金本浩二の大仕事

 昨日はドラゴンゲートの両国国技館初進出。思えば、その前身の闘龍門が日本に逆上陸を果たしたのは10年前の99年1月だった。当初の興行は闘龍門というプロレス学校卒業生の発表の場だったのが、団体になり、ドラゴンゲートという新体制になって、ここまで来た。専門誌以外にはあまり取り上げられないという現実の中でマスコミに頼らない戦略を考え、独自の価値観&世界観でファンを獲得し、両国にまで進出したのだから大したものだ。
 そんな記念すべき大会で私の印象に残ったのは、吉野からブレイブ王座を奪取して完全復活を宣言したCIMAとメインのドリームゲート戦で王者・土井成樹に敗れた新日本の金本浩二のふたり。
「この会社のことが好きだけど、ドラゴンゲートのパンダにはならない!」というCIMAの試合後の言葉からは“ドラゴンゲートの象徴”ではなく“リアルタイムのトップで在り続ける”という決意が感じ取られた。
 金本はメインの舞台で王者・土井に花を持たせることなく、容赦なく攻め立てた。14歳下の王者を圧倒して試合を支配したのである。ドラゲーという空間にあって、若々さで負けない金本はさすが。そして決して上目線ではなく、同じ目線で徹底的に攻め込んだことに好感が持てた。今回、ドラゲーの両国のメインを任されたことの意味と重要性を金本が理解して臨んでいたことは試合後のコメントでも明らかだ。
「土井は今日、大仕事をやってのけた。俺に獲られたらドラゲーは終わりや。ひょっとしたら、モッチーはこれを狙って俺を呼び込んだんじゃないかな。土井が俺に勝つなんて、不可能に近い。でも今日、土井が俺に勝ったということは、やっぱりモッチーがアイツにチャンピオンを植えつけようとして俺を呼んだんだと思う。俺、はめられたよ、モッチーに(苦笑)。ドラゲーがワンステップ上に行くために。やっぱり、認めなきゃしゃあないよ。あのフィニッシュ(マスキュラ―ボム)だけは何とか阻止しないとと頑張ったけど。やっぱり、このトシで元気があると思うけど、若さには勝たれへんのかな(苦笑)」
 金本はドラゲー側の真意がわかっていたからこそ、敢えて徹底的に追い込んだのだと思う。それで土井が潰れるなら、潰してしまおうというぐらいの気持ちだったはずだ。それがレスラーの気概というものである。
 数々の課題は残ったにせよ、土井は踏ん張った。それまでの展開はどうあれ、フィニッシュのマスキュラ―ボムは説得力十分。これは金本も納得だろう。
「ドラゲーのメインイベントという大役を果たして、俺はさらに上に行ったはずやから、新日本に帰ってもう一発頂点を目指す」とした金本は遅れて戻ってきた土井に「チャンピオン!」と声を掛けて、こうエールを送った。
「俺は、新日本のジュニアでもう一回頂点に立つから、ずっと(ドリームゲートを)防衛して。俺もジュニアのチャンピオンになって、もう1回。今度はダブルタイトルマッチでやろう。その時はよろしくお願いします」
 ちゃんとチャンピオンに対するリスペクトを示しつつ、エールを送ってくれた金本に対して、土井は「ありがとうございました!(ダブルタイトルマッチを)お願いします。絶対に守ります、このベルト!」と深々と頭を下げた。
 まだまだ発展途上の王者・土井にとって、この金本戦は今後の財産になるはず。実際、団体の垣根を越えて大仕事をやってのけたのは42歳のベテラン、金本浩二だった。

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