ドラゴンゲートの猿虐待疑惑について

 この何日間か、ドラゴンゲートが神戸の練習場で飼育していたニホンザルへの虐待疑惑についての書き込みが続いていた。
 この“事件”は若手選手のブログに虐待を思わせる画像や書き込みをしてそれが話題になり、さらに兵庫県警への通報もあって、動物愛護法違反容疑で捜査の手が入っていることがすでに一般紙でも報道されている。
 ドラゴンゲートの対応は5月30日の公式ホームページで『弊社としましても、直ちにこれらの事実確認をすべく選手、スタッフ等関係当事者から事情を聴取するなどいたしましたが、「コラ」(ニホンザルの名前)は弊社道場において長年にわたって飼育されていた猿であり、飼育当番である若手選手・練習生の間のアイドルとして可愛がっていたものでありますが、インターネット上で批判されておりますような動物虐待の事実は発見されておりません」と虐待を否定しつつも「皆様方に対する信頼を回復し、皆様方からの疑念を払拭すべく、さらに慎重を期して、再度の事情を聴取するなど事実調査を続行しております』として、ブログを書いていた選手を無期限謹慎処分、管理不届きとして岡村社長の謹慎及び減俸処分を発表した。
 また一般紙で報道された後の6月25日にはやはり公式ホームページ上で『今回の騒動につきまして、隠蔽することなく、再度できる限りの調査を行い、また警察や関係省庁に対しても全面的に協力し、全てのことに関して事情をお話ししております。そして事実関係が判明するための最大限の努力を行っておりますことをどうかご理解ください。また、もし今後、新たな事実が判明した場合には、あらためて皆様にご報告申し上げるとともに、然るべき処分等を行う所存でございます。(中略)今後も今回の騒動の事実確認はもちろんのこと、再発防止、身体だけでなく心の教育にも力を注ぎ、管理、監督していく所存でございます。そして今後、選手はリング上で最高の試合をお見せすることにより、そしてスタッフは真摯な対応をさせていただくことにより、皆さまからの信頼を再度いただけますよう一丸となって努力していく所存でございます。(中略)この度の騒動で純粋に試合を楽しんでいただいていますたくさんのファン、そして動物を愛するたくさんの方々のお気持ちを傷つけ、またご心配をおかけいたしましたことを、選手、スタッフ一同、改めまして心からお詫び申し上げます』と記している。
 今回の件は事実関係を明らかにするのはもちろん大事だが、それ以前にニュースになったという時点でドラゴンゲートのみならずプロレス界全体のイメージダウンになったことは否めない。
 私の気持ちは「何があったのかをきちんと記者会見を開いて包み隠さず明らかにする責任は当然あるし、虐待の事実が認められたのなら、それを謝罪し、誠意を持って社会的な責任を果たしてほしい」という、ごく当たり前のものである。

DDTの心意気を見た!

 昨日の後楽園はDDTにとって8・23両国初進出に向けて絶対に失敗できない大会だった。メインは両国でHARASHIMAのKO-D無差別級王座への挑戦権を賭けた高木三四郎と飯伏幸太の一騎打ち。ところが主役のひとりの飯伏が大会2日前の26日に感染性の急性咽頭炎で緊急入院という異常事態に。
 だが、高木の対応は迅速だった。26日の時点でホームページを通じてチケットの払い戻しを当日の受付で行うこと、また後楽園の半券を持っている人は7・10新木場における髙木vs飯伏のワンマッチ興行を無料で観戦できることを告知、大会前日の27日には飯伏の代打としてバトラーツの沢宗紀が高木と戦うことを発表した。
 実は昨日、澤はゼロワン郡山大会に出場していた。後楽園に到着したのは休憩前という慌ただしさだった。それでも「2005年にランジェリー武藤でDDTさんに出させて頂いて、そこから仕事が入ってくるようになったから、いつか恩返ししたかった」という澤は全力ファイト。試合の途中で右手の指を裂傷するというアクシデントもあったが、20分28秒もの熱闘をやってのけた。試合後のサワ・コールは感動的なものだった。
 もちろん高木にも遊びはなし。真っ向勝負からクローズライン・フロム・ヘヴンで澤を沈めた後に「40度以上の熱がある飯伏を出すわけにいかないし、今日は澤クンじゃなきゃ駄目だった。バチバチって言葉はあんまり好きじゃないけど、バンバンボコボコのファイトで…。飯伏のぶち切れた時と澤クンのぶち切れファイトは甲乙つけがたいので。両国を成功させるには、こういう澤クンのようなスパイスが必要なんですよ。急なオファーを受けてくれた澤クン、バトラーツの石川社長、ゼロワンさんに感謝しています」と語った。
 髙木、澤、他のDDTの選手&スタッフはこのアクシデントの中で心意気を見せてくれたと思うし、十分にファンに伝わったと思う。今回のことをバネにこの熱を両国に持って行ってほしい。
 サプライズとしては両国でポイズン澤田JULIEと蝶野正洋の一騎打ちが決定した。呪文EDになっていたポイズンは新日本で同期だった後藤達俊の力を借りて復活、高らかに“打倒!蝶野”を宣言した。ポイズンは新日本道場に関して言えば、蝶野より2年先輩になるのだ。

