お答えします

 いよいよGスピリッツ第10号(12月17日発売)の取材&原稿が佳境に入ってきて、このところダイアリーを更新できないような状態だが、今日はコメントに書き込まれた質問にお答えします。
 まず“ハッスルをどう思うか?”について。これまで何度も書いてきているが、100パーセントではないにせよ、私は基本的にハッスル肯定派だ。それは長年、取材してきた中でエンターテインメント・プロレスを推進した故・冬木弘道さんに共鳴する部分があったというのが大きい。
 冬木さんの根本は昔気質の昭和のレスラー。“理不尽大将”のキャラばかりが印象に強いと思うが、プロレス自体は相手を引き出し、パートナーを際立たせる巧さを持った人だった。そんな冬木さんはメジャー団体に対抗してFMWを盛り上げるために常に様々な話題作りをしていた。それは世間的に見れば“やらせ”になるのかもしれないが、冬木さんはどんな形でもいいから会場に足を運ばせることを優先した。会場に足を運んでくれさえすれば、あとはリング上…プロレスを観てもらえばいい。そして、プロレスを面白いと思ってもらえれば、今度は知り合いを連れて来てくれるだろう、そうなれば観客動員が増えるという考えである。
 これもよく書いていることだが、冬木さんは「俺の考えるプロレスは真剣勝負だと思おうが、スポーツだと思おうが、ショーだと思おうが、それはお客さんの自由。10人いれば、10人観た要素が全部そこにあるのが理想的なプロレス。真剣勝負のところもある、インチキもある、ショーもあるし、ドラマもある、スポーツもあるしというすべてがマッチして絡み合っているのが理想だよ」と言っていた。これに私は共鳴したのだ。
 今、ハッスルの客層(後楽園ホール)は若いサラリーマン、OLが多い。彼らがハッスルをどう見ているか、プロレスをどう見ているかわからないが、ハッスルを通じて他のプロレスにも興味を持ってくれたら儲けものだと思っている。どうあれ、世間の人がプロレスに興味を持ってくれたらいい。そうした人たちが「ハッスル以外のプロレスはどうなのかな?」ともし観に行った時に、その団体はハッスル以上に面白いものを提供すればいいのである。
 芸人がプロレスをやることについては、私もあまり好きではないが、彼らのプロレスに対する真摯な姿勢は好きだ。プロレスにリスペクトを持って接しているし、彼らにとっても取り直しがきかない一発本番と同じ真剣勝負なのだ。
 プロレスが難しいのは、ただ勝てばいいのではなく、お客さんを喜ばせる、満足させなければいけないというところ。レスラーは対戦相手と戦うだけでなく、常に観客の目、心理、空気とも戦っている。
 プロレスは肉体、技術、頭、精神、すべてをフルに使っての真剣勝負。大試合のプレッシャーで試合直前に吐いているレスラー、花道に向かう扉の裏でブルブル震えている女子レスラー、足を骨折しながら「これで相手が攻めてこないと八百長だと言われるでしょ? 相手が思いきり攻めてもいいように…」と痛み止めの注射を打ってリングに上がったレスラー…そんな人たちを私は見てきている。
 怪我で再起不能になった人もいるし、命を落とした人もいる。9月の雷陣失神事件も一歩間違えれば大変なことになっていた。それだけリスクのある仕事なのだ。突き詰めると、様々な要素がトッピングされても最終的にプロレスは闘いなのだ。
 ハッキリ言って、もしプロレスが薄っぺらなものだったら、私は28年もこの仕事をしていない。そして今もプロレスとプロレスラーをリスペクトしつつ、仕事をしているというのが私なりのすべての答えです。
 あとはこれまでのGスピリッツを読んでいただいて、レスラーが何を考え、何に悩みながらプロレスに取り組んでいるを汲み取ってください。最終的に答えを見つけるのは、その人自身ですから。
PS. プロレスコラムを再開してくださいという書き込みもありましたが、年明けあたりから再スタートしようと思っています。もうしばらくお待ちください。

