今、時代の狭間で…

 力道山→馬場&猪木のBI時代→俺たちの時代→三銃士&四天王時代。そして今、プロレス界はさらに新しい時代に突入しようとしている。
 昨日の全日本プロレス両国大会は、そんな現状を象徴するような大会だった。武藤敬司のIWGP王座に挑戦したG1覇者・後藤洋央紀はキャリア5年、29歳。若さと時の勢いでレジェンドの域に達している武藤にアタックしたものの、終わってみれば、完全に武藤の試合だった。
 諏訪魔に太陽ケアが挑戦した三冠戦は、実際は馬場・全日本から武藤・全日本を体感してきているキャリア14年のケアにキャリア4年、31歳の諏訪魔が挑戦した試合だ。昨日はPPVの解説があり、IWGP戦は辻よしなりアナウンサー、東スポの柴田惣一氏、山本小鉄さんが担当したのでリングサイドからジックリと観ることができたが、三冠戦は自分の担当だったために解説者として喋るのに精一杯。改めてビデオを観なければ分析できないというのが正直なところ。
 果たして諏訪魔vs太陽ケアの60分時間切れ引き分けは会場に来たファン、テレビの視聴者にどう映ったのだろうか? 一緒に解説した渕さんと私の一致した意見は、55分過ぎの2人の戦い方は違うのではないかということだった。あそこまできたら、もはや決着を狙うにはギブアップ技ではなく、なりふり構わぬ大技の連発、あるいは強引な押さえ込みしかない。だが、2人には“逃げの姿勢”が垣間見えたのだ。かつての四天王の領域に踏み込めなかったというのが、現時点での私の感想である。
 今、諏訪魔を始め、トップに立とうとしている若いレスラーは皆、苦悩している。武藤に挑戦した後藤、中邑、棚橋、ノアのGHC王者・森嶋もそう。かつて武藤は「過去の記憶には勝てない」と言ったが、今の若いレスラーは対戦相手にキャリアや経験を持ち出されたら何も言えない。いずれも年数を重ねなければ身に付かないものだからだ。
「もう、あんたたちの時代じゃない!」と言ったところで「じゃあ、それだけのキャリアや経験はあるの?」と反論されたら何も言えなくなる。
 世代闘争、時代の壁と戦うには先輩に試合に勝つだけでは駄目。1回勝ったからといって、誰も「超えた」とは認めてくれないだろう。勝つだけでなく、戦いを通してその先輩のキャリア、経験を自らに吸収していくことである。今、諏訪魔はその作業をやっている最中なのだ。
 先輩は高い壁となって若いレスラーの前に立ちはだかり、若いレスラーはその先輩から様々なエッセンスを吸収した上で踏み越えることによって真のトップに成長していく。プロレスはそうやって継承されていくものだと思う。プロレスの未来のためにベテランも、若いレスラーも踏ん張ってほしい。

「今、時代の狭間で…」への1件のフィードバック

  1. まさに小佐野さんの言うとおりだと思います
    若い選手は頑張っていますが、過去の記憶との勝負に苦戦しているのでしょう
    だからといって四天王プロレスや三銃士のプロレスをやる必要はないです
    新しいものや自分にあったものを作り出せばいいと思います
    僕は昨日の三冠は悪い試合ではなかったと思います
    過去にとらわれずに彼らなりのやりかたでやっていたと思います
    あと最後の5分はジャンボの60分フルタイム戦を思い出しました
    IWGPと三冠というか新日本と全日本のカラーの違いを出そうとしたんじゃないかと

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です