と言われますけど、自分たちの主張をリングでやっているだけですから。今、ガタガタ言ってる奴、買いだめしてる奴の方が悪じゃないですか!?」とキッパリ。そして「両国で被災地にエールを送ろう! まあ、そういうこっちゃ」と締め括った。
 TARU義援金は以下の通り。
銀行名=三菱東京UFJ銀行
支店名=草加支店(店番号291)
口座=普通口座0112144
名義=VM TARU 義援金(ブイエム タル ギエンキン)
 皆さんのご協力をお願いします。
 そして午後5時からはSMASHが後楽園ホール展示場で緊急記者会見を行って、本来なら昨日18日に開催されるはずだった『SMASH15』を3月31日に同じ後楽園ホールで開催することを発表した。
「我々は今回の震災にあたってプロレス団体として力になれることはないのかと考えてきましたが、プロレスを通して勇気を与えることしかできないという結論に達しました」と酒井正和代表。TAJIRIも「僕らはプロレスをやらなきゃ何も出来ないんですよ。ショーを開催することによって、チャリティ等、いろいろなことが出来るんです」と訴えた。
 また、3月中の開催に漕ぎ着けたことで、18日にやるはずだったカードを極力変更しないで出来ることにもなった。4月1日付で新日本プロレス所属になるKUSHIDAはSMASHラストマッチとして当初の予定通りに大原はじめと一騎打ち、FUNAKIがアメリカに戻らず日本に留まったことでFUNAKIvs華名も予定通りに行われる。現時点ではトミー・ドリーマーだけスケジュールの都合がつかず、他の選手と交渉中だという。
 VMの会見でジョー・ドーリングが「2001年9月11日の同時多発テロの後、初めてショーを行ったのはベースボールでもフットボールでもなくWWEだった。ここで全日本がショーを開催することを嬉しく思っている。プロレスの原点は人に勇気を与えることだと私は信じている」と言っていたが、この9・11テロ後のWWEの初興行にTAJIRIは出場していた。それはテロ2日後の9月13日、ヒューストンにおけるスマックダウンだった。
「あの時も賛否両論ありました。でもビンス(マクマホン)は“ここで我々がやらなければ駄目なんだ!”と。テロが続いていたら、あの会場も標的になる危険性が高かったんですけど“俺もここにいる。君たちと一緒だ”とビンスは毅然たる態度でした。結果、会場は超満員(12046人を動員)になって、その一体感は凄いものでした。あれを経験しているから、今回もそうしたエネルギーを生み出して被災地にエールを送れればと。もちろん安全面に関しては万全を期します」とTAJIRI。TAJIRIはプロレスが生み出す力を信じている。
 日々、何が起こるかわからない状況での興行開催には賛否両論がある。もちろんプロレスラーの中にも「今はプロレスよりも他にやることがあるのではないか」という考えを持っている人もいる。今はそれぞれが、それぞれの信念のもとに行動を起こしている。そのいずれも支持したい。そして開催が決まった興行に関しては成功するのはもちろんのこと、何も事故がなく無事に終わってほしいと願っている。

「それぞれの信念のもとに」への1件のフィードバック

  1. 全日両国大会、行ってきました!
    やってよかったと思いました。
    レスラーしかできない応援ってものを、実感できました。
    プロレスは負けない!プロレスファンは負けない!
    そう感じると同時に、思わず涙が出てきました。
    プロレスファンでよかったと思えた大会でした。

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