健介オフィスと初代タイガー

 今日の話題はパソコンが壊れたために書けなかった日曜日と月曜日について。日曜日は健介オフィスのホームタウンマッチに行くか、DDTの後楽園に行くか迷ったが、DDTには16日の新木場ダブルヘッダー(夜は新ブランドのハードヒット)に行くつもりなので、久しぶりに吉川の健介オフィス道場に行ってきた。
 私はこのホームタウンマッチ=道場マッチの雰囲気が好きだ。リングと客席が近いから、どこから観てもリングサイド。チョップの音、肉がぶつかる音、キャンバスに叩きつけられる音…初めてプロレスをナマで観た人は、その迫力にビックリするはずだ。レスラーの方も客席が近いだけに小手先のごまかしは許されないシビアな状況なのだ。
 それにしても健介オフィスの新人たちは本当に鍛えられている。竜志はキャリア半年、起田と健斗は1ヵ月前にデビューしたばかりだが、他団体に出ても堂々としている。それだけの練習をしてきているという自負もあるだろうし、気持ちで負けてはいけないという教育が徹底されているのだろう。実際のファイトにしても新人とは思えない骨太なものがあるし、技の当たりも強い。それに全日本、ノア、エルドラド…と、スタイルに関係なく、今のうちから様々な団体の若い選手と戦っているというのは将来に必ず活きてくるはずだ。
 今や健介オフィスの若きエースになったと言っても過言ではない勝彦は昨日11日に二十歳になった。おめでとう!
 月曜日はパソコンの修理のために奔走しつつ、夜はサムライTV『S-ARENA』に初代タイガーマスク=佐山聡と出演。佐山さんは明日13日の後楽園ホールにおけるリアルジャパンの興行でスーパー・ライダーと組んで天龍&折原と対戦する。初代タイガーVS天龍というのは、残されていた夢のカードだ。
 アントニオ猪木の遺伝子を持つ佐山さんの言葉の端々からはジャイアント馬場の遺伝子を持つ天龍には絶対に負けられないという意地が感じられた。これはちょっと危険な勝負になるかも…。

嗚呼、パソコンが!

 いやあ、マイッタ! それは日曜日の夜のこと。インターネットをやっていたらフリーズ…ここ最近、パソコンの調子が悪いので「エイッ」と電源を切ってしまったら、あら大変。再起動したら英語が出てくる青い画面=ブルーパニック(?)になり、その後はあらゆる方法(といっても私にはほとんど知識がない)を使っても起動できないという緊急事態!
 書きかけの原稿も中に入っているし、締め切りが迫っている原稿もある。まさかパソコンがクラッシュするなんて! で、昨日は朝から修理に持ち込み、全部というわけにはいかなかったものの、ハードディスクのデータを取り出すことができたのは不幸中の幸いか。
 早速、新しいパソコンを買って、今日は諸々の設定で時間を費やしてしまった。くれぐれもデータはバックアップを取っておかなきゃ駄目だね!
 それにしても悲しいのは、日本スポーツ出版社を退社した後の2004年10月に買ったパソコンとの突然の別れ。かつては毎日のように自宅と週刊ゴング編集部を往復したし、週に1回は出張に持ち出していた。あんな使い方をしていたら3年半が限度か。このパソコン1台によって、私はフリーになってから今日まで生活できた。そう、私のなくてはならないビジネス・パートナーだったのだ。本当にありがとうという気持ちである。
 そしてこれからは、今現在、このダイアリーを打っているこのパソコンがパートナーになる。ガンガン仕事しような。よろしく頼むぜ、相棒!