アパッチの活動休止問題について

 昨日は新木場で久々のアパッチプロレス軍。前回の5・22新木場に金村キンタローが不法乱入したことを受け、今回のメインは佐々木貴&葛西純vsGENTARO&竹田誠志によって“新生アパッチ”を見せるという。その心意気を確認しに会場に足を運んだわけだが、会場入りするなりショッキングな事実を知らされた。
 それはアパッチの活動休止。すでに決定している8・8一関大会はアパッチの名前で開催されるが、実際にはこの新木場大会をもって活動休止にするというプレスリリースがアパッチプロレス軍事務局の名前で流れたようだ。それも各社に届いたのは午後5時半過ぎとのこと。すでに選手たちは会場入りしており、恐らく選手たちの大半はこの事実を知らなかったと思われる。
 報道陣は選手たちへの影響を考慮して試合前にはこの話題には触れなかった。試合は、私的には第1試合の宮本裕向vs神威、メインのタッグが良かった。第1試合では久々にデスマッチ・ファイターではない宮本の徹底した足攻めから足4の字固めでフィニッシュという試合は新鮮に映ったし、宮本に食らいつく神威にも好感が持てた。メインのタッグは「レフェリーが特に危険とみなした凶器もOK」というアパッチルールだったが、ハードコアにはならず真っ向勝負。そこには4選手の様々な思いがあったはずだ。そしてGENTAROがバックドロップ・ホールドで貴をフォールし、熱闘は24分11秒でピリオドを打った。
 さて、活動休止問題である。果たしてどうファンに説明するのか? 勝利したGENTARO&竹田はそのまま何も語らずに花道を引き揚げる。貴と葛西は客席四方に深々と頭を下げ、向かい合って星座をし、深々と礼をすると抱き合い、そして無言で花道へ。リング上には2本のマイクが置き去りにされた。
「8月の岩手(一関)大会はアパッチプロレス軍として決行します。それ以降は白紙です。ただ、アパッチとしての活動は休止しても、俺は止まりません。それがアパッチなのか、違う何なのかは言えません。走り始めた以上は立ち止まれない…こんなところで終われない。突っ走り続けます。自分に付いてきてくれる人がどれだけいるのかわかんないけど、意思の疎通は取れていると思います。今日はリリーズが先走った感じで驚いたところもあったし、(ファンに)きちんと説明できませんでした。僕の力不足を痛感していますし、僕の不甲斐ないところだと思います。今日は説明できませんでしたけど、自分たちの道を定めてきちんと発表したいと思います。僕は馬鹿かもしれないし、要領も悪いかもしれないけど、どこまでもまっすぐに突っ走ります」と貴。
 どうやら内部的な問題でアパッチプロレス軍という名前を使うことに問題が生じたようだ。
「僕はこのメンバー、この世界を続けていきたい。後ろを振り返るのはやめたいし、自分たちが輝ける場所を創っていきたい。終われない…終わってたまるかの気持ちです」と貴は言葉を続けた。
 私は内情をまったく知らないから何とも言えないが、少なくともアパッチ=金村というイメージが強いのは事実。ならば看板にこだわらずに新しい道を行くのが最善の道だと思う。この無骨な集団が8月以降もまっすぐに歩んでいくことを願いたい。

