先輩・後輩の絆

“ひとりぼっちの野良牛”になってしまった天山に光明が見えた。天山は昨日の後楽園ホールにおける蝶野正洋プロデュース『PREMIUM』にゼロワンMAXの大谷晋二郎とコンビを結成してワンナイト・トーナメントに出場。「また天山が裏切られるのでは?」という予想を裏切って優勝したのである。
 このトーナメントにはユニークなチームが揃った。長州力&田中将斗は十数年前だったら大メジャー新日本の現場監督&インディーの雄FMWのホープという考えられない組み合わせだし、その他のチームもスーパー・ストロング・マシン&ヒロ斉藤、長井満也&崔領二、藤波辰爾&大森隆男、越中詩郎&佐藤耕平、蝶野正洋&吉江豊という普段はあり得ない組み合わせ。純粋・新日本チームは中西学&獣神サンダー・ライガーだけだった。
 実際問題、天山&大谷は記者会見を大谷が欠席するなど大会前から不穏なムード。飯塚に裏切られて疑心暗鬼になっていた天山は「大谷を信じるしかない…」と不安げに語る体たらくだった。
これに対して大谷は、
「天山は2年先輩で、本当に優しい人だった。でも7年も空白があって、お互いに違う道を歩いてきたのが、たかが記者会見とか2~3日、仲良くしたって意味がない。当日、7年経った天山広吉と大谷晋二郎としてリング上で会って、そこでお互いに認め合い、心が通えば問題ない。その時の感じで、皆さんが期待している通りに裏切るのもありだと思うし…」
 と言っていたものだ。
 トーナメントは1回戦でマシン組が長井組、藤波組が越中組を倒して準決勝へ。天山組と長州組の試合では、やられっ放しの天山に大谷が蹴りで活を入れる場面もあって場内は騒然としたが、最後は天山が大谷に促されてTTD2連発で長州を攻略。準決勝のVSマシン組は、大谷がマシンをキングコブラ・ホールドに捕らえ、その間に天山はヒロをアナコンダ・バイスで締め上げるという阿吽の呼吸を見せたものの、大谷が天山の握手を拒否したのが印象的だった。
 決勝は天山組と、蝶野組&藤波組を破って勝ち上がってきた中西組の対決。またまた天山が捕まったが、耐えに耐える我慢のファイト。最後は天山がアナコンダ・バイスでライガーを仕留め、粘闘の上で優勝を果たした。
「大谷、ありがとう。今日は1回限りで組んだけど、次に会う時は戦う時とちゃうか? 組むより戦う方がいいだろう」
 と天山。大谷に今後の共闘をアピールするのではなく、反対側のコーナーに立つことを提案したところに、天山が少し吹っ切れたのが見て取れた。
これに対して大谷は、
「せっかくハッピーエンドで終わったのに。皆さん、今の天山だったら裏切られるだろうというその期待を裏切らせてもらいます」
 と天山と握手したが、返す刀でG1参戦を表明。
 そして控室に戻った2人は一瞬だけ先輩・後輩に戻った。
 大谷が新日本に入門した92年にはバルセロナ五輪出場の中西、大学で全日本選手権を獲得している永田、石沢(ケンドー・カシン)というアマレスの大物が入門した年でもある。何の実績もないのは大谷と高岩だけだった。そんな中で2年先輩の天山は、
「大学でレスリングをやってたり、オリンピックとかそんなもんはなかったけど、こいつの目を見た時に“こいつは気をつけな、あかん!”と思ったよ。今日も熱かった。1回限りのタッグやけど、この時期に組んだってことはプロレスの神様のいたずらとちゃうかな。この次は組むよりガッチリ戦いたい。夏は俺の季節、G1イコール天山や!」
 と、久々に威勢のいい言葉を吐いた。
 こんな天山に対して大谷は、
「最後まで勝負を諦めない天山広吉を見ました。そこには何事にも弱音を吐かない2年先輩の山本さん(天山の本名)がいました。でも天山広吉が言った通り、次に会う時には対角線上に立っていると思います。俺がG1に出るということは『火祭り』を背負って出るということだ!」
 最後は握手はせずにビールで乾杯。低迷を続けていた天山、右肩の負傷に苦しんできた大谷…かつての先輩・後輩は一夜限りのタッグを経て、それぞれ夏に勝負をかける。

「先輩・後輩の絆」への1件のフィードバック

  1. 全然、話はソレルんですが・・・w
    ぶっちゃけ
    プロレスの存在が“気に、ならなくなって”半年以上。
    それでも今回の『PREMIUM』は
    絶対面白い大会になる!と思ってました。
    藤波・大森組なんて、見方を変えればこれ以上“クスぐられる”チームってナイですよ。w
    長州・田中の有り得ないチームも、そう。

    それが“某誌”では、その“特異性”が、伝わってこない。
    もちろんネットでの試合速報的な報道も、です。
    オンタイムで情報を得られない“我々”は、どうしても
    大会・試合に対しての“距離”が出来てしまう。
    “某紙”でも、扱いは“もひとつ”感が感じれたし。
    “愚”な意見なのは承知で言わせて貰いますが
    やはり“週ゴン”のレポート、恋しいです。
    “行間”に気付かせてくれるレポート、多かったですもんネェ。
    この大会の“熱さ”“特異さ”を、感じたかったなぁ・・・
    わかりきってる事なんですが
    やはり現状の状況では
    受け手側としてのプロレス業界の“不健全”さを感じます。

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