武藤学校が実践する理想的な教育

 今年で30年目を迎えた全日本プロレスの年末の風物詩『世界最強タッグ決定リーグ戦』。ハッキリ言って今年の参加チームは地味めだが、昨日の後楽園ホール大会は充実、プロレスを堪能させてくれた。
 メインでは新日本の『G1タッグ・リーグ戦』で優勝した天山&小島のテンコジと、今大会の注目チームの諏訪魔&近藤のスワコンの激突だ。
 前半戦はテンコジが試合を制圧した。開幕戦で左眼球を負傷して万全ではない諏訪魔を容赦なく攻め立てるテンコジにブーイング。ここ最近では同情ともとれる声援が多かっただけに、この現象はテンコジにとっては歓迎すべきことだ。
 そんな戦況で光ったのが近藤。序盤から諏訪魔を引っ張り、時間切れになるかと思われたところでキングコング・ラリアット! 小島をピンフォール、それもラリアットで29分26秒の激闘を制したのだから客席のボルテージは最高潮に。先の11・3両国における丸藤戦といい、近藤への注目度、評価は急上昇である。そして時間切れ引き分けに逃げることなく、ギリギリまで勝負した近藤、小島の試合に対する姿勢を評価したい。
 メインとは違った意味で客席を大いに沸かせたのは11・3両国でデビューしたばかりの元力士・浜亮太だ。浜は武藤のパートナーに抜擢されて最強タッグに参加。この日はみのる&ケアとの公式戦だった。
 こうなると、みのるがどんなイジメ方をするのか残酷な興味が湧くが、浜は191キロという巨体で常識を吹っ飛ばした。この規格外の体の持ち主には試合の組み立てや細かいテクニックは必要ない。体を浴びせるだけで必殺技になるのである。カバーに行くだけでも、それが圧殺技になり得るのが凄いところ。みのるの張り手の嵐にダウンしたが、元力士だけに打たれ強いし、意外にスタミナもスピードもある。最後、みのるがこのまん丸の体をゴッチ式パイルドライバーで叩きつけたのはプライドだったのだろう。
 正直な話、浜が7月に全日本に入門した時には「?」と思っていた。膝に爆弾を抱えていたし、あのアンコ型の体がプロレスに向いているとは、とても思えなかったのである。だが、武藤は逆転の発想で浜をプロレスラーに改造した。普通なら相撲体型をレスラー向きに改造するところを、入門時185キロあった体重をさらに増えさせて189キロに。そして現在は191キロ! これは武藤の「他人にはない個性を伸ばす。個性がプロレスラーには大事」という考えによるもの。そしてカズが基本を叩き込み、諏訪魔がレスリングを教える一方で、その巨体をいかに活かすかを教え込んだ。「短所を克服するよりも長所、個性を伸ばす」というやり方だ。
 かつての曙もそうだったように「プロレスは甘いもんじゃない!」という教え方ではなく、プロレスの楽しさを教え、そこから奥深さを教えていく。結果、他の格闘技にいた人間も抵抗なくプロレスに入り、夢中になっていく。武藤学校は理想的な教育をしていると思う。