どうなる!?ハッスル

 最近のハッスルはハッキリ言って私好みになってきている。というのは様々なトッピングがあっても「最終的に見せるのはプロレス!」という方針が感じられるからだ。
 昨日の後楽園にしてもモンスターHGvsRGは、RGがHGにしたためた手紙が重要な役割をしていて、試合中にRGが手紙を読むと、スクリーンには回想シーンが映し出されるというハッスルならではの演出があったが、それが楽しめるのもそれまでの攻防がハードだったからだ。HGのイス攻撃でRGの背中は内出血を起こして腫れ上がっていた。また第2試合のアン・ジョー司令長官vs小路二等兵vs坂田亘は小路のモンスター軍離脱のストーリーラインに乗った試合ではあるが、これも一昔前ならUインターvsPRIDEvsリングスの3WAYマッチという信じられないカード。これをサラッとファイティング・オペラという舞台でやってしまうのがハッスルの世界だ。
 そして昨日の本当の見所は第1試合のレイ大原vsKGとメインの川田利明vsマグナムTOKYO。何があっても最初と最後はきっちりとプロレスを見せてくれた。大原vsKGは男vs女のミックストマッチだということを感じさせない試合。それは大原の巧さもあるし、KGの成長が大きい。KGはルチャ的な大技だけでなく、大原の強い当たりを受け止めるだけの受け身、体力を身に付けてきている。だから試合を見ていても違和感がない。きっちりとプロレスラーになったと言っていいだろう。メインの川田vsマグナムは遊びがないシビアな試合だった。そしてお客さんがこうした試合をちゃんと見てくれるようになったのが、今のハッスルには大きいと思う。
 ただ、気になるのはハッスルの今後だ。正直な話、今年になって客足が落ちてきているのは否めないし、7・26両国の『ハッスル・エイド2009』をずっとアルマゲドン(最終戦争)として煽ってきた。そして昨日は『ハッスル・エイド2009』のタイトルが“さよなら髙田総統”であることが発表された。髙田総統自身、「後楽園のバルコニーに立つのは今日が最後」と明言。一体、これは何を意味するのか? ひょっとしたら7・26両国で最後!? いやいや、8・27後楽園までの日程はすでに発表されている。
 いずれにせよ、今、ハッスル内部で何かが起こっているのは確か。これが大ドンデン返しの布石なのかは現時点では皆目見当がつかないが、ようやくプロレス的な方向性が定まってきたように感じていただけにハッスルの今後が気にかかる…。

Gスピリッツ第12号情報PART2=武藤敬司の猪木vsアリ論

明日発売のGスピリッツ第12号の『猪木vsアリ特集』では33年が経過した今の視点から世紀の一戦を検証するということで、ボクシングの視点として現・東日本ボクシング協会会長で元WBA&WBC世界ストロー級チャンピオンの大橋秀行氏、総合格闘技の視点として現・日本ブラジリアん柔術連盟会長で元・修斗ウェルター級王者の中井祐樹氏が取材に応じてくれている。
 そしてプロレスの視点として登場してもらい、私が取材したのが武藤敬司だ。全日本の社長室で猪木vsアリのVTRを一緒に観ながらの取材になったが、高校時代の“柔道の鬼”木村政彦との出会い、東北柔専時代の和術慧舟會・西良典との思い出、競技論、プロレス論、興行論、猪木論…猪木vsアリは武藤の引き出しを次々に開けてくれた。
 あの猪木vsアリをも呑み込んでしまう武藤哲学はハッキリ言って凄い。とにかく読んでみてください!

