稔の想いと永田の青義

 昨日のゼロワンMAX後楽園大会は見応えがあった。まずは天下一Jr1回戦の日高郁人vs稔。元バトラーツ対決である。
思えば12年前の96年の同じ10月30日、バトラーツは旗揚げ半年にして後楽園ホールに初進出を果たした。超満員の観客の中、稔こと当時の田中稔はセミファイナルでTAKAみちのくのインディペンデント・ワールド世界ジュニア・ヘビー級王座に挑戦。一方、日高は入門半年の新弟子でまだデビューしていなかった。
 このことを稔はちゃんと憶えていた。だから新日本とゼロワンMAXの対抗戦を頭に入れつつ、普段の嫌味なキャラを入れつつも序盤は打撃のバチバチ・スタイルで戦った。最後は粘る日高をファイヤーボール・スプラッシュでフォール。
先輩越えを果たせなかった日高だったが、稔の仕掛けてきたファイトに「僕が望んだ通りに田中稔でしたよ。新日本でいつも客を茶化しながら試合をしている稔じゃなく、田中稔でした」とコメントしたのが印象的だった。
 メインでは田中将斗から世界ヘビー級王座を奪った永田裕志に佐藤耕平が挑戦。ベルトを誇示する永田に大ブーイング…その光景は、かつてのアメリカの世界チャンピオンを思わせるものだ。そんなファンの心理をもて遊ぶように永田は観客に対しても耕平に対しても上目線。これがまた反感を買うという相乗効果がいい!
 試合はゼロワンMAXファンにとって憎き永田に耕平が気迫のファイトで挑んだ。192センチ、115キロの耕平は永田より体格的に勝るし、元々はプロ修斗出身の格闘家の匂いを持つ男だけに、こういう対抗戦になるとちょっと違う光り方をする。その攻めに時にわざとらしく顔をしかめ、時に本当にダメージを受けながら体を晒した永田も大したものだ。
 最終的には地力と経験の差がハッキリ出て、永田がバックドロップ・ホールドで完勝したが、ゼロワンMAXファンにしてみたら「あと、もう少しで…」という思いが残った一戦だったのではないか。
 マイクを掴んで「ゼロワンMAX…」と永田が言いかけたところで大谷、崔領二らが殺到。その後の「敗れたり!」を言えなかった永田だが、永田には永田なりのゼロワンMAXへの深い想いがある。
「リングが熱いね。これはきっと俺を倒してほしいという数少ない(苦笑)ゼロワンMAXファンの気持ちだと思う。思ったより苦戦した。耕平は将来楽しみな選手だと思っていたけど、今日は潜在能力を発揮したんじゃないの? 領二も凄い目で俺を見ていたね。俺ひとりの出現でゼロワンMAXは確実に改革されてきてますよ。ゼロワンMAX改革は俺のおかげですよ。橋本(真也)さんがゼロワンを旗揚げする時に俺を出してくれなかったら(03年3・2両国の旗揚げ戦で橋本&永田vs三沢&秋山が実現)今の俺はなかった。俺は俺のやり方で恩返ししたい。どこかの誰か(武藤のこと)みたいに“若手としかやらない”なんて俺は言わないよ。この世界のベルトをIWGPに匹敵するぐらいのものにしますよ」
 ゼロワンMAX勢とゼロワンMAXファンの神経を逆撫でしつつも、永田には永田の“青義”がある。

