勝ったのは真輔!果たして未来は…

 最近の試合の中で最も勝敗の行方が注目されたのは、昨日の中邑真輔vs棚橋弘至のIWGP戦なのではないか。普通だったら団体内の戦いであれば、どちらが勝っても内容さえよければいいというのが近年の風潮だが、この真輔vs棚橋は結果がすべてという感さえあった。どちらがトップに立つかで新日本の先の流れが変わるような影響力のある大一番だったからだ。
 アントニオ猪木への挑戦を口にすることで、今の時代のストロング・スタイルを打ち出した真輔。それに対して「ストロング・スタイルは新日本の呪い」として、過去を切り捨てて現在進行形の猪木色のない新日本を推進していくことを宣言した棚橋。ここ何年間かの新日本は棚橋的な方向に進んできたが、ここで真輔が棚橋に完勝すれば、ガラリと方向転換することも考えられるのだ。
 試合は、お互いのナマの感情が出て緊張感が生まれた。細かい内容よりも、大事なのはそこだ。そして勝ったのは真輔。
 かつて武藤が言った「過去の思い出には勝てねぇ」という言葉を引き合いに出して「誰が言ったか憶えちゃいねぇ。過去には勝てねぇ。昔の思い出とは戦えない。俺は29歳。プロレスもまだ7年。そんなこっちゃわかんない。過去と戦って何が悪い! 昔を越えようとして何が悪い! 未来は俺が創る! 生きたいように生きる! なりたい自分になる! それがプロレスラーだろ」と叫んだ。
 正直、真輔の年齢では、過去のプロレス黄金時代、アントニオ猪木の全盛期を体感していない。それでも、敢えて過去とも戦っていくという宣言は自らに重いものを課したことになる。
 それこそ、まだ7年。リング上では王者として自信満々でいてほしいし、リングを降りたら謙虚に様々なことを学んで身に付けてほしいと思う。
 一方の敗れた棚橋だが、今現在の新日本の在り方をきっちりと示したのは素晴らしいことだと思う。それによって今回のタイトルマッチは俄然、注目度が高まったし、“ストロング・スタイルではない新日本”を支持するファンも多いことを知らしめた。ゴタゴタ続きだった新日本をリードして、この3年間で新たな姿にしたのは棚橋であることを忘れてはならない。
 正直に書けば、私が個人的にシンパシーを感じるのは棚橋の方。だが、真輔の勝利によって先行き予測不可能な新日本もまた魅力的である。

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