心からの叫び

 昨日の日本武道館での杉浦のファイトは鬼気迫るものがあった。潮﨑に馬乗りになって、止めに入る西永レフェリーを吹っ飛ばしてエルボーの乱打…。その姿を見て、去年の6月4日の後楽園ホールでの杉浦を思い出した。三沢さんが亡くなる9日前の大会だ。
 その日、後楽園の客入りはよくなかった。そんな中、第2試合で健介オフィスの起田と対戦した杉浦は不機嫌モード全開の叩き潰しファイト。凄まじい殺気を発散して急角度のオリンピック予選スラムで起田を事実上のKOに追い込んだ。杉浦は対戦相手の起田ではなく、すべての状況に怒っていた。
「起田? いいんじゃないスか? ひたむきでガムシャラで。それは今の俺にも必要なことなんで。ひたむきさがないとね。…寂しいよ、このお客さんの数は! 若いからじゃなくて、みんなが頑張らないと。辛いよ、これじゃあ!」
 思えば、この日から杉浦は目に見えて変わっていったと思う。そして、この日は杉浦のピリピリ感が他の選手にも伝染して、結果的には緊張感のあるいい大会になったという記憶がある。
 それから1年3ヵ月後の昨日の日本武道館。試合後、杉浦は「三沢さんのいない武道館は物足りないですか? 小橋さん、秋山さんが欠場して出場していない武道館は物足りないですか? 僕はそういうものとも戦っています」とファンに呼びかけた。それはノアの舵を取る者としての心からの叫びだった。
 控室でも「来てくれたら満足して帰ってもらう自信はあるんですけど、来ないことにはね」「上の世代を倒して、世代なんて関係ないのかなって気もしますね。その上の世代の時代ではお客さんがいっぱい来てたんで、四天王世代と戦っているのかもしれないけど、それは目には見えないものですよね」「この状況を見たら、尻に火がつかない奴がおかしい。半分も入ってないでしょ」と本音を炸裂させた。
 現時点で杉浦vs潮﨑はノア純血の頂点とも言えるカード。実際、試合は緊張感あるスリリングなものだったし、いわゆる四天王から続く匂いのない新しい風景だったと思う。杉浦は「潮﨑との試合の価値を上げて、お客さんを呼べるように…」と言っていたが、それは当事者の日々の試合が大事なのはもちろん、会社全体でいかに盛り上げていくかも必要なこと。10年を区切りにしてのノアの課題は多い。
 杉浦は今、本当の意味で世代闘争…時代と闘っている。

「心からの叫び」への3件のフィードバック

  1. まぁ、杉浦選手の葛藤もわかる気しますけどね。
    はっきりいって、昨日のお客さんは7200人もいなかった。
    何で水増しするのかなぁ?
    お客さん入らなかった!まだまだ努力する余地あり!次は頑張ろう!という前に、ノアって変な見栄がありますよね?
    何か大人の事情で水増ししなければいけない事があるんですかね?
    まずは今の己を見つめて、それから頑張らなければいけないのに、ノアは大事な何かを見て見ぬ感じにしてしまっているのでは?
    好きな団体だけに厳しい事かきますが、少なくともずっと「他所のところに頼らないでやっているのはウチだけ」という変な意地がジレンマを生んでいるのでしょうね。

  2. ここ最近、時折表れる杉様の寂しげな表情を見るたび、何とも言えない切ない気持ちにさせられます。
    そして先日のあのマイク…。思わず泣きそうになりました。
    なんか、ファンとしても悔しいですよ…本当、少しでもいいから報われて欲しいです…。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です