稔の想いと永田の青義

 昨日のゼロワンMAX後楽園大会は見応えがあった。まずは天下一Jr1回戦の日高郁人vs稔。元バトラーツ対決である。
思えば12年前の96年の同じ10月30日、バトラーツは旗揚げ半年にして後楽園ホールに初進出を果たした。超満員の観客の中、稔こと当時の田中稔はセミファイナルでTAKAみちのくのインディペンデント・ワールド世界ジュニア・ヘビー級王座に挑戦。一方、日高は入門半年の新弟子でまだデビューしていなかった。
 このことを稔はちゃんと憶えていた。だから新日本とゼロワンMAXの対抗戦を頭に入れつつ、普段の嫌味なキャラを入れつつも序盤は打撃のバチバチ・スタイルで戦った。最後は粘る日高をファイヤーボール・スプラッシュでフォール。
先輩越えを果たせなかった日高だったが、稔の仕掛けてきたファイトに「僕が望んだ通りに田中稔でしたよ。新日本でいつも客を茶化しながら試合をしている稔じゃなく、田中稔でした」とコメントしたのが印象的だった。
 メインでは田中将斗から世界ヘビー級王座を奪った永田裕志に佐藤耕平が挑戦。ベルトを誇示する永田に大ブーイング…その光景は、かつてのアメリカの世界チャンピオンを思わせるものだ。そんなファンの心理をもて遊ぶように永田は観客に対しても耕平に対しても上目線。これがまた反感を買うという相乗効果がいい!
 試合はゼロワンMAXファンにとって憎き永田に耕平が気迫のファイトで挑んだ。192センチ、115キロの耕平は永田より体格的に勝るし、元々はプロ修斗出身の格闘家の匂いを持つ男だけに、こういう対抗戦になるとちょっと違う光り方をする。その攻めに時にわざとらしく顔をしかめ、時に本当にダメージを受けながら体を晒した永田も大したものだ。
 最終的には地力と経験の差がハッキリ出て、永田がバックドロップ・ホールドで完勝したが、ゼロワンMAXファンにしてみたら「あと、もう少しで…」という思いが残った一戦だったのではないか。
 マイクを掴んで「ゼロワンMAX…」と永田が言いかけたところで大谷、崔領二らが殺到。その後の「敗れたり!」を言えなかった永田だが、永田には永田なりのゼロワンMAXへの深い想いがある。
「リングが熱いね。これはきっと俺を倒してほしいという数少ない(苦笑)ゼロワンMAXファンの気持ちだと思う。思ったより苦戦した。耕平は将来楽しみな選手だと思っていたけど、今日は潜在能力を発揮したんじゃないの? 領二も凄い目で俺を見ていたね。俺ひとりの出現でゼロワンMAXは確実に改革されてきてますよ。ゼロワンMAX改革は俺のおかげですよ。橋本(真也)さんがゼロワンを旗揚げする時に俺を出してくれなかったら(03年3・2両国の旗揚げ戦で橋本&永田vs三沢&秋山が実現)今の俺はなかった。俺は俺のやり方で恩返ししたい。どこかの誰か(武藤のこと)みたいに“若手としかやらない”なんて俺は言わないよ。この世界のベルトをIWGPに匹敵するぐらいのものにしますよ」
 ゼロワンMAX勢とゼロワンMAXファンの神経を逆撫でしつつも、永田には永田の“青義”がある。

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