Gスピリッツ第12号情報=33年目の新証言

 今日は明後日26日(金)に発売されるGスピリッツ第12号について書かせてもらう。特集は『アナタは世紀の一戦の“虚”と“実”を見抜けますか?』と題した1976年6月26日に行われたアントニオ猪木vsモハメド・アリの検証で、私は大塚直樹氏と栗栖正伸に取材した。
 のちにジャパン・プロレス社長となる大塚氏は、当時は営業部次長。試合直前まで猪木と一緒にチケット売りに奔走し、試合当日はジャッジぺーパーの集計係としてリングサイドに座っていた。
猪木&新間営業本部長の腹心から見た猪木vsアリとは何だったのか? チケット営業の間に見た当時の猪木の素顔は? また、大塚氏にはのちに『ジャッジぺーパー改ざん疑惑』が浮上したが、その真相は?
“イス大王”こと栗栖正伸は、当時は猪木の付き人。アリ戦当日も運転手として猪木の送り迎えをやっている。栗栖は、実はアメリカで猪木と知り合って新日本プロレスに入門したというちょっと変わった経歴の持ち主。そんなことも踏まえての栗栖さんの立場から見る猪木vsアリも新鮮だった。
 33年間語られなかったことを大塚さん、栗栖さんから引き出せたので、ぜひ読んでいただきたい。

ノア、6月ツアーを完走!

 昨日は後楽園ホールでノア6月ツアーの最終戦。私にとっては悲しい出来事があってから初めてのノア。正直、あれ以来、悲しみの一方でどこか実感がなく、心がザワザワしていた。これで実際にノアの会場に足を運んだらどうなるのかちょっと怖かった。
 試合開始2時間前、後楽園ホールに着くと当日券を求めるファンの人たちが長蛇の列を作っていた。
 会場に入り、仲田龍統括本部長、福田レフェリー、西永レフェリーらに挨拶。やはり仲田統括本部長の顔を見たらこみ上げるものが。私にとってはいつまで経っても三沢&仲田コンビは“みっちゃん&りゅうちゃん”なのだ。
 昨日は夜10時からサムライTV『S-ARENA』の仕事が入っていて、感傷的な気分を引きずって番組に行ったらよくないなと心のどこかで不安もあったが、やはり後楽園ホールに行ってよかった。結局、私が観ることができたのは青木vsライガーまでだったが、選手たちの踏み出そうという前向きな気持ち、それを後押しするファンの気持ち、選手とファンの一体感を実感することができたからだ。
 齋藤彰俊にも大きな声援が送られた。彰俊は「これからのノアをよろしくお願いします!」と力強く言った。石森と電撃和解して次期ツアーのジュニアヘビー級タッグリーグ戦3連覇を宣言したKENTAは「緑のマットは止まらねぇぞ!」と叫んだ。そう、止まっている場合ではない。とにかく一歩でも半歩でも前に進むのみだ。
 最後に秋山について。秋山が腰の負傷を理由にGHC王座を返上して欠場したことについて「実は精神的なショックで…」とも囁かれていた。昨日、本人と話したところでは9日の沼津大会から違和感を覚え、13日の広島大会のタッグマッチではコーナーに待機している時もトップロープにつかまって立っていることができず、セカンドロープを握って立っているのがやっとだったという。三沢さんの異変の時も這うようにリングに向かったものの、自分自身が周りに迷惑をかけると判断して途中で控室に引き返したそうだ。最終的には神経ブロックの注射を打っても効かない状態で、ベルト返上&欠場を決断したとのこと。状況が状況だっただけに、この決断は秋山にとってかなり辛いものだったに違いない。1日も早く治して、また元気なファイトを見せてもらいたいと思う。
 6月ツアーを完走したノア。一息つく間もないのが現実だが、とりあえず選手&関係者に心から拍手を贈らせていただきたい。

昨日の主役は荒谷望誉!