666を初体験

 昨日は念願かなって新木場でやっと666の興行を観ることができた。別冊やらメンズナイト興行やらをを除いて23回目の本興行だというから結構、続いているわけだ。怨霊&アブナイ感じのインディーズレコードレーベルの殺害塩化ビニールの合体から何が生まれるのか? これはナマで観なければ、人の話だけじゃどうにも理解できない。ナニ? 今日はラム会長は学校行事のために欠場? それは残念だなあ。
 試合はライブの実況付きでメンズ・テイオーと須山浩継氏が担当する。テイオーは学生プロレス時代に試合だけでなく実況もやっていた。実に20年ぶりぐらいにテイオーの名調子が聞けるのは嬉しい。そしてレフェリーの李日韓、浅野グレース恵は、この666ではスカートでレフェリングするのか…。
 第1試合は、この日が666デビューだという怒愚羅&魔愚羅というマスク・コンビがウインガー&ナスティ・ブラック・パンサーにアタック。「ああ、これはウインガーとGENTAROの紙パックスですね!」と、当たり前のようにナスティの正体をバラし、掌打を使う怒愚羅だか魔愚羅だかを見て「おおっと、正体はライガーか!?」とボケてみせるテイオーの解説ぶりは学生時代と変わらないものだ。最後はGENTARO…じゃなかったナスティがチャボ・ゲレロやランス・ストームが使っていた回転しての逆エビというマニアックな技で決着だ。
 第2試合はドラゲーの大野勇樹とホッシーノ(星野勘九郎)がスクランブル・バンクハウス・デスマッチならぬスクランブル・パン喰うハウス・デスマッチ。要はパン喰い競争。セコンドに付いていた練習生がパンを食べちゃってノーコンテストというのがオチだった。
 小仲=ペールワンとウルトラマンロビンの第3試合は特撮物を強引にプロレスにしたもの。黒子に抱えられたロビンが客席を飛び回って入場。試合中も黒子がペールワンの空中浮遊やロビンのムーブを助けるという展開に。最後は水鉄砲の誤爆に怒った黒子・木村響子のビッグブーツが火を噴いてロビンが勝利。徹頭徹尾、馬鹿馬鹿しければ、それはそれで成立しちゃうのだ。
 第4試合の忍&みねぴょん(藤田峰雄)&佐藤悠己VS趙雲子龍&しゃちほこマシーン&マサ高梨は、試合内容できっちり見せながらも、佐藤が忍とみねぴょんに誘われて禁断の世界へ…。
 セミの怨霊&TARUと宮本&先輩はTARUと先輩の視殺戦…メンチの切り合いが最大の見せ場となった。2人がエプロンで、場外で睨み合うとリング上の怨霊VS宮本が打ち消される迫力なのだ。この先輩なるマスクマンのキャラは凄い! パンチパーマにサングラス、髭をあしらった怖いお兄さんをイメージさせるマスク。コスチュームはジャージで手にはセカンドバッグ。非の打ちどころがないのだ。そしてセカンドバッグから注射器を取り出して自ら頭にブスリと刺した途端にハイテンションという、かなり危険なキャラ! 最後は薬が切れて戦闘不能になり、孤立した宮本が怨霊クラッチに仕留められてしまった。
 メインは殺害塩化ビニールの社長ザ・クレイジー・SKBの世界だ。設定はヘンな宗教に洗脳されてしまった宮本の目を覚まさせるというもので、SKBがマリキ・ド・シャドウ(シャドウWX)、破羅死魔(HARASHIMA)を従えて宮本&信者軍団と戦うというもの。このメインはボーナストラックと捉えればいいと思う。毎回、このボーナストラックが付くから、それは実際にナマで確かめてもらうしかない。ちょっと、ここでは書きようがないというのが正直なところだ。
 この666興行に集まるお客さんの半分はプロレスファンではなく、殺害塩化ビニールのファンだという。だが、興行を重ねるにつれて純粋にプロレスを楽しむ観客が増えてきているとか。ということは成功だろう。何かいけないものを観ているような意識と共犯者意識みたいなものが独得の雰囲気を醸し出しているのかもしれない。これはライブで観ないとイメージが掴めないイベントである。
 プロレス的な見方からすれば、過激なネタや馬鹿馬鹿しいネタも盛り込まれているが、基本的にファイト自体はしっかりとしているというのが私の感想だ。