不況の時代にあってDDTは

 もう3日前の話になってしまうが、26日のDDTについて書きたいと思う。この日は新宿FACEで昼=ハードヒット、夜=DDT本隊の興行があった。昼の部は所用のために残念ながらパスさせてもらったが、夜の部は8月10日以来、久々のDDTを堪能させてもらった。
 2ヵ月以上も間を置いたDDTの風景はすっかり変わっていた。絶対王者的存在だったディック東郷が陥落して高木三四郎がKO-D無差別級&エクストリームの2冠王に。その東郷はフランチェスコ・トーゴーとなってイタリアン・フォーホースメンを復活。アントーニオ本多、ササキ&ガッパーナに、この日はPIZAみちのくも合流、伝説のユニットがパワーアップして帰ってきた。
 ポイズンとヌルヌル・ブラザーズの蛇ヌルBrosからマイケルが離脱、佐藤光留と変態団を結成するという“ならでは”の展開などがあった後はMIKAMI&タノムサクのスーサイドボーイズと大鷲&HARASHIMAのディザスターボックスがシリアスな試合をやってのけてディザスターボックスがKO-Dタッグ王座を奪取。メインでは三四郎のKO-D王座に挑戦したディーノが男色殺法を封印するシリアス・ファイトに。結局は男色殺法の応酬というオチがついたものの、観に来たお客さんを飽きさせないイベント全体の緩急の付け方は「さすがDDT!」と感心させられた。
 今後の展開としては11・16北千住のユニオンプロレス興行でユニオンのエース、石川修司が三四郎のKO-D王座に挑戦、その結果にかかわらず11・30後楽園のDDT本隊興行で三四郎と石川が組んでディザスターボックスのKO-Dタッグに挑戦する。DDTは完全に新しい流れに入った。
 今、不況の時代にあって、一番先に切り捨てられてしまうのは娯楽だ。それだけに、いかにお客さんに会場まで足を運んでもらうか、そして足を運んでもらったら、どれだけ満足させて帰ってもらうかが大事。もし、面白くなかったら次はないほど今は厳しい状況。「今日はイマイチだった…」などと言っていられないのである。1回1回の興行が大事な勝負だ。これはどの団体にも言えることである。DDTはその点、本当に細かくイベント全体の流れを練っていると思う。
 新規のファン拡大のためにDDT本隊だけでなくマッスル、ユニオン、ハードヒット、クルーザーゲーム、新北京プロレスというブランドを立ち上げた戦略も活きるはず。様々な趣向で「面白いものを提供したい!」というDDTの企業努力は光っている。

悪魔王子急襲!

 昨日のサムライTV『S-ARENA』にはK-1ファイターのバダ・ハリが緊急出演。私が聞かされたのはスタジオ入りしてからだった。9月22日放映分ではエミリヤーエンコ・ヒョードルが緊急出演。新しいスタジオになってから大物格闘家が飛び入り出演するようになったのはなぜ?
 それはともかく格闘技系の取材をしたことがない私にとっては、バダ・ハリはテレビで観る人物にすぎない。その言動、行動から悪童とか悪魔王子呼ばれているだけにどんな人物かと緊張していたら、実際には温和な感じで「日本の食べ物で好きなのはテッパンヤキ。ワギュウ(和牛)は世界で一番ウマイよね。ロウ・フィッシュ(刺身)は苦手…」などと実に気さくな24歳の青年だった。
 ところが番組本番になるとスイッチが切り替わり「今のK-1は年寄りばかり。俺が優勝して時代を変える」と宣言。12・6横浜アリーナにおける『K-1ワールドGP2008ファイナル』で対戦するピーター・アーツに対してもまったくリスペクトを感じていないような発言を連発。
 さらに9・23さいたまスーパーアリーナにおける『DREAM6』におけるリング上からの「今日は凄いKOと素晴らしい試合を観るために呼ばれた。だが、抱き合ったりキスしたりするシーンしか見ていない。本当の真剣勝負、本当のノックアウト、本当の試合を観たいんだったら、みんなは間違った場所に来ているかもしれない。これから行き先の正しい住所を教える。今日の試合をしたすべての選手にその場所を言いたい。アリスターもミルコも全員だ。つまりK-1だ。本当の試合をしたい選手、本当の試合をしていると思いこんでいる選手たち、K-1、『Dynamite!!』で闘おう。これが真剣勝負じゃないということを、オレが立ち技、K-1で教えてやる」という発言について聞いてみると、
「K-1で優勝して、大晦日の『Dynamite!!』でMMAをやったって構わない。密かに絞め技を研究しているんだ」と笑った。その言葉がビッグマウスに聞こえないところが、さすがバダ・ハリ。そして話を聞いていて感じたのは、常にファンの興味、心理を考えていること。
 強さ、ファンを惹きつけようという意識、そして自己プロデュース…バダ・ハリは確かにK-1の次代を担うプロ・ファイターだった。

