ハッスルの微調整

 今の私の環境では地方に取材に行くのは難しいので、ハッスルを観る場合にはどうしても後楽園ホールのハッスルハウスが中心になってしまう。ハッスルハウスはナンバー・シリーズの前振り的な役割が多いからエンターテインメント色が強いが、昨日の代々木で久々に観たナンバー・シリーズの『ハッスル30』はプロレス色が強い大会だったと思う。
 東京愚連隊とKUSHIDA&チエのオープニングマッチは愚連隊がタッグのエキスパートとしてのスキルを存分に見せつけてくれた。2対2のタッグマッチなのに愚連隊の論外、MAZADA、TAKEMURAはレフェリーの目を盗んでキッチリとトリオのファイトをやるのだ。最後は論外がKUSHIDAのラナをパワーボムに切り返し、しかもロープに両足を乗せてのエビ固め。いやらしさ、巧さ、そして姑息な小物感を見事に表現していた。16日のハッスルハウスでは愚連隊とTAJIRI、KUSHIDA、チエの6人タッグが実現する。愚連隊とTAJIRIの職人対決は注目である。
 その他、セミのHGと鬼蜘蛛の試合もHGがプロレスラーとして試された試合。川田との一騎打ちを熱望するHGには川田指定の“鬼怒川三人衆”を全員撃破することが条件とされているが、相手が芸能人でもビッグネームのレスラーでもないだけに、HGの本当の力量が問われる。地味ながらも実はHGにとっては川田戦までの過程が正念場と言っていいだろう。
 メインでは椎間板ヘルニアの手術で欠場していた坂田が復帰。天龍と組んでサップ、川田と激突したが、これも“闘い”を全面に押し出した。天龍と川田のチョップ合戦、川田と坂田のサブミッションの攻防、そしてサップの坂田の腰への攻撃。結果、坂田は腰をやられて復帰戦黒星となったが、フィニッシュはレーザービターンなどの“ファンタジー技”ではなく、腰へのエルボー、フェンスを使っての背骨折り、最後はアルゼンチン・バックブリーカー(ビースト・バックブリーカー)というシビアなもの。サップは天龍にもド迫力のタックル、ネックハンギングを見舞うなど、ハッスル登場以来、一番よかったと思う。
 ハッスルらしいテイストはボノちゃんのパートナーのよしえちゃんが吉江豊だったことと、RGと鈴木みのるの一騎打ち。右膝をガチガチにテーピングしてきて、最初はRGに攻め込まれてみせるというのは鈴木みのるが一捻りしたアイデア。ハッスルのリングでもこうして遊び心を発揮できるみのるは、それだけ自分に自信があるということだ。最後はきっちりとみのるワールドに持っていった。
 今の動きは上半期の柱となる5・24有明コロシアムでの『ハッスルエイド2008』に向けてのものだが、ハッスルは時代の空気を読みながら常に微調整しているように感じられる。プロレス色が強まっているのもその証拠。どんなタレントをリングに上げても、どんなに突飛なストーリーラインを展開しても、最終的にはリング上のファイトに魅力がなければ飽きられてしまう。最終的にはプロレスありきなのだ。ファンタジーの世界を作り上げたハッスルがリング上をどう変化させていくのか楽しみだ。

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