“プロレスラーでない者”がリングに上がることについて

 私のサイトを見てくれるファンの多くが“プロレスラーではない者”がリングに上がることに拒絶反応を示している。これは当然だと思う。私もそうだったし、私のファン時代には試合はおろか、歌手がリングで歌を歌おうものなら「神聖なリングを汚すな!」と怒号が飛び交う状況だった。
 そして今のプロレスは“プロレスラーではない者”がリングに上がる時代になった。ハッスル、武藤敬司&お笑い芸人・神奈月がタッグを組んだF1、そして先日の全日本プロレス&『腐男塾』のコラボ・イベントなどなど。
 私は、F1は完成された武藤ワールドの中でのお楽しみアトラクション、全日本&『腐男塾』は『腐男塾』のイベントに全日本が参加した新たな試みと解釈しているから、そこに抵抗はない。難しいことは考えずに単純に楽しませてもらっている(と言いつつも、いろいろ感じることもあるが…)。
 そこでマサマサさんから「アトラクションと“本戦”の線引きがないようなシチュエーションで素人がリングに上がって試合をしてしまっているハッスルをなぜ肯定するのか?」というコメントを頂いた。ハッスルについては最近会場に足を運んでいなかったが、23日=草加、27日=後楽園に取材に行く予定なので、その2大会を観てから改めて見解を書かせてもらおうと思う。
 もうひとつ、掲載は控えさせてもらったが、全日本&『腐男塾』コラボ・イベントについて「本当に頑張ったと思う。だけど、ぶっちゃけプロレスはやってほしくなかった。1年間、道場に住み込んで練習してもデビュー出来ないのが現実なわけで、簡単にはプロレスラーになれないから」というカズ・ハヤシの言葉を載せたところ「カズ選手の意見に同意。でもカズ選手は主催側の人間で、一緒にリングに上がっている。反対との意見を持っているのなら、なぜイベントの前にきっちりと発言しないのか? 認めてしまった以上、肯定してるのと同義。あの女の子(青明寺浦正)が怪我でもしてたら、どう責任を取るつもりだったのでしょう? そのことによって業界が被るダメージも…」。さらに「女の子だけじゃなく、カズ選手の所属する全日本ではお笑い芸人を平気でリングに上げています。彼らもいつ、大怪我するか、もっと言うと死ぬ可能性だってあるわけです。そのあたりもどう考えているんでしょう」というコメントがあった。もちろん、この方は素人がリングに上がることに大反対している。
 まずカズのコメントだが、自己保身のための発言ではなく、本音がポロッと出たと私は感じた。それは全日本のコーチとしては当然の気持ちだろう。
 だが、あのコラボ・イベントは浦正が試合をすることで成り立っていたものであり、カズはそのイベントのプロデューサーを任されている立場だった。だからカズは「最低限、怪我だけはしないようにしなければ!」と浦正を道場で厳しく指導した。私は、カズは置かれた立場で最善を尽くしたと思うし、『S-ARENA』に一緒に出演した時に浦正が「プロレスファンに失礼になっちゃいけない。怪我をして迷惑をかけちゃいけない」と真摯に取り組んでいるのがわかったから好感が持てた。
 F1に上がった芸人たちも事前に全日本の道場で指導を受けていたし、プロレスをリスペクトして真摯に取り組んでいたから、私は好感を持った。もっとも、そういう姿勢を持ったタレントでなければ全日本もリングに上げることはないはずだ。
 確かに怪我は本当に心配。いくら指導を受けても、怪我をする危険性は高いし、お楽しみイベントでアクシデントが起こったら、これはもう話にならない。タレント・サイド(本人、事務所を含めて)もリスクを承知の上でリングに上がっているはずだが、やはり何かあってはいけないのだ。そこには対するレスラーの技量というものも大きなウェートを占める。
 最終的に私はシンプルにこう思っている。興行はビジネスだから拒絶反応を示す人間が多くて客入りが悪ければそのイベントは淘汰されるだろうし、逆に「面白い!」と思う人が多ければ継続されると。最終的にはお金を払うファンがチョイスできるということだ。
 一番大切なのは報道や評判でなく、自分の眼で見て、自分の感性で判断してほしいということ。そこには理屈はいらないし、正しいも間違いもない。そういう意味では、全日本&『腐男塾』コラボ・イベントは単純に楽しめたし、今後の持っていき方では可能性があるものだと私は感じた。あくまでも私個人が感じたことである。

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