 昨日の後楽園ホールにおける全日本プロレス『CROSS OVER09』開幕戦は話題満載。次期シリーズで開催されるジュニア・ヘビー級リーグ戦に向かっての動き、ジョー・ドーリングとゾディアックの遺恨決着戦、7・5金沢に向かってジュニア王者カズとMAZADAがタッグ前哨戦、6人タッグでみのる&ケアと武藤&河野が世界タッグ前哨戦、その6人タッグでは三冠挑戦を睨んで諏訪魔が王者・高山をジャーマンでフォール。また、三沢さんに捧げるように武藤がケアにエメラルド・フロウジョンを決めれば、お返しにケアがタイガー・ドライバーを見舞うシーンも生まれた。
 だが、昨日の主役は7・26後楽園で引退する荒谷望誉。トホホじゃない時代に何度も好ファイトを繰り広げた小島聡とメインで一騎打ちだ。
 今現在のコミカル路線でいくのか、それともシリアス路線でいくのか…。試合は序盤から小島のペース。実は試合開始早々に荒谷の古傷である左ふくらはぎがバチッと音を立てていたという。
 気付くと花道の奥から「アラヤー、最後ぐらいしっかりしろーっ!」の声。よく見ると荒谷の奥さんだった。言葉はちょっとキツイけれども、目に涙を溜めて、そしてこれ以上ない優しい笑みをたたえてリング上の荒谷を見つめていた。
 荒谷の奥さんは明るくて肚の座った女性。96年6月1日に荒谷がムーンサルトに失敗し、額からキャンバスに突っ込んで第七頸椎棘突骨折という重傷を負った時も毅然としていたし、天龍さんのグーパンチで顔が変形するほどボコボコにされても明るく振る舞っていた。奥さんも娘さんも上辺ではない本当の荒谷の強さを知っている。強い夫、強いお父さんを全面的に信頼しているのだと思う。だから、荒谷は胸を張ってお笑い路線を突き進めたのだろう。
 昨日の荒谷はカンチョーなどの普段のお笑いテイストを織り込みながらも、パワフルなラリアット、パワーボム、ムーンサルト・プレスと“本来の姿”もチラリ。いつの間にか武藤社長がリングサイドに陣取って荒谷を応援し、普段の“お笑いプロレス”では天敵の村山レフェリーも「カバーに行け!」と、荒谷寄りのレフェリングに。ファンはもちろんアラヤ・コールだ。
 最後はカチ上げ式のラリアットに大の字になったが、序盤での左ふくらはぎのアクシデントを感じさせない熱闘だった。
「あの人とやるといつもそうなんですけど、凄い気持ちいい痛みというか。負けたけど楽しくできました。あの人は同世代のトップを走っていて、この会社に入る前から目標っていうか、近づいて追い越さないとって思っていたんですけど、いつの間にかこうなってしまいました、私は。あの人を越えることはできなかったですけど、最後に試合組んでもらってよかったです」と荒谷。
 7・26後楽園の引退試合は菊タローとバカ兄弟を結成して渕正信&TAKAみちのくと対戦することが決定した。本当は天龍さん、あるいは川田相手に“本当は強い荒谷”としてゴツゴツしたファイトをやってほしいと思っていたが、本人はレスラー生活の最後に選択したお笑い路線を貫く覚悟。そういったところが、私からしたらWAR的というか、頑固な一面なのだ。
「自分なりに思い切りやって終わりたいです」と荒谷。最後にお笑いプロレスの集大成を観させてもらいます!

Gスピリッツ第12号表紙&主な内容です

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 6月26日(金)発売の『Gスピリッツ第12号』の特集は“史上最大のミステリー=アントニオ猪木vsモハメド・アリを読み解く”です。発売日のちょうど33年前の1976年6月26日に東京・日本武道館で実現した世紀の一戦はこれまでにも様々な形で取り上げられているが、あまりにも謎が多い。そこでGスピ流に斬り込んだのが今回の特集。
題して『アナタは世紀の一戦の“虚”と“実”を見抜けますか?』。
何だか意味深でしょう? インタビューには以下の人たちに登場していただいていますが、この特集は単なる証言特集で終わるのではなく、当時の状況をGスピならではの視点で検証しているので、お楽しみに。
【インタビュー】
大橋秀行
中井祐樹
武藤敬司
坂口征二
木村健悟
栗栖正信
ドン荒川
佐山聡
大塚直樹
【実録・国際プロレス】
ストロング小林と覆面太郎
【ジャイアント馬場外伝】
ショーヘイ・ババのアメリカ武者修行
【伝説のルチャドール】
“青い矢”アニバルの足跡
【秘宝発掘】
世界各国の戦前レスリング稀覯本
私が取材した内容については、追ってダイアリーで書いていこうと思っていますので、御期待のほどを…。

