秋山準の終わりと始まり

 昨日の有明コロシアムはノアの創立10周年記念ビッグ・イベントのファイナル。トリを飾ったのは杉浦貴に秋山準が挑戦したGHCヘビー級タイトルマッチだった。10年前、ノアが旗揚げした時に主役に躍り出た秋山と現在の主役の杉浦の激突は、ノアのこれまでの10年の確認作業であると同時に未来を見据えた世代闘争。ファイナルにふさわしいカードである。
 試合前、偶然、通路で秋山と会った。いろいろな意味を込めて「期待しているよ!」と声を掛けると「頑張りますよ」と微笑。それは気負いもなく、自然体の穏やかな笑顔だった。
 さて試合だが、改めて今の杉浦の充実ぶりを感じさせるものだった。序盤に杉浦が場外で放ったネック・スクリューが勝負を決めていたと思う。秋山のセコンドの青木の慌てぶりは尋常ではなかったし、ここからの秋山は本当に気力だけで戦っていた。だが、今の杉浦は気力だけで何とかなる相手ではない。もちろん秋山も頑張ったが、終わってみれば杉浦の強さが際立った試合だと言っていいのではないかと思う。
 きっちりと“今”を守った杉浦に対して、敗れた秋山のコメントは印象深いものだった。
「強かった、ホントに。今までは全日本を少し引きずっていたかもしれないけど、杉浦はノアから始まった人間だから、これからが本当のノアだと思う。それを杉浦中心に作り上げてほしい。俺は三沢さんの40代でチャンピオンになった(44歳6ヵ月)っていう記録があるから、それを目標にしますよ。“10年前の俺”と言っていたことが負けですね。新しいものを作り上げていく気持ちがないと勝てない。最後は応援してくれる人たちのために戦いますよ。“杉浦より弱い”と感じているからコールしてくれると思うんで、それを逆にしないとね」
 秋山は時代がとっくに変わっていることを感じている。でも「ハイ、どうぞ!」と道を簡単に譲る気はない。「すぐに上に来た人間は長続きしないと思う。なるべく上から潰して潰してやった方がシチュエーションも面白いし、その本人も長続きすると思う」がかつての口癖の秋山だっただけに、現状をしっかりと見つめつつも、今後もノアの未来のために下の世代の壁であり続けようとするだろうし、一レスラーとしても再びイチからGHCを目指すだろう。昨日の有明コロシアムはノアが新しい時代に突入すると同時に、秋山にとっても新たなステージの始まりになったはずだ。

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