ラスト後楽園

 もう年末。一昨日は大日本プロレスが、昨日はドラディションが今年最後の後楽園ホール大会を開催した。
 今年を振り返ると、大日本を観るチャンスはあまりなかった。というのも、大日本の後楽園大会は月曜開催が多く、サムライTV『S-ARENA』出演曜日と重なってしまうのだ。
 というわけで、大日本に関してはあまり詳しくなくなってしまったが、今年がひとつの転換期だったことは理解しているつもり。ここ何年間かは伊藤竜二、佐々木貴、沼澤邪鬼などの新世代が台頭、デスマッチ路線以外でも関本大介が頭角を現すなど急激な世代交代の流れにあったが、そこに今年に入って「待った!」をかけたのがベテランのシャドウWXだった。5月に伊東からデスマッチ・ヘビー級のベルトを奪取して、この年末まで死守してきたのは立派。一昨日の後楽園では大日本旗揚げメンバーの谷口裕一が大黒坊弁慶とのコンビで関本&マンモス佐々木のタッグ王座に挑戦し、普段のお笑いキャラではなく、ケンドー・ナガサキに仕込まれたレスリングと返し技の妙で客席を沸かせた。また今年は単発ながら山川竜司も復活している。2008年はベテラン勢の巻き返しの年だったと言ってもいいかもしれない。
 ただし、年末に大一番が控えている。12月19日の横浜文化体育館だ。ここではシャドウWX復活のきっかけを作った宮本裕向がWXに挑戦する。去年の3月、佐々木相手に究極のデスマッチをやって注目された宮本は、以後、地道に経験を重ねてきた。ここで一気に大日本の頂点に立つことも十分に考えられる。
 ベテランのシャドウWXか? あるいは新鋭の宮本か? 2009年の大日本の進路は横浜文体の結果が握っている。
 昨年10月の西村修の離脱によって無我ワールド・プロレスリングから団体名を変更したドラディションは昨日の後楽園で年内のスケジュールを終了した。残すは12・28新木場における吉江自主興行のみだ。
 久々に観たドラディションは様々な選手が出場するバラエティに富んだ興行だった。そこには一貫したポリシーは感じられない。ただ、メインの藤波&吉江&関本vs嵐&長井&宮本の6人タッグは純粋に楽しめた。骨太な選手が揃って重厚な技をぶつけ合い、そこに藤波のピシピシッとした基本技がスパイスとなって絡む。最近のやたらに高度でハイスピードなプロレスばかりを観ていると、こうした試合がホッとしたりする。特に工夫を凝らした展開ではないが、大人がじっくりと落ち着いて楽しめるプロレス、昔ながらのプロレスという味わいだ。
こうした何の変哲もない試合こそが、実は無我なのかもしれない。
PS. マグナムTOKYOについての質問がありましたが、限りなく引退に近い形での退団を発表したという経緯からすれば、ドラゴンゲートへの復帰はないと思います。リング上でもRGに「マグナムTOKYOさんじゃありませんか」と突っ込まれ「一昔前にマグナムTOKYOなんて呼ばれたこともあったけど…」と答えていることからも、過去の自分とは決別していることが感じられました。この件に関して裏事情は知らないし、特に詮索するつもりもありません。ただ、マグナム…じゃなかった黒木君をデビュー前から知っている者として、彼が第2の人生に踏み出したことは純粋に嬉しく思っています。

マニアに向かって…

 グランプリを終えてハッスルが昨日の後楽園大会から新局面に突入した。12・30有明コロシアムにおける『ハッスル・マニア2008』に向かっての新ストーリーがスタートしたのだ。
 大晦日にテレビ東京で午後9時半から2時間の放映も決定。これまでマニアは11月に開催されていて、去年は11月に『ハッスル・マニア2007』、大晦日に『ハッスル祭り』を開催したが、今回はマニアと祭りを合体させた一発勝負。大会のテーマは「どんな逆境でも人はハッスルできる」というもの。
 このテーマに沿ってプロレス不況という逆境の中、髙田総統はマニア成功に矢面に立つ。気持ちがバラバラのハッスル軍ではTAJIRIがハッスル軍立て直しに乗り出し、一時の大スランプから脱した天龍は完全復活を目指す。またボノちゃんは自力で魔界からパパ(グレート・ムタ)を呼び戻す決意を固めて「どんな逆境だってハッスルするぞ!」と宣言した。やっぱりハッスルの場合には勝敗が最優先されるグランプリのようなものよりも何か大きなテーマに沿ってストーリーが展開されるというのがしっくりくる。
 新局面突入に当たって新たな人材も投入された。モンスター軍の新メンバー、血鶴は昨日の時点では正体を明かさなかったが、長身でちょっと楽しみ。そしてサプライズはあのマグナムTOKYOがアラン黒木として登場したことだ。今後、何が起こるのがワクワク。観る人をワクワクさせることこそがハッスルの生命線だと思う。