新たな戦いの始まり

 どんなに深い悲しみがあろうともプロレス界は動いていく。それを感じさせてくれたのが昨日の後楽園ホールにおける『ザ・グレート・サスケ20周年突入ツアー』開幕戦だった。
 試合前にはみちのくプロレス旗揚げ時からレフェリーとして、裏方として尽力したテッド・タナベさん、そして三沢光晴さんの追悼セレモニー。その前にはみちのく旗揚げの頃、テッドさんと喧嘩ばかりしていた気仙沼二郎が「テッドさん、今日も一生懸命戦います。観ていて下さい」と『俺の海』を熱唱した。
 そして試合になれば、テーマは世代闘争。普段は敵対している正規軍と悪のユニット九龍が合体してサスケ、人生、かつてみちのくを盛り上げたレジェンドたちに挑むというのが今回のツアーのコンセプトだ。
 第2試合にはサスケの師匠ウルティモ・ドラゴンがサプライズ参戦してヤッペーマン1号&2号と合体し、大柳&日向寺&梶原と対戦。ウルティモがアサイDDTでかつての教え子・大柳を仕留めた。闘龍門2000プロジェクト(T2P)としてデビューしながら家庭の事情で一度はリングを去っていた大柳が思わぬ形での師匠との対戦に感激していたのが印象的だった。
 第3試合では、みちのくOBのTAKAみちのく&メンズ・テイオーが沼二郎と合体してラッセ&南野&まぐ狼と対戦。沼二郎がまぐ狼にプランチャ、テイオーが南野にテイオー・ロックを決めている間にTAKAがラッセをみちのくドライバーⅡで仕留め、レジェンド軍の完勝だ。
 10日前にサスケとのSTRONG-K戦をテッドさんに裁いてもらったTAKAは「俺らはまだ負けられないよ。テッドさんは最後まで戦い抜いたんだから、まだまだ若い者には負けない。俺と大塚さん(テイオー)は飛び出しちゃったけど、こうして生え抜きの沼二郎は頑張っているし、今日の東北ジュニアもサスケに獲ってもらって、俺はサスケvs沼二郎が見たい。いつまで最前線でできるかわからないけど、若い選手たちの壁になるのが俺たちの役目。若い奴らは勢いがあるけど、こっちには経験と絆がある」と涙ながらに語ったTAKA。テイオーは「今日はノーコメントで…」と言い残して控室に消えた。
 セミの人生&タイガーマスク&ディック東郷vs佐藤兄弟&野橋も佐藤兄弟にタイガーが卍固め、東郷がクロスフェースを決めている間に人生が野橋に極楽固めというレジェンド軍の圧勝。
 会場のムードもテッドさんのことがあっただけにレジェンド軍を完全に後押し。メインの東北ジュニア戦ではサスケのセコンドにウルティモ、TAKA、テイオー、東郷、沼二郎が付き、ハッピーエンドへのお膳立てはすべて揃った。しかし、ここに現実を突きつけたのはキャリア5年弱、22歳の若き王者フジタ“Jr”ハヤトである。
 試合はお互いに足を極め合うなどのシビアな攻防に。先日のTAKA戦で敗れながらも復活の兆しを見せたサスケはシリアス・ファイトで若き王者に迫ったが、結果的にハヤトはそれを振り切った。最後は左右のハイキックからヘルム(顔面への膝蹴り)! ハヤトは時計の針をキッチリと進めてみせた。
 試合後には新局面が生まれた。まずは「あと10年はやろうと思います」というサスケの決意表明に大きな拍手が起こり、続いてマイクを取った社長の人生がハヤトに「お前にとってひとつ足りないものは鎬を削るライバルだよ」と語りかけ、そこに昨年3月にデビューして1年前に修行の旅に出て消息を絶っていた拳王が出現。
「どんな挑戦者が来てもよ、最後に勝つのは俺だ。別に今日勝ったからって世代交代したなんて思ってねぇよ。でも、これからのみちのくプロレスは、このフジタ“Jr”ハヤトが世界一熱くて、世界一面白いプロレス団体にしてやる。これからの俺たち九龍、そしてフジタ“Jr”ハヤトに付いてこい!」と絶叫した若き王者は、サスケの「チャンピオンベルトはちゃんと腰に巻け!」という忠告を受け入れたかのように、チラッとだけベルトを腰にすると、すぐに再び肩に掛けた。
 ツッパっている王者はこれでいい。心の奥底でサスケや先人たちへのリスペクトがあればいいのだ。リングに上がれば容赦なく叩き潰すのみである。
 王者ハヤトの勝利によって真のスタートを切ったと言っていい世代闘争、そして拳王という新たな力の出現…みちのくプロレスは新時代に突入した。