2010年度プロレス大賞選考会

 昨日8日の午前11時30分から行われた『2010年度プロレス大賞』選考会の経緯及び各賞受賞者を発表させていただきます。東京スポーツ運動部専門委員の柴田惣一氏を選考委員長、脚本家の内館牧子さんを特別選考委員(所用のため選考会は欠席。事前の各賞ノミネートのみ)として、東京スポーツの原口典彰運動部部長、平塚雅人運動部次長、細島啓輔運動部次長、楠崎弘樹運動部主任、柏原和幸運動部主任、水沼一夫、小阪健一郎、大島啓、岡本佑介の各記者、秋山直毅写真部主任、写真部の長島昌徳、内田忠宏の各氏、サンケイスポーツの江坂勇始記者、スポーツニッポンの仁木弘一記者、デイリースポーツの藤澤浩之記者、東京中日スポーツの大西洋和記者、日刊スポーツの森本隆記者、報知新聞の秋元正己記者、週刊プロレスの佐藤正行編集長、プロレス評論家の菊池孝氏、門馬忠雄氏、サムライTVキャスターの三田佐代子さん、そして私の25名によって選考会が行われた。
【最優秀選手賞=MVP】杉浦貴
 例年通りにMVPから選考会がスタート。トップ切って杉浦の名前を挙げさせてもらった。04年の小橋、07年の三沢と並ぶGHCヘビー級王座年間7度防衛の記録を作ったというのもあるが、何よりも彼の団体のトップとしてのモチベーションが高く、常に危機感を募らせて、これまでの四天王プロレスとはカラーが違う“命懸けのプロレス”を打ち出し、ノアを牽引したことだ。その戦う姿勢はノア・ファンだけでなく、プロレスファン全体に届いたはず。タイトルマッチのみならず、普段の試合内容もよく、緊張感溢れるもので、強いチャンピオン像を確立したと思うのだ。
 その他、2010年を三冠ヘビー級王者として迎え、その後にフリーになって新日本のG1制覇&IWGP奪取をやってのけた小島聡、今年初めてIWGP王座を奪取して新日本で新たなキャラクターを確立した真壁刀義、新日本でジュニア三冠を達成し、G1ではヘビー級相手に好試合をやったプリンス・デヴィット、上半期にIWGP王者として、今年のIWGP戦の中でも常にレベルの高い防衛戦をやり、G1公式戦でも常に好試合をしていた中邑真輔の名前がエントリーされた。
 投票の結果、杉浦が17票で過半数の支持を得て、1発でMVPに決定。
【年間最高試合賞=ベストバウト】プリンス・デヴィット&田口隆祐vs飯伏幸太&ケニー・オメガ(IWGPジュニア・タッグ選手権=10月11日、東京・両国国技館)
 MVPは1回目の投票で決まったが、ベストバウトは様々な意見が出た。受賞した試合の他にノミネートされたのは鈴木みのるvs諏訪魔(三冠ヘビー級選手権=8月29日、東京・両国国技館)、鈴木みのるvs船木誠勝(金網マッチ=3月21日、東京・両国国技館)、杉浦貴vs高山善廣(GHCヘビー級選手権=7月10日、東京・有明コロシアム)、初代タイガーマスクvs天龍源一郎(3月18日、東京・後楽園ホール)、小島聡vs棚橋弘至(G1優勝決定戦=8月15日、東京・両国国技館)の6試合。
 ベストバウトは各選考委員の好みというか、プロレス観が如実に出る。私が事前に候補として考えていたのは鈴木vs諏訪魔、杉浦vs高山の2試合。どちらにするか迷っていたが、最終的には鈴木vs諏訪魔にしようと思っていた。あの試合は武藤不在だった上半期の全日本の総決算であり、もしコケたら全日本の未来はないと言っていいぐらいの大一番だった。そんな中で両者は技術と心をぶつけ合い、44分24秒の熱い戦いをやってのけた。