火薬庫と化したドラゲー

 私はドラゴンゲートの大会は基本的に月1回、後楽園ホールで観るというペースだが、3・20大田区に向って何やら不穏な空気が漂っている。
 2・8後楽園以来の昨日の後楽園でもハルクとYAMATOの関係はギクシャク、マッスル・アウトローズも分裂寸前といった感じだし、タイフーンではCIMAと斎了の関係がおかしくなっていた。そろそろ勢力分布図がリセットされる時機にきているのだろうか?
 そして、それに加えて昨日は新たな選手が2人登場した。まずはゼロワンMAXを主戦場にしているエルブレイザー。2・26新木場でモッチーのインター・ジュニアに挑戦したのを機に、かつて闘龍門XでミニCIMAとしてファイトしていたことをカミングアウト。闘龍門がドラゴンゲートに変わったために、闘龍門X所属という微妙な立場にいたエルブレイザーはドラゲーのリングに上がることなく、その後に諸々あってエルブレイザーになった。
 休憩時間前にモッチーの呼びかけでリングに上がったエルブレイザーはCIMAにペコリと一礼すると、
「途中で違う道を歩んできましたが、このリングに上がることが夢でした。今日、その夢が叶って嬉しいです。3月20日の大田区に出場します!」
 と挨拶。タッグ・パートナーを買って出たのはエルブレイザーの空中殺法に注目していたというPACだ。対戦相手には、かつてエルブレイザーをしごいた鬼コーチのアラケンが岩佐との統一タッグ王者コンビとして胸を貸すことを名乗り出た。
 ただし、緊張のあまりエルブレイザーのマイクは噛み噛み。
「いや、こんなにお客さんが僕のことを知っているとは思わなかったし、凄い緊張しました。足が震えっぱなしでしたよ。先輩たちがズラーッとリングにいて…役者が違いました」
 と、普段は何事にも動じない神経の太さがウリのエルブレイザーが汗びっしょり。そこにPACがやってきて「ショッパイ、マイク。セイム」と、お互いのマイク・パフォーマンスのショッパさを悔やんでいたのが笑えた。
 エルブレイザーは歓迎ムードだったが、問題はメイン終了後に乱入した谷嵜なおきだ。谷嵜は06年6月にマッスル・アウトローズから離脱して、そのままフリーに。様々な団体に上がりつつもエルドラドを主戦場にしていたが、3月1日にエルドラドを円満離脱したばかりである。
 2月28日のダイアリーで書いた通り、谷嵜はプロレスに悩んでいた。「プロのプロレスラーになりたい」とも言っていた。悩んだ末の結論がエルドラド離脱→ドラゲーへのUターンだったのだろうが、迎える側の気持ちが複雑なのは当然。
「会社が苦しい時に勝手に辞めて、他団体で食えなくなったから戻って来たのか!? 大田区で俺と一騎打ちをしろ!」
 と迫ったのはYAMATO。ここでDoFIXERで先輩だった斎了は、
「谷やん、ドラゲーの勘を戻すためにも明日の越谷でタッグで俺とやってみないか?」
 と好意的に呼びかけた。斎了がアンソニーをパートナーに指名すると、谷嵜のパートナーにはゼロワンMAXで谷嵜のファイトを見ていたモッチーが名乗りを上げた。これも好意的な態度だ。
 その一方では、CIMAは苦々しい表情を浮かべ、鷹木やハルクも固い表情。ファンの反応も歓声とブーイングの半々。そしてYAMATOが花道を引き揚げていくところをCIMAが凄い剣幕で掴みかかって顔面にパンチ! ただならないCIMAの怒りにタイフーンとニューハザードのメンバーが慌てて割って入った。
 このところCIMAとYAMATOの抗争めいた感じもあったが、このCIMAの怒りはそれを明らかに越えたもののように見えた。それは谷嵜がドラゲーに再び上がるきっかけを作ったYAMATOの勝手な言動への怒りではなかったか…。
 それぞれのユニット内での不協和音、そしてエルブレイザー、谷嵜なおきの参入…今、ドラゲーは危険な火薬庫と化している。ここにポンと火種を放り込むのは誰だ!?

