冬の風物詩開幕!

 今年の最強タッグは21日の台湾大会が開幕戦ということで、昨日の後楽園ホールでは入場式がなかったのがちょっと残念だったが、それでも『オリンピア』を聞くと「もう年末なんだなあ」という気持ちにさせられる。最強タッグの前身の『世界オープン・タッグ選手権』でブッチャーがテリー・ファンクの右腕をフォークで突き刺したのは、私が高校1年生の時。その翌年から最強タッグが始まったから、もう32年目になる。私もそうだろうが、多分、多くのプロレスファンに最強タッグ=冬の風物詩が刷り込まれているだろう。
 さて、昨日の試合で印象に残ったのは、やはり武藤&船木vs長州&征矢。船木と長州の対決だ。船木が15歳で新日本に入門した85年の9月に長州は新日本を離脱。87年夏には復帰したが、翌88年4月に船木はヨーロッパ修行に出てしまったから、ほとんど接点はない。船木がヨーロッパに経つ9日前の4月17日、伊勢崎市民体育館のセミで行われた長州&小林邦昭vs藤波&船木が唯一のリング上の接点だ。調べてみると、この試合で船木は長州に果敢に骨法蹴り、回転エビ固め、ドロップキックで向かっていき、サソリ固めやバックドロップにも耐えたという。最後は小林のフィッシャーマンに9分11秒、フォール負けを喫したものの、試合後に長州が「よくやった」と握手を求めている。当時、私は全日本担当記者だったから、この試合は観ていない。私にとっては昨日が長州と船木の初対決だったわけだ。
 わずかな絡みだが、これは見応えがあった。船木の打撃を警戒しつつ、前に出、横にステップしながら間合いを詰める長州。船木の十字狙いから三角締め、さらに足へスイッチという流れと、それを防御する長州の攻防も興味深かった。
 プロレス復帰3シリーズ目に入って船木のファイトはバランスが取れてきた。当初は打撃やサブミッションを使うと「プロレスをやれ!」という野次が飛んだし、本人も意識してプロレス技を使っていた印象が強かったが、昨日はサブミッションを自然体に試合に織り込んでいて、それが観ている側にも違和感がないのだ。ようやく船木のプロレス・スタイルの形が出来つつあると言ってもいいのではないか。前の2シリーズは6人タッグがほとんどだったが、武藤とのタッグで様々な相手と対戦する最強タッグは船木の魅力を引き出してくれると思う。また、12・13後楽園ホールにおけるファン感謝デーで、船木は菊タローと一騎打ちを行うことが決定した。武藤は様々な形でプロレスという課題を船木に突きつけていると言っていいだろう。
 もうひとつ、昨日の試合で印象に残ったのは最強タッグ公式戦とは関係ないカズ&近藤vsKAI&大和のジュニア・タッグ対決。大和がカズから大金星を挙げて世界ジュニア挑戦をぶち上げたが、勝った大和よりもカズの方がインパクトは大! 大和の挑発にキレての張り手の乱打、場外戦、顔面を踏みつけるという潰しのファイトは普段のテクニシャンとは完全に別の顔。あの小さな体でメキシコやアメリカで生き抜いた根っこの部分を見せてもらったような気がした。いざという時の凄みこそ、キャリアを重ねた選手の魅力である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です