丸藤とKENTAの60分に感じたこと

 昨日の日本武道館における丸藤とKENTAの60分時間切れドローは観戦した人にはどう映ったのだろうか? ネットを見ると賛否両論。私はチケットを買って会場に足を運んだ人が「つまらなかった」と思ったとしたら、それは正解だろうし、「最高だった!」と思ったとしたら、これまた正解だと思っている。この不況の中、お金を払った人が感じたことはすべて正解なのだ。
 だから、ここで書くことはあくまでも私論。私的にはかなり面白かった。両者の身体能力は言うまでもないが、彼らのプロレス頭とそれを実際にファイトに結びつける技術に感心させられた。
 ハッキリ言って丸藤とKENTAならどんな技だってできる。だが、彼らは技に頼らない試合をしていた。裏の読み合い、緩急、一手間加えた小技でアクセントを加えながら、実際にはベーシックな地味な攻防だった。ロープワークにしても自分が攻撃する時に使うだけで極めて少なかったし、カウント2の応酬も終盤戦だけだった。そんな中で時折、大技、飛び技が効果的に繰り出されていたと思う。あれが大技のオンパレードのような試合だったら、観ている方が疲れていただろうし、飽きてしまっただろう。
 丸藤vsKENTAは馬場時代の全日本スタイルでもない、四天王プロレスでもない、今の時代のひとつの最高レベルの試合だったと素直に感じた。これに体格的にもスタイル的にもまったく異なる森嶋猛が絡んできたら、さらに面白くなるのではないか。
 森嶋に関しても見方は様々あるようだが、私は諏訪魔や棚橋同様に買っている選手のひとり。よく批判される体型にしても、あれが筋肉ムキムキの体になってしまったら何の個性もなくなってしまう。言い方は悪いがデブでありながら動けて飛べるのが森嶋のキャラなのだ。そしてROHでチャンピオンとしてファイトしていたことによってプロレス頭も磨かれている。「あの体で、あの技はないだろ」という理屈に合わない部分も個性。理屈を超えた新しいタイプの巨漢レスラー、怪物レスラーを目指してほしい。
 丸藤、KENTA、森嶋が技術とプロレス頭をぶつけ合った時、ノア新時代のスタイルが生まれると私は思っている。
 

複雑な想い…

 昨日の両国で第1弾が開催された『プロレス・エキスポ』。もっぱら話題になっているのは内容よりも観客動員数である。
 正直、こんなに客が入っていない両国を見たことがなかった。両国駅に着いて国技館に向かう道で「あれっ、今日じゃなかったのかな?」と思ってしまったほどの人気のなさ。いざ会場に入ってみたら本当に客がいないのだ。主催者発表はないので実際の数はわからないが、最終的にも千人には満たなかっただろう。
 これは笑っていられる状況ではない。皮肉ることもできない大問題なのだ。この不入りによって「やっぱりプロレスは下火だ」というイメージがまたまた強まるだろうし、出資してくれた人たちが「もう、プロレスはこりごりだ」と思ってしまったら救い難い。かつてプロレス界はメガネスーパーという大スポンサーを失った。それによってプロレスに出資してくれる企業家が何年も現れなくなってしまった。今回のプロレス・エキスポがその二の舞になってしまったら…。
 プロレス・エキスポの趣旨は世界6地域・13ヵ国から未知の強豪を集めて開催するというスケールの大きなもの。日本人vs外国人にこだわったあたりも出資した人たちが昔ながらの純なプロレスファンであることがわかる。だが、現実は甘くなかった。まず、プロレス・エキスポというからには、それこそ各国のチャンピオンが集結しなければいけないわけだが、それは不可能。恐らくファンには逆に胡散臭いものと映ったのではないか。
 また、あまりにもパブリシティがなかった。ファンは当日までの期待感でチケットを買うものだが、その期待を膨らませる材料がまったく提供されていなかった。ただでさえプロレスを扱ってくれる媒体が少なくなっているのだから、この部分に知恵を絞って、せめて東スポ、週プロでは多くのスペースを割いてくれるような話題を提供するべきだった。この要素に関しては出資してもらった側の完全なる努力不足だと思う。
 救いは少ないながらもお客さんたちが盛り上がって楽しんでいたことと、選手たちが気落ちすることなく元気にファイトしていたこと。レベルの差はあっても試合は様々な毛色の選手が出てきたから普通に楽しめた。惜しかったのはメインの蝶野&ノートンvs高山&フライでトーンダウンしてしまったことだ。
 今日も昼の部、夜の部と2大会があるが、果たしてどうなるか? 私は差し迫った原稿を抱えているのと、夜は日本武道館のノアに行くので残念ながら目撃できないが、会場に足を運んだ人たちが楽しめて、出資した関係者が「これからもプロレスを応援していこう!」と思える材料が生まれる大会になることを祈っている。

Gスピリッツ第9号の全日本特集は自信作です!