S-ARENAに新鮮ゲスト登場

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 昨日のサムライTV『S-ARENA』のゲストは私にとって新鮮だった。それは大阪プロレスのアジアン・クーガーとタダスケ。クーガーに関してはずっとインディー系のフリーとしてファイトしていたが、空中殺法だけでなくレスリングがしっかりしていて「どこで誰から教わったんだろう?」と思っていた。ある時、かつてのユニバーサル・レスリング連盟代表だった新間寿恒氏に「ウチの練習生だったんですよ」と聞いて「なるほど」と合点がいったことを憶えている。という程度で、直接喋ったことはなかった。去年の4月にデビューしたタダスケとはもちろん初対面。
 で、いざ本番が始まると、さすがに2人とも大阪プロレス。関西ノリのお笑いを披露して番組を盛り上げてくれた。
 正直な話、大阪プロレスをナマで観られる機会はそうそうないので、私はあまり詳しくない。でも、デルフィンが沖縄プロレスを旗揚げ後、大阪プロは確実に新たな時代に入った。何年か前に『S-ARENA』に白鳥智香子と出演してアツアツぶりを見せつけてくれたタイガースマスクが10月にルードに転身。ブラックバファロー、政宗と共にルード軍団を結成。ここに新メンバーとして怪奇派ヲロチが加わった。ルード軍に対抗するのは大阪プロ王者・秀吉、ビリーケン・キッド、ツバサ&アジアン・クーガーのムチャルチャといった正規軍。さらにゼウス、原田、小峠、タダスケの新世代ユニットBLOOD&GUTSY、お笑い系のくいしんぼう仮面、ミラクルマン、えべっさん、松山勘十郎…とコンセプトがしっかりしている。
 そしていよいよ天王山2008の開幕。昨年は優勝=タイガースマスク、準優勝=ゼウスだった。11月24日には天王山の東京初進出として新宿FACE大会。メインではタイガースマスクvsアジアン・クーガーの因縁の一戦が公式戦として行われる。これは勝負の行方はもちろん、大阪プロの魅力を東京のファンに伝える上でタイガースマスクもクーガーも責任重大だ!

