全日本2大王座が移動

 昨日の横浜文化体育館では世界ジュニア、三冠の2大王座が移動、全日本の流れがリセットされる形になった。
 まず土方隆司にノアの丸藤正道が挑戦した世界ジュニア戦。大方の予想は丸藤の王座奪取だった。これまでの両者の実績を考えれば当然である。そして結果はその通りになったわけだが、土方の全日本という看板を背負っての戦いは立派だった。追い込んだのか、それとも丸藤の懐の深さなのかは解釈がわかれるだろうが、少なくとも「あわや」という場面を何度も作ったし、「もう駄目だろう」というところで何度も踏ん張った。そして緊張と高揚の中で地に足を着けてファイトしていた。
 試合後、土方は「すべては自分の責任」「すみませんでした」という言葉を何度も口にしていたが、このノアとの開戦は王者が土方だったからこそ実現したものだと思う。
 2004年に三沢が全日本に、武藤とケアがノアに上がったが、あれはあくまでもスペシャルな交流のニュアンス。だが、今回はれっきとした対抗戦のスタートなのだ。2000年の全日本分裂騒動直後のシリーズに上がっていた選手で今も全日本にいるのは渕、ケア、土方の3人だけ。あのシリーズでは売り興行4大会に離脱組(ノア勢)も参戦したが、当時はバトラーツ所属として全日本に助っ人参戦していた土方は「何にも事情を知らないので客観的に見ていたんですけど、とても両者が将来的に交わることはないだろうという空気を感じました」と言っていた。そんな土方だけに今回の丸藤戦実現には感慨深いものがあっただろうし、その意義を感じていたはず。負けはしたが、馬場・全日本と今の武藤・全日本をつなぐという大役を成し遂げたのは確かなのだ。
 今後、全日本とノアのジュニア対抗戦は激化していくだろうが、土方には橋渡し役で終わることなく、この戦いの渦に入っていってくれることを期待したい。土方はパンドラの箱を開けた。ならば、これを自らの手で閉じることも大きな使命なのだと思ってもらいたい。
 メインでは三冠王座が諏訪魔からグレート・ムタに移動した。昨日のダイアリーで諏訪魔への期待を書いたが、残念ながらムタ・ワールドに埋没してしまった。だが、めげることはない。4月に王者になってから昨日まで、諏訪魔は貴重な経験を積んだ。三冠王者の責務も肌で感じた。これは今後への大きな財産である。多くの課題を残したままの陥落だが、それを克服してまた頂点を目指せばいい。私は敗れてもなお、諏訪魔は本当の強さを持ったスケールの大きなチャンピオンになる男だと信じている。
 一方の武藤敬司&ムタはやはり凄い。決してコンディションが万全でない中で、武藤としてもムタとしても試合をクリエイトして、すべてを自分に持っていってしまうのだから脱帽だ。「ピラミッドの頂点が高いほど裾野が広がるわけで、俺は若いレスラーにとってより高い頂点でいたい」という業界トップとしての意識の高さにも感心する。
「たまに取材で“尊敬するレスラーはいますか?”って聞かれるけどさ、誰も尊敬してないね! 先輩方が悪かったから、ここまで来てるって。誰を目指していいのか道標を作った人はいねぇわけだ、こりゃ。そういう部分で言ったら、カッコつけるわけじゃないけど、少しは道標になる方向を“俺のあとについて来い!”ぐらいにはいきたいかなあなんて。やっぱり見本たるもの頑張らなきゃいけないし、そうでなければついて来ないわけであって」
 これは何年か前に武藤から聞いた言葉。武藤&ムタには道標になるべく頑張ってもらいたい。

「全日本2大王座が移動」への2件のフィードバック

  1. こんにちは
    更新をいつも楽しみにしております。
    全日の選手の素顔をリアルに伝えていただき観戦に深みが増していると実感している岡山の一ファンでございます。
    土方選手にはなるほど負けはしましたが、ノアとの橋渡しにふさわしい試合をされたのでは、と思います。生観戦したかったですが、昨日は広島市民球場でファイナル公式戦がありそちらにいっておりました。そちらでも感動しました(横浜は遠いです)
    GAORAではいつも楽しみに観戦させていただいております。できたら今度両国観戦にいけると思いますんのでサイン下さい。
    では

  2. 本日近藤修司選手が全日本へ正式入団、そしてVMと決別し全日本本隊に合流すると言うニュースがありました。
    突然のことでビックリしています。小佐野さんはどう思いますか?

きびだんご へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です