今、気になる男は…アントン!

 この2年近く、なるべく多くの団体の試合を観るようにしているが、そんな中で今、個人的に注目しているのはDDTのアントーニオ本多だ。
 彼の存在を認識したのはフランチェスコ・トーゴー率いるイタリアン・フォー・ホースメン時代だから、1年半前ぐらいか…。「△△△ボンジョルノ~!」という妙にハイテンションな喋りは面白いし、武蔵野美大でプロレス研究会にいただけあって観客や会場の空気を読む独特の感性も素晴らしいなと思ったのが最初。ただし、純粋にプロレスラーとして見た場合には“?”マークがつく。つまりは完全にイロモノとして考えていた。
 だが、そのファイトぶりをじっくりと見ていたら、70年代~80年代中盤のアメリカン・プロレスへの憧れが感じられて、いつしか好感が持てるレスラーになっていった。お笑いの部分ばかりがクローズアップされる裏では、きっとディック東郷からきっちりとコーチを受けていたのだと思う。そして昨年11月にaWo(ハワイ軍団=アロハ・ワールド・オーダー)で師匠・東郷以下のメンバーに裏切られたことによって、アントンは正念場を迎えている。
 今年に入ってから、喋りやお笑いネタに頼らずに純粋にリング上のファイトで勝負。昨日のエルドラド後楽園大会の大柳錦也との試合も、対角線を走ってのロックアップからスタート。大柳もベーシックなプロレスを志向しているから、他のエルドラドの試合とは趣の違う試合になった。アントンのファイトは古き良き時代のアメリカン・プロレスのベビーフェースのよう。アームドラッグからアームロックというアメプロのベビーフェースの組み立てだ。腕攻めも単調にならないように様々なバリエーションを加えていたし、基本である逆腕の取り合いで客席が沸いたのだから大したもの。共に大技を使わずに15分時間切れで客席を退屈させなかったのだから立派である。
 もしかしたら、これまでのアントンを応援していたファンの中には「つまらなくなったなあ」と思う人がいるかもしれない。でも、アントンは今、本当の意味でプロレスラーになろうと必死なのだと私は解釈している。今の路線で何かを掴んで、そこに従来のエンターテインメント性が発揮された時、アントンは本当に魅力的なプロレスラーになると思う。今の私の気持ちは“本多ボンバイエ”だ。

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