今こそ弾けよ!師弟コンビ

 昨日の後楽園ホールにおけるノアのツアー開幕戦はタイトルマッチ前哨戦がズラリ。12・7日本武道館で健介に挑戦する齋藤彰俊は最初で最後の前哨戦で今までのプロレスラーとしての歴史を健介に見せつけた。まずはW★ING時代の徳田光輝、木村浩一郎との格闘3兄弟時代にタイムスリップしたように真っ白な空手着、試合の途中から現在のプロレスラーの姿になり、試合後には健介を荒縄で縛ってパワー・ウォリアーを模したお面を被せるなど、型破りなダーク・エージェント流のパフォーマンス。彰俊は18年間のすべてを健介にぶつける意思表示をしたのだ。
 ジュニア戦線ではKENTA&石森&菊地vs丸藤&鼓太郎&エドワーズ。これは11・27仙台における丸藤vs菊地の世界ジュニア戦、11・28新潟におけるKENTAvsエドワーズのGHCジュニア戦、12・7日本武道館における金丸&鼓太郎vsKENTA&石森のGHCジュニア・タッグ戦の前哨戦という様々な要素が入り混じったもの。私的に注目しているのは丸藤の世界ジュニアに挑戦する菊地。菊地は全日本時代の96年7月24日、渕を破って第16代世界ジュニア王者になった。97年1・15後楽園で小川良成に敗れて王座を失っているから、約12年ぶりに取り戻すチャンスを得たことになる。
「世界ジュニアは懐かしいし、やっぱりまた巻きたいよね。俺は数少ないチャンスの中で頑張っていくしかないから。こんな俺でも生まれ育った仙台が味方になってくれる。きっと何かあるでしょう。あとはベストのコンディションで丸藤の胸を借りたい」とキャリア21年目、43歳のベテランは語った。あの火の玉小僧の復活に期待したい。
 そして昨日、最も輝いて見えたのが11・28新潟で彰俊&バイソンのGHCタッグに挑戦する田上&森嶋の師弟コンビ。久々に田上火山が噴火、ダウンしているキース・ウォーカーの上に森嶋の巨体を喉輪落としで叩きつけるという合体プレーまで披露した。
 田上にとって森嶋は初めての付き人。凄く可愛かったようで、以前、田上にプロレスに入ってからの思い出の試合を聞くと、96年5・24札幌で三沢から初めて三冠ヘビー級王座を奪取した試合と05年12・4横浜で森嶋の挑戦を受けてGHCヘビー級王座を防衛した一戦を挙げていた。
「元付き人とタイトルマッチをやれたっていうのは、やっぱり思い出の試合だよねぇ。パワーが凄くて殺されると思ったけど(苦笑)、19歳ぐらいの可愛い坊やちゃんが怪物になったんだもんねぇ」と嬉しそうに語っていたものだ。
 そして昨日の試合後の2人のやりとりは以下の通り。
森嶋=「ヤル気になった田上さんは凄いですし、それは付き人やってて知っていますから。僕は暴れるだけ暴れるんで、田上さんには噴火してほしいです」
田上=「今日は試合やってて楽しかったな。まあ、新潟までこの調子がもてばいいなあ…」
 ウーン、何とも味わい深い師弟コンビだ!

女子プロの中での小島聡の男気

 昨日のNEO後楽園ホールにおける小島聡は見事だった。12月31日に引退する元気美佐恵とのシングルマッチ。「男子レスラーと真正面から戦いたい」という元気の気持ちに真摯に応えたのである。
 試合前の小島はいつもと勝手が違う会場にちょっと緊張気味。ちょうどトイレに入るところで顔を合わせると「知っている人がいるとホッとしますね。何だかトイレに来るのも恥ずかしくて…」と苦笑。試合前の練習もリングは女子レスラーが使っていたから、小島は階段の踊り場で調整していたようだ。
 そんな小島もいざリングに上がると厳しい戦う男の顔に。ヘッドロックで締め上げ、グランドに移行してアームロック、起こしてフロント・ネックロック、元気のタックルを跳ね返し、チョップやエルボーには胸を突き出して逆に一発でダウンさせる。さらに逆片エビ固め、元気が必死にロープに逃げれば、それを引きずってリング中央でSTF、そこから脇固めや腕折り固めに移行、そしてマシンガン・チョップからいっちゃうぞエルボー…と、最初の5分はレスリング、男子レスラーの当たりの強さを元気に体感させた。
 防戦一方だった元気は女子プロ特有のヘアー投げを成功させると、場外戦で反撃開始。小島のきついイス攻撃を食らったものの、イスで反撃し、京子、田村、松尾、勇気の力を借りて小島を大机に固定させると、コーナー最上段からダイブ! リングに戻ってからは5発目のラリアットでやっと小島をダウンさせ、スピアー、Gドライバー連発と大健闘。
 小島は小島で「受けてあげる」のではなく、真っ向から元気の大技を受けて止めていた印象だ。そして15分過ぎに再び小島が攻勢。DDTで流れを変えるとコジコジカッターの連発。村山レフェリーはカバーにいくことを促すが、小島は仁王立ちして元気が立ち上がってくるのを待つ。立ってくるたびにコジコジカッターを連発し、とどめとばかりに垂直落下式ブレーンバスター。ようやくカバーに入った小島だが、元気はカウント2で跳ねる。ここで遂に小島のラリアットが爆発! 19分19秒、小島は元気の首を刈り取った。
 上目線ではなく、変にカタくなるわけでもなく、余裕を見せるわけでもなく…元気に男子プロレスを体感させ、自らも女子プロレスを体感し、本当に真正面から小島は元気と戦った。その試合後のコメントも良かった。
「紙一重だよ。それが嘘偽りのない気持ち。俺は本当のことを言うと、女子の技は男子には通じないと思っていた。でも試合をやってみて、18年間、とんでもない思い違いをしていたことがわかった。女子プロレスというジャンルに対して恥ずかしい気持ちです。もし、こうやって女子プロに関わらなかったら、驕りというか、違った目線で見ている情けない自分がいたと思う。今日、ラリアットを出すつもりはなかったけど、出さざるを得なかった。出さなきゃ勝てなかった。男女の違い、年齢なんてプロレスには関係ないと思います」
 そして小島に敗れた元気も素直なコメントを出した。
「男子プロレスの凄さを改めて実感しております。女子プロレス人生を悔いなくまっとうできると確信しました。プロレスは好きでも女子は観たことがない人、男子プロレスと女子プロレスは違うと思っている人、女子プロレスファンのみんなに熱くなってほしかったし、プロレスラーは真剣に試合をしているんだということを感じてほしかった。無理な相手に挑戦するのがプロレスラー、自分の想いを貫くのがプロレスラーだと思います」
 小島に対戦を直訴した元気、それに応えた小島、共に素晴らしかったと思う。