コメントへの私の感想です

 このところのコメントを見ると、三沢光晴を破ってGHC王者になった森嶋猛について厳しい見方をしている人が多いようだ。
「サイコロジーのない試合だった。森嶋も必殺技のラリアット、バックドロップを突然だしたりサイコロジーのない攻防があった。必殺技はここで出してくれという時に出さないとダメ。タジリに批判されそうな試合だった」
「森嶋はタジリにまた批判されないように試合内容をもっと頑張ってほしいです」
「ここでは田尻が批判したレスラーは森嶋ということになってるんですか?」
 TAJIRIがKamiproのインタビューで「いやね、ちょっと前、プロレスマスコミから高評価を与えられてる某団体の某選手の試合を初めて観たんですけどね。もう完全に引いた! なんじゃこれ!?って。もう試合構築の基本の“き”の字も知らないんですよ」と、名前は出さなかったものの、ある選手の試合を批判したことを受けての意見だろう。ようは試合に組み立ても流れもなく、大技を連発していた選手がいたということ。TAJIRIは名前を明かしていないが、ニュアンス的にはラリアット・プロレス系の選手。そうなると森嶋の名前も自ずと浮上してくるというわけだ。
 私のプロレスに対する考え方はTAJIRIと共通している。私はハイスパートよりも組み立てのある試合の方が好きだし、本来、そうあるべきだと考えている。だから先日のドリー・ファンク・ジュニアの試合などは懐かしかった。
 さて、先日の三沢VS森嶋戦だが、決して好勝負ではなかったと思う。ただ、両者が意識を素っ飛ばしながらも試合を続け、成立させたことには感銘を受けた。どんなアクシデントが起こっても…例え意識がなくても最後までやり遂げる 。それがプロレスラーなのだ。だからこそ状況を見極めるレフェリーが非常に大切なわけで、あの試合後の西永レフェリーの表情は、いかにハードな戦いだったかを物語っていた。
 で、森嶋に関しては私は以前から買っている。ガイジンを圧倒してしまう体は大きな魅力だし、ROH世界王者になってから相手の体のサイズに関係なくいい試合ができるようになったと思う。まだまだムラがあるにしても中嶋勝彦戦、潮﨑豪戦もいい試合だった。
 そして私からしたら敢えてサイコロジー、セオリーに収めたくないレスラーだ。理屈など関係ない規格外のレスラーになってほしいと思っている。日本人にもひとりぐらい、そんな凄玉がいてもいいのではないだろうか。もっとも、そうなって、観る人を納得させられるようになるのは、かなり大変なことではあるが…。
 あと、話題は変わって谷津嘉章に会ったという札幌のユウスケさん、情報ありがとうございました。私が最後に谷津さんと喋ったのは4年前。アテネ・オリンピックを前にアマレス五輪代表時代の話を聞くために電話したのが最後です。元気でいるのは嬉しいことですね。
 ということで、今日はこんな感じです。では、また明日!