その正面からのぶつかり合いはかつて人生観をかけて戦った鶴龍対決を思わせるものだったし、勝負を決めた諏訪魔のバックドロップ・ホールドは最後の鶴龍対決のようでもあり、試合後に新世代軍に肩車される諏訪魔は、鶴田超えを果たした時の三沢とオーバーラップした。全日本の歴史をも内包しつつ、未来に向かう試合だったと思ったからだ。それに両者の“強さ”も感じられた。やはり私は“強さ”のあるプロレスが好きだ。杉浦vs高山にしても、両者ともにPRIDEに出場していただけに格闘技的な要素も感じられたし、高山が「プロレスは戦いなんだよ!」ということを杉浦に叩き込むような試合にも見えた。そんな高山の猛攻をはねのけて勝利した杉浦も素晴らしかった。
 さて、投票はデヴィット&田口vs飯伏&オメガ=11、鈴木vs諏訪魔=3、鈴木vs船木=3、杉浦vs高山=4 初代タイガーvs天龍=3、小島vs棚橋=1という結果に。トップが過半数に満たなかったので受賞したジュニア・タッグと次点の杉浦vs高山の決選投票に。私は当然、杉浦vs高山に1票を投じた。ジュニア・タッグは理屈抜きに面白い試合だったし、タッグのベストバウトならば文句ないが、これが2010年の代表試合となると私には抵抗があった。決選投票の結果はジュニア・タッグ=16、杉浦vs高山=11。メジャーvsインディーの枠を超えて新日本ファンをも魅了したデヴィット&田口vs飯伏&オメガがベストバウトに輝いた。
【最優秀タッグチーム賞】中西学&ストロングマン
 ノミネートされたのは①飯伏幸太&ケニー・オメガ②中西学&ストロングマン③高山善廣&佐野巧真④永田裕志&井上亘⑤鈴木みのる&船木誠勝の5チーム。
 正直、ジュニア・タッグのベストバウトには抗った私だが、ベストタッグチームとなれば飯伏&オメガのゴールデン☆ラヴァーズ。やはりタッグチームはプロレス頭を駆使したユニークな連係があってこそ魅力的だからだ。だが、意外な伏兵となったのが中西&ストロングマンだった。確かにG1タッグに出場してベスト4まで残ったこのチームは面白かった。ゴツゴツしたチームとしてのビジュアルもよかったし、開幕時はストロングマンに日本語で「足!」と指示を出し、慌てて「フット!」と言い直していた中西が、最終戦の頃には「ブーツ!」と正しく指示できるまでに成長(?)。2人の馬鹿力と笑わずにはいられない試合ぶりはある意味凄く魅力的だった。
 そして投票ではゴールデン☆ラヴァーズ=8、中西&ストロングマン=7と拮抗! この2チームの決選投票となり、ゴールデン☆ラヴァーズ=10、中西&ストロングマン=15という結果に!! この受賞は、新日本に対して「来年、中西&ストロングマンを本格的にタッグチームとして売り出してほしい!」という願いもプラスされたものだ。
【殊勲賞】諏訪魔
 私的にはベストバウトの選考から歯車が狂ってきた…。気を取り直して殊勲賞の選考に入ったが、ここでノミネートされたのは①諏訪魔②潮﨑豪③真壁刀義④小島聡の4人。
 私は当初、小島を考えていたが、ベストバウトが目論みと違ってしまったことで、ここでは諏訪魔を推した。この1年、何とか全日本を変えようと頑張ってきた全日本愛は本物だったし、自ら三冠王者になっただけでなく、新世代軍の時には他のメンバーにアドバイスを送ったり、励ましたり、舞台裏でも若きリーダーとして尽力していた姿を見てきただけに、諏訪魔には賞をあげたかったのだ。投票では圧倒的な20票を獲得して諏訪魔の受賞が成った。
【敢闘賞】小島聡
 G1優勝&IWGP奪取をやってのけた小島が受賞。「MVP受賞経験者が3賞に入るのは…」という声もあったが、小島の頑張りはやはり賞に値するものだと思う。フリーになり、手術も克服してのこの実績で賞がないのでは報われない。