DDTの新ブランド発進!

 ユニオン、マッスル、ハードヒット、クルーザーゲーム、新北京プロレス…と、次々にブランドを立ち上げているDDTが昨日、新ブランド旗揚げ戦を行った。その名前は『BOYS』。ズバリ、ターゲットは女性ファンだ。「ビジュアルに優れたレスラーを団体の垣根を越えて集め、殺伐としたイメージを排除し、部活のようなノリで試合をする。料金設定も女性に優しく…」というコンセプトの下、昨日の第1弾は女性の入場料無料! 実に太っ腹だ。女性客240人に対し、男性客(入場料3000円)は45人だから採算度外視の興行だが、「広告宣伝費だと思えば」と高木三四郎社長。
 まずは紋付袴姿の男色ディーノ…じゃなかったBOYS塾長のジャニー江田島が登場。これはジャニーズ事務所のジャニー喜多川氏と漫画『魁!!男塾』の男塾塾長・江田島平八をミックスさせたキャラか!? そしてBGMにフィンガー5の『学園天国』が流れる中で自己紹介式。部活というコンセプトなので、選手たちはアニメ、映画、ミュージカルにもなった『テニスの王子様』よろしくテニス・ルックで登場だ。KUDOもヌンチャクをテニスラケットに持ちかえて爽やかに登場。HARASHIMAも普段の暑苦しさを抑えてあくまでも爽やかだった。
メインで20分を戦ったHARASHIMAと円華、メンズクラブではない大石真翔、DEPの正岡大介、STYLE-Eの新人・玲央あたりに人気が集中。女性ファンが携帯やカメラでリング上をバチバチと熱写している光景はある意味で新鮮。まるでプロレスファンとは思えないコギャル系が多かった2000年頃の渋谷club ATOMでのDDTを思い出してしまった。
 さて、大会はあくまでも部活ノリだ。最後はHARASHIMAが江田島塾長の無茶ブリで若大将よろしく加山雄三の『夜の太陽』を熱唱。塾長の「起立!礼!着席!」で終了となった。
 終了後はテニプリ・ルックに着替えた参加選手全員との記念撮影会。これはひとり1000円(希望者のみ)だったが、試合がタダだったことを考えればオトクだろう。
 DDTの柔軟な発想、軽いノリと遊び心、それを実現させるためにコンセプトを練りに練り、徹底的に凝るところにはいつも感心させられる。この『BOYS』が定着し、新しい女性ファンを取り込んでくれることに期待したい。