 Gスピリッツ第9号がいよいよ明日発売になる。今回は全日本プロレス特集。全日本の特集というと、まったりしたイメージがあるかもしれないが、かなり刺激的な内容に仕上がったと思っている。全日本は変化が少ないように見えて、旗揚げから36年間で激変している。馬場さん存命の時代にしても当初の日本人vs大物外国人の時代からジャパン・プロレスの参入による日本人対決主流の時代、ジャパン・プロ離脱後の天龍革命時代(鶴龍時代)、天龍離脱後の世代闘争時代、四天王時代、三沢に全権が移った三沢革命時代、馬場さん亡き後の元子さん時代、そして武藤時代と大きく様変わりしているのだ。そうした流れを突き詰めていくと、自ずと刺激的な内容になるのである。
 私が今回インタビューしたのは辛口の職人の目を持つザ・グレート・カブキ、シューティング出身の北原光騎、鶴龍時代後に次代のエースとしてスカウトされて入団した秋山準、馬場時代も鶴龍時代も四天王時代も知らない武藤・全日本の未来のエース諏訪魔の4人。
 その発言を以下、チラッと紹介してみよう。
「ある意味、全日本プロレスは野球の球団的だったよね。馬場さんの考えが野球だから。その部分ではアメリカンプロレス的ではなかったよね」(カブキ)
「(極めっこの練習をやっていたら)“そんなのやるなら受け身の練習やれ!”って怒られてましたもん。ガチンコは小橋、菊地さんと3人でやってました」(北原)
「途中で僕、諦められていました(苦笑)。馬場さんに“あんまり口でプロレスするんじゃないよ”って言われても喋ってましたから」(秋山)
「ドラゴンゲートをケーブルテレビで観たんですよ。あれ、今の時代のプロレスだったら完成されているよね。だけど俺がやるのはこれじゃねぇなと思いましたよ。そうなると鈴木(みのる)さんとの試合は、結構、大事なヒントになるのかなと思うし」(諏訪魔)
 その他、本当はジャイアント馬場を叩き潰そうと思って全日本に参戦した池田大輔、もし潰れていなかったら某U系団体に入る予定だった丸藤正道の証言、かつて馬場に真剣勝負を挑んだ柔道家の岩釣兼旺七段のインタビューも掲載されている。
 こうしてあらゆる角度から全日本、ジャイアント馬場、王道に迫った企画はないはず。ハッキリ言って自信作です!

