今、本田多聞がスゴい!

 今のノア・マットには選手のナマの感情&主張が露わになったドキドキ感がある。昨日の後楽園ホールにおける09年最終ツアー開幕戦もそうだった。
 第2試合の金丸&鼓太郎&平柳vs小川&石森&マルビンでは、金丸&鼓太郎のGHCジュニア・タッグを狙うマルビンがゴング前から鼓太郎に敵意剥き出し。石森との合体技スーパーブルーデスティニーで平柳を下して勝利した後も執拗に挑戦を迫り、毒霧噴射、ブルーボックスで殴打する大暴走をやってのけて、鼓太郎から「殺してやる!」の言葉を引き出した。
 この日が復帰戦となった佐野はヨネとシングル対決を行ったが、これが他とはちょっと違うUテイストの試合だったし、セミの健介&森嶋&宮原vs小橋&秋山&伊藤のGHCタッグ前哨戦は感情と体の真っ向勝負。ノア世代交代を訴える森嶋が小橋、秋山に一歩も退かず、その巨体でふっ飛ばして“今の力”を見せつければ、小橋&秋山も今現在の力で必死に押し返そうとしていたのが印象的。
「強いチャンピオンだ、ホントに。昔、小橋さんとハンセン&ベイダーとやった時のようだった。現時点では向こうの方が勢いがあるのは見ての通り。10年前は小橋さんが僕のことを心配していただろうけど、今は僕が小橋さんを心配していますよ。最高の状態で臨まないと、多分、俺らは勝てない。ああいうチャンピオンは倒し甲斐があります」(秋山)
「勝とうが負けようが、コバシコールの小橋劇場を破壊してやる」(森嶋)
 このGHCタッグはベルトの行方だけでなく、世代交代というテーマからも大一番になる。
 メインでは潮﨑が彰俊と、杉浦がバイソンと組んでGHC前哨戦。先週のSEMでの前哨戦については「2人の気持ちとファイトがバチッと噛み合わなかった」と書いたが、昨日はバッチバチに噛み合った。潮﨑のチョップと杉浦のエルボーの打ち合い、ヘッドバット合戦だけでも両雄の「ぶっ倒してやる!」という生々しい気迫がダイレクトに伝わってきたのだ。何しろ、あの分厚い杉浦の胸が潮﨑のチョップで出血したのである。そして最後も思わぬ展開が…。潮﨑が雪崩式フランケンシュタイナーを仕掛けたところで踏ん張ったバイソンがそのまま雪崩式バイソン・テニエルを決めて勝利! 獲物を取られた杉浦は憮然としてバイソンの胸をド突いて、さっさと控室へ。ダメージが大きい潮﨑も無言で控室に消えた。そう、今のノアは何が起こるかわからない。
 さて、そんな中で昨日、私が一番注目したのは本田多聞と青木篤志の一騎打ちだ。本来なら青木は中嶋勝彦と“閃光十番勝負”第9戦を行うはずだったが、勝彦が米国遠征で負傷したために急遽、組まれたカードである。
 10・31JCBホールにおける杉浦戦でレスリング技術を駆使した戦法で改めて実力者ぶりを知らしめた多聞は、昨日も自衛隊の後輩・青木相手に底知れない強さを発揮した。アマレス流のアンクルホールドで極め、首投げからケサ固め、あるいは肩固め。最後も回転地獄五輪スペシャルでガッチリと固めて勝利。
「やっぱ強いスね。やっぱ巧いは。レスリングの技術でどこまでやれるかをテーマに戦ったんですけど、完敗です。次の動きが読まれているし、しかもガッチリ極めてくるから。この前の杉浦さんとの試合を観ていて理想に近いなと思ったんで、今日は普通の試合をやりたくなかったんです。今日は凄く幸せですね。この試合が十番勝負でもよかったんじゃないかって。自分の未熟さと本田さんの凄さを知りました」と、青木は多聞へのリスペクトを込めてコメント。
 私が「オッ!?」と多聞に惹かれるようになったのは、8・29ディファ有明での健介戦から。健介のパワーファイトをねちっこい戦術で封じ込めて、苦しめ抜いたあたりから、その個性が際立ってきたと感じていた。そして杉浦戦、昨日の青木戦…レスリングの技術をプロレスに応用するファイトは観る者にとっては新鮮だし、対戦者にとっては脅威なはず。今、ジワリジワリと多聞の存在感が大きくなってきている。

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