サンキュー、ジョー!

 感動だよ、人生は! 昨日のSMASH新宿FACE大会はまさしく感動に包まれた。あのジプシー・ジョーが丸8年ぶりに日本で試合をしたのだ。12月2日に77歳の誕生日を迎えての来日だった。
 かつてのライバル、ラッシャー木村さんのテーマ曲で登場したジョーの手には代名詞のイスが。実は大会前日、私はジョーに会っている。2年前に左足の小指を切断していて歩くのも辛そうで「24時間痛い。特に寒い時はキツイんだ。でも試合になると不思議と痛みが消えるから大丈夫」と言っていたが、その言葉通りに悠然とリングを1周した。リングに上がるのにも階段を使わず、自ら持ってきたイスをセットしてリングイン。こういうちょっとした仕草がカッコイイ。
 いよいよ試合開始のゴング。ロックアップから腕の取り合い、そしてTAJIRIの動きに合わせてサイドステップを踏むジョー。私生活ではキツイ動きも自然に出来る。体にプロレスが刷り込まれているのである。
 TAJIRIのチョップに微動だにせず、急所キック、全盛期を思わすような会場全体を使っての場外戦も繰り広げた。
 そしてクライマックスはイスで殴られるシーン。考えてみれば、相手にやられる場面が売り物というレスラーはジョーぐらいだろう。この日のレフェリーは国際プロレス時代にジョーの試合を何度も裁いた遠藤光男氏。遠藤氏はジョーが持ち出したイスを取り上げると…何とTAJIRIに渡した。少し躊躇しながらも思い切りイスをジョーの脳天に振り降ろすTAJIRI。そう、ここで手心を加えたらジョーに失礼になるのだ。
 何度も殴打すると、イスの底の部分が抜ける。すると遠藤氏は新しいイスをTAJIRIに手渡した。再び殴打するTAJIRI。またまた抜けるイスの底。見るとジョーの脳天が切れている。それでもジョーは微動だにせずタフネスぶりをアピール。
 最後はTAJIRIがグリーンミストからのスクールボーイで勝利したが、完全にジプシー・ジョーの世界だった。「ジプシー・ジョー! ジプシー・ジョー!」のコールはいつしか「サンキュー・ジョー! サンキュー・ジョー!」に変わっていた。
 もう筋肉はないからイス攻撃も背中ではなく頭で受け止めるしかなかったし、膝が悪くてフライング・ニードロップは出来ない。それでも“放浪の殺し屋”ジプシー・ジョーであり続けようとする77歳のヒルベルト・メレンデスの強烈な生きざまに誰もが心を揺さぶられ、称賛せずにはいられなかったのだと思う。試合後、インタビュー・スペースではジョーに対してマスコミの間から拍手が起こった。マスコミもまた感動し、彼に敬意を表したのだ。
 本当にサンキュー、ジプシー・ジョー! そしてジョーさんを呼んでくれたTAJIRIにもサンキュー!

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