FMWの仲間に囲まれて雁ちゃん引退

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 ミスター雁之助が昨日、新木場で18年間のプロレスラー生活に別れを告げた。まだ40歳。年齢的にも肉体的にも、まだまだやれるはずだが、本人は「タイミングとして“あっ、ここだ!”ってピンときたのが今年の5月だったんですよ。今年がミスター雁之助を見せられる最後の年だって」と言う。
『鬼神道ファイナル』と銘打たれた昨日の引退興行は、雁之助のけじめの大会であると同時に、FMWの総決算のような大会でもあった。第1試合ではリッキー・フジvsフライングキッド市原が実現。市原はかつてAV女優の若菜瀬奈や草凪純をマネージャーとしてはべらせた色男キャラを復活させ、さらにはオーニタ・ジュニア時代のコスチュームで登場してくれた。第2試合ではGOEMONではなく中川浩二がGENTAROとインディー職人対決で客席を沸かせ、第3試合ではFMWに所属していた元川恵美ことさくらえみがアイスリボンの教え子たちと元気いっぱいのファイトを披露。
 セミではFMWで日本初マットを踏んだヤスウラノとFMW崩壊後に雁之助がハヤブサらと旗揚げしたWMFの新人第1号だった藤田峰雄がタッグを結成。素顔、あるいはマスクマンとしてFMWに上がっていたマグニチュード岸和田&WMFでデビューした宮本裕向のコンビと激突だ。
 そしてメインでは雁之助が新崎人生、マンモス佐々木と組んで金村キンタロー&田中将斗&黒田哲広と激突し、最後は雁之助がサンダーファイヤーで金村を撃破して有終の美を飾った。
 年月を経れば人間関係も複雑になる。今は対立関係にある者もいる。それでも、そうした事情を超えて雁之助のためにこれだけのメンバーが一堂に会したのは凄いことだと思う。特に雁之助と金村の関係がデリケートなことは誰もが知るところ。FMW崩壊後にWEW(のちのアパッチ)とWMFに分かれたのも2人の対立によるところが大きい。だが、この日、あのFMW時代のようにひとつになった。
「FMWがなくなって、お互いに別の道に離れ離れになったけど、本当は組みたかった。でも最後にやれてよかった」と金村が言えば、雁之助は「最後の最後の日にこの面子で試合ができてよかった。もう交わることはないと思っていたよ。でも最後に試合していろいろなことが清算できたと思っているし、いろいろあったけどありがとう」。そして抱き合う2人を見て、FMWを取材してきた者としてジーンとくるものがあった。そういえば、この日の取材陣の中でリアルタイムでFMWを取材していたのは私とベースボールマガジン社の鈴木健氏、フリーライターの須山浩継氏の3人だけだった。本当に時が流れるのは早いものだ。
 こうした恩讐を超えたFMW同窓会が実現したことについて雁之助と一緒にFMWに入門したハヤブサは「おっさん(雁之助)の人柄だよ」とポツリ。
 そのハヤブサは「おっさん、お疲れさま。悪かったね、先に引退させて。お前が…お前がいてくれたから、俺もここにいる。お前に言わなきゃいけないことも、言いたいこともたくさんあったんだけど、何か…お前…言う言葉が見つからん。ただ、お前が友達で良かった。お前のことが…お前のことが大好きだ! お疲れさま…そして本当にありがとう」と号泣した。
「いろいろなことがあったけど、プロレスが好きだという気持ち、プロレスが本当に素晴らしいから、そしてファン、仲間が支えてくれたから、ここまでやってこれた。一番大きいのは江崎英治(ハヤブサ)がいたことだよね。俺、ひとりでプロレスラーになろうと思っていたのに江崎が付いてきて、それで一緒にテストを受けて40人の中で2人だけ受かって。申し訳ないのは、2人ともこれで飯食ってきてね、俺が先に辞めちゃうこと。江崎はリハビリを頑張って自分の足で立とうとしている。自分の分まで頑張ってほしいね」と雁之助。
 最後は「FMWの人間で記念写真を撮ろう」ということになった。それがここに掲載している写真。慌てて携帯で撮ったので、かなり画像が荒れているが、お許しを。
「一番の思い出は…プロレスラーになれたことですよ。物心ついた時からプロレスしかなくて、俺はプロレスラーをめちゃくちゃリスペクトしていたから、そのプロレスラーになれたことが最高のことですよね。試合前にはプレッシャーもあるし、怖さもあるし、吐き気もする。でも試合が終わった後の解放感が最高なんです。次は夏ぐらいにやろうかな…って、それはないです(笑)。でも、そう思うくらいプロレスは素晴らしいものなんですよ。明日から普通のオジサンに戻ります。ありがとうございました」
 雁ちゃん、最後にいい言葉をありがとう。お疲れさまでした!

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