熱い!SEMの対抗戦

「今まで僕も竜志も大先輩に向っていくのが多くて、それは凄い勉強になっているんですけど、キャリアが近い選手と戦うのは気持ちのぶつかり合いになって熱くなりますね。今日は引分けて凄く悔しい。でも気持ちよかったです!」
 これは昨日のディファ有明におけるSEM興行後の中嶋勝彦の言葉。勝彦はメインで山口竜志と組んでKENTA&伊藤旭彦と対戦した。20分時間切れの後、5分間の延長戦となったが、それでも決着がつかなかったのだ。
 KENTAと勝彦の初対決は熱かった。共にキックで一歩も退かず、KENTAは勝彦のジャーマンを、勝彦はKENTAのgo2sleepを自力で返した。また、この2人に負けず、伊藤と竜志も熱かった。さらに両軍のセコンドも…。若手ならではの純粋な対抗意識がスパークするのは見ていて気持ちがいい。
 ノアと健介オフィスの対抗戦はこのタッグの他にも青木篤志VS宮原健斗(青木が腕ひしぎ十字固め)、谷口周平VS起田高志(谷口が原爆固め)と2試合が行なわれたが、いずれも気持ちがこもった試合だった。第1試合で健斗を厳しい攻めで破った青木は、
「(キャリアが)下の人とやるのは初めてだったんで、じゃあ、僕は2年前ぐらいには(先輩に)何をされたかなと思ったら、下の人に舐められないようにってやられたと思うんで、別にキレイな試合をする気はなかったですね。受けたら、潰すしかないっていうか。向こうはまだ技術を持っている段階ではないんで、どうしてもエルボーとかの打撃になりますよね。それだったら同じ方法でやり返すしかないんで。健介さんのところで鍛えられているだけあって、根性があるなと思いました。返してくるのも1発で終わっちゃうんじゃなくて2発、3発と返してくるからいいんじゃないですか。対抗戦の意識ですか? 向こうにいいカッコさせたくないって気になるってことは、やっぱり対抗戦という意識はあると思います」
 とコメント。両団体の若手にとって、対抗戦は刺激的で楽しくて仕方がないという感じである。
 この日のSEMは全試合がノアVS外部という対抗戦。平柳を垂直落下式ブレーンバスターで一蹴したマグニチュード岸和田は、
「なぜラストライドで決めなかったかわかるか? ここのジュニア王者・金丸の必殺技(旋回式ブレーンバスター=タッチアウト)やろ? どっちが説得力あるか、見せつけてやったわ。次、ここに来る時はジュニアのベルトを狙うからな。インディーとかメジャーとか関係あるか!」
 とGHCジュニア獲りを宣言。ドラゲーからエルドラド、健介オフィス、そしてノアと行動範囲を拡大している岸和田は今年注目の男のひとりだ。
 またセミでは丸藤VS菊タローという異色の対抗戦(?)も実現した。久々にSEM登場の菊タローは欽ちゃんキック連発→きりもみ式のフライング・ラリアット→額の汗ワイパーという三沢ムーブ、打撃の連打→ブサイクというKENTAムーブ、さらに西永レフェリーをいじり倒して大張り切り。そこに丸藤が巧く絡み、ある意味でアドリブの天才同士の対決という趣になった。
 今後もSEMは若い人間の対抗戦が主軸になっていく。試合数は少ないが、コンセプトがはっきりしていて楽しめる興行なのだ。ハッキリ言って、おすすめです!

師弟対決、この1枚

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 これは神谷繁美カメラマンがメールしてくれた3・1両国国技館におけるドリー・ファンク・ジュニア引退試合の1カット。どうです? この天龍のグーパンチは! ここまでやるのが天龍のドリーへの礼儀、そして両者の信頼関係とでも言うべきか。
 天龍は今から32年前の1976年9月28日に大相撲を廃業、10月15日にヒルトンホテル(のちのキャピトル東急ホテル)で全日本プロレス入団を発表。2日後の17日の新潟大会から巡業に参加して馬場、鶴田、高千穂(カブキ)らに指導を受け、10月30日には渡米。ハワイを経てテキサス州アマリロに入ってドリー・ファンク・ジュニアの指導を受けた。
「プロレスの場合だと、他の格闘技から入ってくる人に対して、甘くないとか、奥が深いとか、ことさらプロレスの凄さを見せつけようとする奴が多いけど、ドリーの場合は“プロレスとはこういうものだから”と淡々と論理的に教えてくれたから、そこに疑問を挟む余地もなかったし違和感なく受け入れることができた」
 と天龍は以前、語っていた。天龍にとっては相撲社会を離れてすぐに生活もまったく違うアメリカで、アメリカ人のドリーにコーチを受けたのが良かったのだろう。58歳になった今もリングに立っているのは、このアマリロで培ったものが大きいのではないか。天龍を指導してくれたのは、このドリーに当時は世界王者だったテリー、ジェリー・コザックだったという。
 ジャンボ鶴田、スタン・ハンセン、ボブ・バックランド、テッド・デビアス、ディック・スレーター…アマリロのファンク道場出身のほとんどの選手がリングを去った。ここは天龍に頑張ってほしいと思う。ハッスル大将も否定はしないが、やっぱり普通のショートタイツ姿の天龍はいいなあ!