 その他、金丸義信、永田裕志、男色ディーノ、関本大介、カズ・ハヤシがノミネート。私は小島を心の中で支持しつつも票を投じたのは関本。大日本でストロングBJを打ち出しつつ、KO-D無差別級王者としてDDT両国のメインを張り、天龍プロジェクトでも存在感を見せつけ、現在はゼロワンの世界ヘビー級王者という頑張りに票を入れさせてもらった。
 なお、投票は決選投票までもつれ込み、小島=13、永田=12という1票差に。青義軍を牽引し、1年がかりで井上亘を成長させてG1タッグ優勝に導いた永田の敢闘を選考委員会は高く評価していたのだ。
【技能賞】カズ・ハヤシ
 ここでは①永田裕志②吉野正人③カズ・ハヤシ④プリンス・デヴィット⑤中邑真輔の5選手の名前が挙がった。
 私は去年と同じくカズを支持。去年は丸藤から世界ジュニアを奪回し、ジュニアとして『チャンピオン・カーニバル』に出場して公式戦で武藤に勝ち、準優勝したにもかかわらず賞を取れなかった。今年は世界ジュニアの防衛戦を10回行って、防衛最多記録の17を達成。しかもどの試合も、どんな相手でも好試合に仕立て上げた技術を推した。また、若い選手の適性を見極めて育てるコーチとしての手腕も評価した要素。
 1回目の投票でカズ=11、吉野=5の2人が残り、決選投票ではカズ=14、吉野=11と接戦だった。超満員の7・11神戸ワールド記念ホールでYAMATOを破ってドラゴンゲートの頂点のオープン・ザ・ドリームゲート王座を奪取し、これまた超満員の11・23大阪でCIMAを下して王座を堅守した吉野の、大観衆を満足させるエースとしての技術も高く評価された。
【新人賞】岡林裕二
 新人賞の対象になるのはデビュー3年までの選手。みちのくプロレスの拳王、大日本の岡林、IGFの鈴川真一、新日本のキング・ファレがエントリーされた。私がエントリーしたのはデビュー2年半ながら、いかにもプロレスラーという頑強な体を持ち、関本とともにストロングBJを牽引する岡林だ。今風でないところも逆にイイ。
 第1回の投票では岡林=10、鈴川=9の接戦に。元若麒麟こと鈴川は9・25JCBホールのデビュー戦でマーク・コールマンの心を折って勝利し、12・3両国ではデビュー2戦目にしてメインに起用されてモンターニャ・シウバに勝つなど非凡な才能を発揮しているが、わずか2戦しかしていないだけに「もう1年、見たらどうか?」という意見も出た。
 決選投票では岡林=15、鈴川=10で、岡林に凱歌が上がった。
【女子プロレス大賞】高橋奈苗
 04年~08年の間、該当者なしが続いた女子プロ大賞だが、昨年はさくらえみが受賞。今年はマニフェストで話題を呼んだ華名、JWP無差別級王者の米山香織、昨年に続いてさくらえみ、高橋奈苗、里村明衣子の5人もの名前が挙がった。
 私は敢えて他団体で防衛戦を行って米山革命を実践する米山をエントリーしたが、高橋が圧倒的な支持を受けて受賞! 風香の引退試合の相手、愛川ゆず季のデビュー戦の相手を務めた技量、プロレスの枠を超えてシュートボクシングの『Girls S-cup』で風香とSBルールによるエキジビションマッチを行ったことなどが評価された。
 昨年のさくらの受賞で女子プロ界のモチベーションが上がったことは確かだし、今年も女子プロ大賞で5人もの名前が挙がったことは喜ばしいことだ。
 その他、東京スポーツ50周年特別功労賞=アントニオ猪木、特別功労賞=ラッシャー木村、山本小鉄、ジョー樋口、星野勘太郎も決定した。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です