熱い!棚橋弘至

 昨日のサムライTV『S-ARENA』のゲストは右眼窩内側壁骨折から17日にカムバック、11・8両国で中邑真輔のIWGP王座に挑む棚橋弘至だった。
 真輔vs棚橋は単なるライバル対決ではなく、イデオロギー闘争。猪木をターゲットにして「今のストロングスタイルを見せる」と豪語する真輔に対して「ストロングスタイルは単なる言葉。今の新日本は新しい時代に入っている」と棚橋。まるで水と油なのだ。番組本番前の控室でも話をしたが、猪木引退後の99年3月に入門した棚橋には猪木への思い入れはないし、接点もほとんどないとのこと。「むしろ関わらなくてよかったと思ってますよ」とさえ言っていた。そして番組本番でも熱かった。
「中邑は“今のIWGPに輝きはない”って言うけど、ベルトを輝かせるのは、それを巻いている王者だろって。ということは、その言葉は本人にも返ってくるんですよ」「僕には“イノキーっ!!”って言ったあとの“助けてください”って言葉が聞こえましたよ。誰かの力を借りようとするなって。プロレスを盛り上げていくには、たとえ遠回りでもプロレスをやっていくしかないんですよ」「今の新日本を守るのは自分の使命」「自分と中邑のどちらが正しいのか? それは11・8両国で勝った方が正しいんです」
 メモを取っていたわけではないから正確ではないが、そんな内容の熱い言葉がポンポン飛び出した。そして、その後に棚橋らしさが出た。
「熱い? あっ、キャラが違うな。今までのはナシってことにできないですか?」
 あくまでもチャラ男のキャラを通すのが棚橋の流儀なのだ。何しろ来年の新日本のカレンダーの12月の棚橋は背中に羽が生えているデザインで、どう見ても韓流スター風。あの猪木カラーのストロングスタイルのイメージとはあくまでも真反対の路線を突っ走っているのである。
 全日本プロレスがジャイアント馬場の世界&王道から武藤敬司の世界に変わったように、新日本プロレスもアントニオ猪木&ストロングスタイルからスポーツ・エンターテインメント的に変化してきた。その新日本の変化の先頭を走ってきたのは棚橋である。もちろん本人にも自負はあるだろう。
 きっと棚橋が支持されてきたのはチャラ男にして、内面は心の強いプロレスラーだからだと思う。今回の怪我にしても、やってしまったのは最後のボマイェではなく、試合途中のハイキック。ドロッとした粘り気のある鼻血が出て、右目が見えない状態で最後まで戦い続けた。どんなアクシデントがあっても最後まで試合をするのがプロレスラーなのだ。チャラいだけじゃない、そういう棚橋の本質をファンもわかっているからこそ、そこに確かな信頼関係が生まれているのだと思う。
 11・8両国は今後の新日本の方向性を占う大勝負。考え方のまったく違う者同士のイデオロギー闘争ほど、見る側にとって面白いものはない。

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