昨日は妻と…

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 今日はプライベートな話題をひとつ。昨日9日は妻の誕生日ということで久々に外食。フレンチをメインとするヨーロッパ料理のレストランへ。前々から名前だけは知っていたが、つい先日、夫婦で散歩をしていて偶然、発見したお店だ。住宅街にあるこじんまりとしたレストランだが、あのジャン・レノが『WASABI』の撮影で日本に滞在していた時に予約なしで来店したとか。
 それはともかく、今年は5月にハワイに行った後は公私共に何かとあって、夫婦でゆっくりした時間を過ごしていなかった。せめて誕生日ぐらいはスイッチを非日常に切り替えないと精神衛生上、よろしくない。
 で、料理は美味しかったです! 海の幸の前菜、トリュフとキノコのスープ、魚料理、肉料理のメイン。デザートは予約時に「妻の誕生日なので」と言っておいたので、バースデー・バージョンの特別なもの。シェフ自ら写真を撮ってくれるという気さくな感じもよかった。
 ウーン…やっぱりプライベートなことを書くのは照れ臭いなあ。この辺にしておきましょう。
 写真は前菜=根室のカレイのマリネ、鮑のエスカルゴ、牡蠣(自家製サワークリーム、海水のゼリー乗せ)、ノルウェー・サーモン、生ハムのサラダ。人間、美味しいものを食べると幸せな気分になれますね!

久々にドラゴンゲートに不穏な空気

 9~10月はあまり会場に行ける状況ではなかったため、昨日は8月28日以来のドラゴンゲート後楽園へ。8・28後楽園はタッグ・リーグの決勝。それからの2ヵ月ちょっとで流れは大きく変わっている。ツインゲート統一タッグがリョウスカから土井吉、さらにサイバー・コング&YAMATOに移動し、トライアングルゲートはGamma&神田&YAMATOから無所属の望月&フジイ&岸和田、ブレイブゲートは堀口から吉野に移動。唯一、ベルトを守り通しているのはドリームゲート王者の鷹木だけ。その鷹木もタイフーン所属になっている。
 そんな流れを頭にインプットして久々に観たドラゴンゲートには何か不穏なものを感じた。11・16大阪でツインゲート統一タッグに挑戦する土井&谷嵜が前哨戦として6人タッグでサイバーと激突したが、サイバーを意識する谷嵜が熱くなりすぎて制止に入った土井に食ってかかるシーンが生まれ、メインのタイフーンvsWORLD-1の6人タッグは、何だか流れがない試合展開でギクシャク。ハッキリ言ってドラゲーらしい雰囲気がない試合だった。
 その謎が解けたのは試合後の鷹木の発言。「今のドラゴンゲートのユニットは意味がないんじゃないか!? ドラゴンゲートの軸がズレていると思うのは俺だけか? 大阪で横須賀享に勝ってドリームゲートを防衛したら、タイフーンは俺の好きなようにさせてもらう」と宣言したのだ。
 鷹木vs享はタイフーン同門対決だが、鷹木のタイフーン入りによって享はユニット内で孤立しているようだし、前述の鷹木の発言に斎了がブチ切れた。これでほとんどタイフーンは空中分裂状態。また土井と谷嵜の関係を考えればWORLD-1にも微妙は空気が流れているし、戸澤塾は11・6大阪でのトライアングル挑戦に解散を賭ける。
 さらに12月に入れば個人闘争の『キング・オブ・ゲート』がスタートすることを考えれば、年内にドラゲーの戦いの図式は大きく変わりそう。まずポイントとなるのは11・6大阪、そして中心人物になるのは鷹木。ここにCIMAがどう絡んでくるか…。
 気づけば鷹木、サイバー、YAMATO、無冠ながらハルクといった新世代が中心に来ているドラゲー。キャリアや名前に関係なく、選手たちは常に考え、アクションを起こさなければ生きていけない厳しい団体なのだ。