インディー三昧

昨日は新宿FACEでインディーのハシゴ。まず昼の部はガッツ石島率いるガッツワールドだ。
 ガッツワールドは12月6日で4周年を迎えるが、私にとっては初体験の団体。そこには“小宇宙”が確立されていた。ガッツ石島率いるメタボ軍と田村和宏率いるSTYLE―Eの団体抗争、佐野直率いるグレートプロレスの侵略、一宮章一率いる悪のサンジャポ軍団の存在(TBS『サンデージャポン』が取材に来ていた)などなど、それぞれの試合にテーマを持たせているのだ。
 元全女の今井良晴氏がリングアナをやっていたのにはビックリしたし、元レディース・ゴング編集長で現在はレディース・リング編集長の泉井クンが館内実況をやっていたのにもビックリ。さらにはUインター→キングダム→リングスで活躍し、現在はリングス金原道場を主宰する金原弘光と再会。「実は今日、ウチの道場生が出るんですよ」とのことで、一緒に観戦した。
 新宿FACE2回目の興行となった今大会はビッグマッチということでTAKAみちのく、大ハヤブサ、田中将斗という大物も参加。TAKAはラ・マルクリアーダとタッグを組んでSUZUKI&植松寿絵とのミックストマッチに登場した。男女職人対決となったTAKAvs植松はまったく違和感なし。お互いに攻防を楽しんでいるという雰囲気だった。
 そしてセミには大ハヤブサの登場だ。大ハヤブサが出現したのは2000年6月16日、FMWの後楽園ホール。当時、本物のハヤブサの江崎英治はマスクを脱いでHなる新キャラクターになっていたが、FMW悪の権力者・冬木弘道は冬木&GOEMONvsH&ハヤブサという不可能なカードを組んだ。当然、試合は冬木&GOEMONとHのハンディキャップマッチになったわけだが、Hのピンチに現れたのが大ハヤブサだった。5日後の6・21後楽園では冬木&ミスター雁之助&GOEMON&井上京子vs大ハヤブサ&H&黒田哲宏&リッキー・フジというカードが組まれ、冬木が大ハヤブサのマスクを剥ぐと、そこにあったのは怒り心頭の天龍の顔だったというオチだった。
 その後、大ハヤブサは03年11月20日、WMFの後楽園大会でマンモス佐々木と組んで雁ノ助&非道を一蹴、05年10月27日には後楽園のハッスルハウス10で金村キンタロー&田中将斗に袋叩きにされる安田忠夫を救出するために出現している。初登場から8年半にして今回が5度目…大ハヤブサを観る機会は本当に少ないのだ。
 今回の大ハヤブサのカードはリッキー・フジと組んでの雁ノ助&GOEMON戦。過去に戦った因縁ある相手だ。3年ぶりに登場した大ハヤブサのマスク&コスチュームはブルー。マスク越しに見える目元にはペイントが施されてある。
 とにかくデカイ。最近のレスラーは小さいだけに大ハヤブサの大きさとゴツさは際立つ金原も「うわぁ、やっぱり天龍さんはデカイですね!」と声を上げていた。
 雁ノ助&GOEMONはゴング前から大ハヤブサに殺到して先制攻撃に出たが、大ハヤブサはエプロンからのトペで反撃、そしてマスクを剥がされて“天龍の素顔”が露になるや怒りの攻め。チョップ、グーパンチの乱れ打ちで雁ノ助&GOEMONをふっ飛ばし、最後はグーパンチ→投げっぱなしパワーボム→ラリアットのフルコースでGOEMONをKO! 圧倒的な存在感と迫力を示して、天龍…いや、大ハヤブサは無言でリングを降りた。
 メインでは田中将斗がガッツワールドのホープ、ダイスケに胸を貸した。つい6日前には両国で永田裕志と大勝負を演じた田中だが、こうしたインディーのリングでも全力ファイト。まずは腕を取り、ヘッドロックに取り、足攻めに移行し…という基本的な攻防でダイスケの力量を試した上で垂直落下式ブレーンバスター、パワーボム、スーパーフライ、ラリアット、フィニッシュにスライディングDと技の出し惜しみなし。ダイスケにプロレスをレクチャーしつつ、ファンが望むものをキッチリと出した将斗はさすがだったし、食らいついていったダイスケもよかった。試合後、植松が「やっぱり田中将斗は凄いですね」と試合への姿勢、試合運びの巧さに感嘆していたのが印象的だった。
 夜の部は久々のIWAジャパン。いかがわしく、まったりした独特の空気は健在だった。こちらではケロちゃん(田中秀和)がリングアナをやっていたのはビックリ。
 さて、今大会の目玉は東スポで煽っていたビッグフットの登場。このビッグフットが本物かどうか鑑定するために動物学者で未確認生物をUMAと命名したことでも知られる実吉達郎氏を招待していた。ハッキリ言って、馬鹿馬鹿しいことをここまでやってしまうのがIWAジャパンのいいところなのだ。
 問題のビッグフットは三本線が入ったジャージを履いたゴリラの着ぐるみというのが正解か!? いや、それでは夢がない。とにかく強く、維新力が手も足も出ずにビッグフット(フロントキック)でKOされてしまった。ビッグフットだけでなく、そのエージェントのハルミヤコなる高飛車な美女のキャラもグッド。意外にブレイクしたりして…。
「また遊びに来てちょうだいよ!」と帰り際に浅野起州社長。はい、また来るので、よろしくお願いします!

カブキの視点に注目!

 10月22日(水)に発売されるGスピリッツ第9号のメインテーマ『王道とは何か?』で欠かせない人物がザ・グレート・カブキ。これまでにも第2号の長州特集、第7号の海外日本人特集に登場してもらい、Gスピリッツの常連になりつつある。日本プロレス崩壊後に全日本に移り、若手の教育係を務めるも、あくまでも自身のレスラーとしての拠点はアメリカに置いて、ある意味で一歩離れた視点で全日本を見つめてきた人物だから批判的な目も持っているし、何しろ引き出しが凄いのだ。Gスピリッツが情報誌ではないからこそ、その引き出しを今、開けられるのだと思っている。
 81年8月にダラスでお会いして以来、カブキさんは私のプロレスの先生でもある。私はカブキさん、馬場さん、佐藤昭雄さんによってプロレスのセオリーや“プロレスを提供する側”の視点を教わった。
 今回のカブキさんへのインタビューは約2時間。全日本プロレスのベースはアメリカン・プロレスだと言われているが、ではアメリカン・プロレスとはそもそも何なのかというところからスタートして、いろいろ話を聞かせていただいた。1970年に22歳でアメリカ・マットに立ったカブキさんの言葉には含蓄があった。
 また全日本と新日本はなぜスタイルが違ってしまったのか、馬場、鶴龍、四天王について聞いたが、これまたプレイヤーとしての視点でかなり辛口。「同じプロレスラーから見ると、こういう評価になるのか?」とちょっと驚かされた。
 これは全日本ファンに限らず、本当に多くの人に読んでいただきたいと思う。

