2009年ノアの胎動

 昨日は前日に引き続いてディファ有明へ。ノア1月ツアーの開幕戦だ。夜にはサムライTV『S-ARENA』の仕事が入っていたために会場にいられるのは7時半まで。メインの健介vs秋山タッグ前哨戦は無理にしても、セミの佐野vs潮﨑は観たかったが、残念ながら潮崎の入場時点で会場を後にしなければならなかった。
 前日の丸藤プロデュース興行を含めて感じたのは「ノアが動き出したなあ」ということ。初日の第1試合で先輩・菊地と15分時間切れで引き分けた青木は菊地を攻略できなかったことを悔しがる一方で「自分から動くことをしないと駄目ですね。自由にやらないと損するって気付いたんで。ちょっとでもアクションを起こせるように頑張ります」とキッパリ。ただ単にアクションを起こすという宣言ではなく、“アクションを起こしていいだけの内容と結果を出したい”というニュアンスに好感が持てた。
 この初日で大きかったのはKENTA&杉浦が田上&高山に勝って“従来の格”をひっくり返したことだ。ダウンした高山の顎に蹴りをぶち込んで、あわや失神というところまで追い込んだKENTAは「この1勝は大きい。何かを変えられるんじゃないかと思った。内容も大事ですけど、観ている人は“どっちが勝つか”ということに興味を持つと思うんで、今年は結果にこだわっていきたい」と勝負優先を宣言したし、1・4東京ドームにおける新日本との対抗戦で中邑に敗れた杉浦は田上をオリンピック予選スラムで攻略して、雪辱に向けて再スタートを切った。
 2日間を通じて弾けていたのが森嶋。あの巨体をフルに活かしたファイトと躍動感は他のレスラーにないものだし、自信を持って、伸び伸びと試合を楽しんでいる印象。この男が新日本や全日本との対抗戦に乗り出したら、かなり面白い展開になるはず。個人的には、新日本だったら中西、全日本だったら諏訪魔との一騎打ちが見てみたい。
 それ以外の動きでは、力皇が秋山とのコンビを解消してヨネと組んでいくことを表明。バトラーツ出身で、インディー的なプロレス頭を持つヨネは「ノアをひっくり返したい。他団体も巻き込んでいきたい」と意味深な言葉で今後を語っている。
 NOSAWA論外相手に世界ジュニア王座を防衛した丸藤は、カズ・ハヤシの挑戦を受諾して全日本に乗り込む構えだ。
 今年の注目は昨年暮れに凱旋帰国した潮崎。初日では健介vs秋山の6人タッグ前哨戦に参加し、主役であるべき秋山を差し置いて健介に向かっていった。そして昨日の佐野戦は観ることができなかったが、勝っても内容に満足せず、勝ち名乗りを拒否したという。その姿勢はよし。以前の潮﨑はおっとりとした感じだったが、今の潮﨑はアメリカで揉まれてギラギラしている。今ツアーは本田多聞、力皇とのシングルもあるだけに、一気にノアの真ん中に立つことができるかの正念場を迎える。
 3・1日本武道館で健介のGHCヘビー級王座への挑戦が決定的な秋山は2日間続けて健介と前哨戦。「興味を持ってもらおうと思ったら、見出しに載ってナンボ。何かを乗せてもらわなきゃしょうがないし、何かがないと誰も観に来てくれない」が口癖の秋山のこと、きっと3月の本番まで、あの手この手を使って話題を提供してくれるはずだ。
 その他、百田光雄が還暦にしてスキンヘッドになり、レジェンド・ヒールにイメチェン。また1・25後楽園でKENTAのGHCジュニアに挑戦する鼓太郎は、KENTAの「結果にこだわる」の発言を逆手に取るように、昨日のタッグ前哨戦では巧妙に反則勝ちをせしめた。これに対してKENTAは「こういう言葉は使わない方がいいんだけど…殺す!」と激怒。こういう不穏な空気もノアには珍しいことだ。
 今、ノアの選手たちは現状を変えようと前向きになっている。こうしたムードの中で社長の三沢光晴はこう言う。
「個人がやりたいことをヘルプする会社の体制は変わらないから。ウチは選手の気持ちが一番。潮崎にしたって戻したんじゃなくて本人の“日本でやりたい”っていう気持ちを尊重したわけだからさ。まあ、ぶっちゃけ、何をやるにしてもお金という問題が出てくるけどさあ(苦笑)、それも考えようだから。例えば、今の子供たちは遊ぶのに金がかかるけど、俺たちの子供の頃は金をかけなくても遊べたじゃん。プロレスの場合は会場、リングがなければ出来ないから、同じ例えはできないかもしれないけど、視点を変えればお金をかけなくても出来ることはいっぱいあるはずだよ」
 “何でも人任せにしないで、思ったことは主張するべき。ただし自分の言動、行動には責任を持つこと”というのは、三沢が98年夏にジャイアント馬場から現場の全権を任された時からの信念だ。三沢革命の原点に戻って動きだしたノアに注目である。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です