ROH大会

 昨日はディファ有明のROH興行へ。私は元々、アメプロ好き。まだアメリカが憧れの遠い国だった1981年夏、19歳の私はなけなしの80万円を持って3週間のアメプロ観戦旅行を敢行した。そうした経験があるだけに、こうした直輸入大会にワクワクしながら足を運ぶファンの気持ちがわかるような気がする。
 試合開始は午後4時だが、3時40分からダークマッチとして鼓太郎&平柳vs裕次郎&内藤哲也のNO LIMITのノアvs新日本ジュニア対抗戦。GHCジュニア・タッグを狙うNO LIMITにとっては重要な一戦だ。だが、シチュエーションがよくなかった。これが純粋なノアの会場だったら対抗戦ムードが盛り上がっただろうが、ROHを楽しみにきたファンが多いから、どうもしっくりこない。リングがROH、アナウンスも英語だから対抗戦の殺伐とした雰囲気にならないのだ。NO LIMITが勝利したものの、内藤は「今日、俺らに求められていたのは結果とインパクト。結果は出せたけど、インパクトの面では駄目でしたね。悔しいです」と唇を噛んだ。でも、そう反省できる内藤の感性は好感が持てる。9・27大阪でのGHCジュニア・タッグ挑戦が正式決定しただけに、本番での本領発揮に期待したい。また、今回のダークマッチではNO LIMITに試合を引っ張られない平柳の我の強さが光っていたことも書いておきたい。
 さて、肝心のROHだが、期待していたタイラー・ブラックは一発芸…ひとつひとつの技は斬新だが、組み立てができずに単発に終わるから、観客のテンションが持続しない。まだまだ素質と運動神経で戦っているだけという感じで、発展途上の選手だった。
 ノア・マットではクリーンなイメージのあるエディ・エドワーズ、デイビー・リチャーズが悪徳マネージャーのスウィーニーを引き連れてヒールとしてファイトしていたのは新鮮。エディと戦った宮本和志は05年のアメリカ時代以来のROHマットとのことだったが、さすがにグレート・カズシとしてテキサスのインディー・シーンでトップを取っていただけあって、アメプロにマッチ。普段の宮本とは違う一面が見れた。またリチャーズと組んだことで森嶋はヒールに。GHC王座を健介に奪われてから初めての試合だったが、いい気分転換になったのではないか。
 その他、ドラゴンゲートに来日経験があるエル・ジェネリコと石森も好試合。石森は「ドイツでやった時の方がいい試合ができた。今日はミスが多かった」と悔やんでいたものの、お互いに持ち味が出ていたと思う。ノアに参戦してから一時期は飛び技を封印してグランド中心に試合を組み立てていくファイトを心がけていた石森は、本当に巧くなった。まぎれもなくノア・ジュニアの中心選手である。
 金丸にブライアン・ダニエルソンが挑戦したGHCジュニア戦は職人対決。派手な技を駆使する選手が多いROHにあって、ブライアンは試合を緻密に組み立てて、いいタイミングで大技を繰り出す名選手。腕や首を取っての試合運びも観る者を飽きさせないバリエーションと説得力を持っている。最後、粘る金丸をキャトル・ミューティレーションで仕留めるまでの流れも見事だった。新王者となったブライアンには9月20日、フィラデルフィアで中嶋勝彦が挑戦することが決定。米マット・デビューになる勝彦に期待したいところだ。
 ドリーム・タッグマッチとして組まれた丸藤&中嶋vsKENTA&飯伏は、盛り上がりに欠けていた会場を一気にヒートアップさせた。この4人が絡んで面白くならないわけがないのだ。ROHに対して日本のレベルを見せつけようという試合は30分時間切れとなり、5分延長でも決着つかず。期せずして“ニッポンコール”が発生した。この試合をROHの選手、関係者がどう見たか?
 セミでは新GHCヘビー級王者・佐々木健介がロデリック・ストロングと対戦。さすがに健介はやりにくそうで、いたずらにスタミナをロスしているようにも見えたが、慎重になるのもROH登場がすでに現地でアナウンスされているからこそ。佐々木健介というひとりのレスラーとして、ノアのチャンピオンとしての重責を担っているのである。最後は「ドッカーン!」とノーザンライト・ボム。GHCのベルト、そしてROHも含めた今後の戦いは健介の幅を広げてくれることだろう。
 メインはナイジェル・マッギネスにジミー・ジェイコブスが挑戦したROH世界戦。ジェイコブスは小悪党タイプで巧さがあるが、日本的にはウケない選手。このあたりのアメリカと日本の感覚の違いが難しい。ROHとすれば、日本向けにアレンジして上陸しても意味がないわけで、あくまでも本国流を押し通した。それは正解だったと思う。
 交わる部分もあれば、交わらない部分も当然ある日本のプロレスとROH。だが、こうした異文化交流は共に参考になるだろうし、融合する部分もあるはず。今回が2度目の上陸だったわけだが、粘り強く継続していくことが重要だろう。

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