そこには技術を超えた戦いが

 昨年10月に右膝前十字靱帯を断裂して欠場を続けていたKENTAが昨日、7ヵ月ぶりにカムバックを果たした。それも、いきなり丸藤正道とのノア・ジュニア至高の対決とあって後楽園ホールは熱気ムンムン。入場前から大KENTAコールに包まれた。しかし興味深かったのは、試合開始のゴングが鳴るや、KENTAコールに負けない丸藤コールが起こったことだ。
「KENTAコール一色の中でやりたかったんだけど、そうならなかったのはKENTAがその位置にいるってことだなって」とは試合後の丸藤の言葉。恐らく観客はKENTAの復帰を祝福すると同時に、それだけで満足することなく、以前と変わらぬ激しい勝負を期待したということだろう。復帰戦であってもKENTAならそれが出来ると信じていたからこその「丸藤、手心を加えずにガンガン行ってくれ」という丸藤コールだったように思う。
 試合はやはり凄かった。いきなりハイスピードの攻防になったが、KENTAの試合勘は鈍っていなかったし、まるで丸藤に喧嘩を売るような顔面への蹴撃。対する丸藤はバリエーション豊富に非情な右膝攻撃。副社長という立場からすれば、ここでKENTAが壊れて再び欠場となれば、ノアという団体にとっては大打撃になるわけだが、丸藤はあくまでもGHCジュニア王座を狙う一レスラーに徹した。
 試合は実に26分51秒の熱闘。KENTAは初体験のタイガー・フロウジョンに沈んだ。だが、その顔には“やり切った感”があった。ファンにメッセージは発さなかったものの、胸を指差し、さらにリングを指差して「俺は、このリングの上にいる!」とアピールする姿は最高にカッコよかった。
「おい、クソ野郎! お帰り!」とマイクで声を掛け、拍手しながら花道を下がった丸藤。これに対してKENTAは「基本的には考え方は合わないですけど、そこはあの人なりのエールとしてありがたく受け止めて、次は倒したいと思います」とキッパリ。
 この2人の戦いは技術的に素晴らしい。だが単に技術だけでなく、考え方が違う“心の戦い”があるからファンの心を揺さぶるのだと思う。さあ、お楽しみはこれからだ!

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