カズとTAKAが見せた重み

 昨日の全日本・後楽園は髪切りマッチあり、超党派軍vs新世代軍vsVMの全面対決6大シングルマッチ、そしてカズvsTAKAの世界ジュニア戦という出し惜しみないマッチメーク。そんな中でやはり最もインパクトがあったのはメインを締めたカズvsTAKAだった。
 共に92年にユニバーサル・レスリング連盟でデビュー。TAKAの方が3ヵ月先輩になる。Gスピリッツでユニバの代表だった新間寿恒氏にインタビューしているし(カズとTAKAの話は9月下旬発売の第17号に掲載予定)、2人の全日本マットにおける歩みを間近で観てきたから個人的に思い入れのある試合でもあった。
 思えばTAKAはカズから世界ジュニア王座を奪って12回防衛という渕に次ぐ記録を作った。そして4年前の06年6月25日の『ジュニア・ヘビー級リーグ戦』開幕戦で2人は激突。大会直前に右膝を手術していたTAKAは思うようなファイトが出来ずにカズに敗れ、TAKAの体調を知っていたカズは「この大会に優勝して、必ず世界ジュニア王座も獲る(当時の王者は近藤)。そうしたら、メインでベルトを賭けて戦おう!」とTAKAにエールを送った。世界ジュニア戦でのメインは去年の2・6後楽園で王者・丸藤vsカズという形で実現したが、カズがTAKAと防衛記録で並んだ段階での今回の対決は、4年前の約束を果たす最高のシチュエーションだったと言っていい。
 だが、今回もTAKAは右膝を手術したばかり。あの4年前の手術から、ずっと怪我と付き合ってきたのである。タイトルマッチ調印式の時点でTAKAは松葉杖という状態だったが、これはTAKAにとって何が何でもやらなければいけない試合だったのだ。
 髪切りマッチ、ヘビー級による6大シングルの後というプレッシャーがかかる中で、カズとTAKAはこの18年積み上げたすべてをぶつけ合った。2人の試合は今のジュニアの試合と全然違った。難解な技も、派手な飛び技も、ロープワークを使った攻防もない。グランド中心で、切り返しの妙、理に適った一点集中攻撃で観客を引き込んだのである。特に右足の自由が利かないTAKAは一度もロープを走ることはなかった。それでいて、ここぞのケブラーダ! それまで1回も飛び技がなかったからこそ、この1発は大きなインパクトだった。
 最後はカズのパワープラントで勝負がついたが、その直前のグーによる殴り合いは2人の会話に見えた。
 試合後、感心したのはTAKAが右膝の状態を言い訳にしなかったこと。彼は「すべてを出した上での完敗」と言い切ったのである。
「すべてを出しました。でもカズの方が上だった。まったく無名の団体から出て、まったく注目されない上に“あんなのレスラーじゃない”って言われていた2人が全日本プロレスでベルトを賭けてメインを張れるのが嬉しくて感傷的になっちゃって、試合前から涙が出そうでした。今日は前にヘビー級のシングルが6つもあったけど、ヘビー級の重みに負けたくなかった」とTAKA。
 18年間切磋琢磨してきたカズとTAKAの世界ジュニア戦には確かに他の試合にはない重みがあった。

「カズとTAKAが見せた重み」への2件のフィードバック

  1. TAKA選手、膝、悪いのに…男やぁ…
    言訳、しないところがカッコイイ..
    しかしカズ選手…絶対王者ですねぇ..今度は渕さんの記録に挑戦…抜けるか…

  2. 9月のGスピリッツ、楽しみにしてます。
    小佐野さんが執筆者、編集スタッフとして参加され、
    平成14年に発売された週刊ゴング増刊「王道30」を
    今も大事に持っています。
    将来のGスピリッツで小佐野さんの筆でつづられた
    「王道40」が読みたいです。
    これからも解説、執筆、がんばってください。

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