全日本プロレス新章

 昨日から全日本プロレスは新しい段階に入った。まずは4・29名古屋でシルバー・キングを破った土方隆司が第26代世界ジュニア・ヘビー級王者として初の後楽園ホール。3年4ヵ月ぶりに本隊にベルトを奪回した土方は、三冠王者になった諏訪魔と同じくチャンピオンの重責を感じている。5・25神戸での初防衛戦に向かって早くもカズ・ハヤシと前哨戦で火花を散らしたが、ファイトぶりだけでなく、立ち居振る舞いにまで神経を尖らせているのが見て取れた。
 そしてメインでは三冠ヘビー級王者・諏訪魔とIWGP王者・武藤敬司がタッグを結成して、それぞれのベルトをお披露目。実に絵になるふたりだ。
 だが、私にとってインパクトが強かったのは、この王者コンビと対戦したGURENTAIの鈴木みのる&太陽ケアの方だった。あの鈴木みのるが『風になれ』ではなく、ボニー・タイラーの『Holding Out For A Hero』に乗って先頭で入場してきたのである。こんなちょっとしたところにも、鈴木みのるのGURENTAIというユニットでトップを取ってやろうという意識が感じられる。
 試合は諏訪魔とみのるがカーニバル公式戦を彷彿させるようなゴツゴツ、ギクシャクした攻防、武藤とケアのオーソドックスな攻防がミックスして見応えあるものに。みのるがムキになって諏訪魔に食ってかかり、それに対して諏訪魔が一歩も退かず…という中で、ケアがH5O、TKO34thで武藤を押さえた。結果的には王者組の作戦勝ち、しかもケアが初めて武藤をフォールしたという事実が大きい。
 喜びを爆発させるケア、それに対してみのるは手応えを感じながらも冷静だった。
「大きな前進じゃねぇよ。多少は大きいけど、あくまでも第1歩。たかが1本取っただけだ。行き場のないケアと勝ち残るしかない俺は崖っぷちだからな(苦笑)。ひとつずつ、ひとつずつ上がってやる。ケアはもっと出来るんだ。もっと出来るんだよ。なあ、GURENTAI、楽しいだろ?」(鈴木)
「GURENTAI、タノシイネ! デモ、トーキョージャナイヨ!」(ケア)
「ハワイでもねぇぞ。もっと日本語覚えろよ(笑)。全日本で何年だ?」(鈴木)
「ゼンニホン、14ネン!」(ケア)
「全日本14年の奴と、過去をひっくるめた全日本の歴史を変えてやる。どんな時代の全日本よりも、鈴木みのると太陽ケアの時代が一番面白かったって変えてやる。今、ここにある風景を根こそぎ変えていく。明日の栃木の客にだって、後楽園ホール、東京ドームと同じ、それ以上のクォリティーの試合を見せる。こっちの体が潰れるか、結果がついてくるか…覚悟はできてるよ。今日の相手はチャンピオン・コンビだったっけ? 空気読めなくてゴメンね。強過ぎちゃって(笑)」(鈴木)
 全日本に新しい風景をもたらすのは新王者たちか、必死のGURENTAIか? 全日本プロレス新章はこれまで以上にシビアなものになる。

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