久々のハッスル

 昨日は後楽園ホールでハッスル。私にとっては8・21後楽園以来、約2か月ぶりの生ハッスルだった。
「これもあり!」と、どちらかというとハッスル肯定派の私だが、どうしても拭えない違和感。久々に観て分かったのは、ハッスルにはプロレス特有の“裏読み”の楽しみがないのだ。キッチリと構成された世界だから、目の前に提供されるものをそのまま観て、面白いか、面白くないかだけ。ああでもない、こうでもないとこねくり回す余地がないところが違和感につながっているのだと思う。
 ということで素直に観たままの感想を書くと、印象に残ったのはダンプ松本、謎の空手少女KG(空手ガール・珠里)、天龍源一郎、ゼウスの4人。
 ダンプ松本の存在感はピカ一。それも“懐かしのレスラー”ではなくリアルタイムの存在感だ。やはり自分のキャラクター、世界を確立しているレスラーは違う。やはりプロレスラーは絵にならなければトップを取れないのだ。そんなことを改めて感じさせてくれた。
 喫茶店の美少女という設定で登場した空手少女KGは10・26栃木でHG、RGと組んで鬼怒川三人衆と戦うことが決定したが、チラリと披露した空手ムーブは説得力があったし、ファンの心を掴みそうな気配。いきなりスター誕生があり得るのはハッスルならではで、男子レスラーでも超新星が出現してほしいものだ。
 7・6福岡のボノ戦から不調続きの天龍はようやく復活ロードをスタートさせた。ハッスル劇場に愛娘の紋奈ちゃんまで登場したのはビックリしたが、そこまでハッスルに懸けるものが天龍にはあるのだろう。これから先、天龍がハッスルという世界で自分をどう表現していくか注目したい。
 最後にゼウス。かつてはハッスルの空気に合わず、何をやっても観客は無反応という状態でどうなるものかと思っていたが、ようやく認知されてきた。元々、力のある有望な若手だけに一度波に乗ってしまえば一気に駆け上がることも考えられる。案外、このゼウスが今後のハッスルのカギを握る男になるかもしれない。

馬場さんのベーッ!

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 10月22日(水)発売のGスピリッツ第9号の表紙と主な内容を公開します。
 今回の特集は全日本プロレスのスタイルについて。『王道』とは何かについて掘り下げてみた。これはかつて週刊ゴングの全日本担当記者だった私にとっては取り組んでみたかったテーマ。張り切って様々な選手に取材して、共に全日本プロレスを語り、面白い話を聞きだしたので期待していほしい。
 で、表紙の馬場さんの表情に注目。今回の記事、インタビューは、思わず馬場さんが「ベーッ」と舌を出してしまうような内容だ!…ったりして。
【特集】『王道』とは何か? 王者たちの知られざる実像、異端児から見た功罪、現役選手の苦悩…。全日本スタイルの正体に迫る!
★ザ・グレート・カブキ=全日本の歴代トップを斬る!
★丸藤正道=NOAH所属の世界ジュニア王者
★諏訪魔=馬場も三沢も知らない次代のエース
★秋山準=『格の時代』と『三沢革命』
★北原光騎=鶴龍時代のシュート事情
★池田大輔=純プロレスの是非を問う
【クローズアップ】
★柴田勝頼=バックボーンはプロレス
★岩釣兼旺=馬場に真剣勝負を挑んだ柔道家
【特別企画】
★Uの源流を探る(後編)
カール・ゴッチとキャッチ・アズ・キャッチ・キャン
【連載】
★Talk about a million secrets of BUMP
鶴見五郎=ツルティモ校長の極悪ヒール道
★アリーバMEXICO=敗者髪切りマッチの実態
★渋澤恵介の世界ふしぎ再発見
「ブロディ刺殺事件の現場を訪ねて」
【付録DVD=伝説のスーパースター特集】
“怪人”ザ・シーク、“殺人狂”キラー・コワルスキー、“生傷男”ディック・ザ・ブルーザー、“野生児”バディ・ロジャース、ほか。
P.S.コメント欄にたくさんのお悔やみのメッセージをいただき、ありがとうございました。皆さんのお気持ちは私自身の胸に受け止め、敢えてこのサイトにアップしなかったことをご理解ください。また、久しく会っていない米国の友にもありがとうと言わせていただきます。