覚悟のGHC戦

「日本武道館は気持ちの戦いになると思います。何を食らっても、何をされても立ち上がって勝つ。自分自身に勝ってベルトを獲りたいと思います」(森嶋)
「森嶋はこの1年で経験を積んだし、体もある。ぶっちゃけ、総合的には俺を上回っていると思うよね。俺に何かあるとしたら気持ちだけ。やる前から気持ちで負けられないんで、自分の気持ちに勝って、悔いのないように戦いたいよね」(三沢)
 昨日の日本武道館におけるGHC戦を前にして両雄はこんなことを言っていた。ふたりとも、自分との戦い、自分の心との戦いだとしていた。
 昨年1・21日本武道館で三沢に挑戦した時の森嶋は精神的に負けていた。武道館でのタイトル挑戦という経験したことのない大舞台のプレッシャーに押し潰されていたのは、入場時から明らかだった。以前から指摘されていた気の弱さが大事な場面で出てしまったのである。結果、試合開始早々に脳震盪を起こして意識が吹っ飛んでいた三沢のエルボーに散った。
 だが、その後、ROHに渡って世界王者になり、アメリカと日本を股にかけて20度の防衛を重ねた経験は大きい。どんな舞台でも戦える勝負度胸を森嶋は身に付けたのだ。
 一方の三沢は背水の陣。今のコンディションからしたら、145キロの森嶋の猛攻を真正面から受けて止めたら大アクシデントにつながりかねない。そこに怖さがあったら、とてもノアのチャンピオンは務まらない。本当に三沢にとっては森嶋との勝負というよりも、自分のコンディション作り、自分の恐怖心との戦いだったと言っていい。
 果たして試合は両雄覚悟の戦いとなった。森嶋は三沢のエルボーを敢えて真正面から受け止める。ディフェンスしたらスーパーヘビーの怪物性が薄れるから、ここは意地でも真正面から受け止め、受け身を取ってダメージを軽減するよりも踏ん張ることがプロとしての意識だ。結果、森嶋は試合の途中で脳震盪を起こし、意識が吹っ飛んだ。
 三沢も真っ向から森嶋の重量感ある攻撃を受け止めた。これこそが四天王時代からの三沢のスタイルなのだ。そして昨年1月と同じように、三沢も脳震盪を起こし、こちらも意識が飛んでいた。
 最後は勝者も敗者も救急車で病院へ。ノアの世代交代をかけた激突は本当に過酷だった。共に意識が飛んでいたから、内容的には高度な試合ではなかったかもしれないが、両雄の覚悟はしっかりと伝わってきた戦いだった。
「強いチャンピオンに勝って嬉しいです。試合で勝ってもノアの象徴は三沢社長。その三沢社長に負けないように築き上げていこうと思います。このベルトを持つことは責任も伴うんで、自分色に染めながらノアを面白くしていきます。よろしくお願いします…」
 ハッキリしない意識の中で新王者・森嶋はしっかり語ってくれた。今、ノアは新時代へ――。

昨日の全日本両国の放送席

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 昨日は全日本プロレスPPV生中継全8試合の解説。前半6試合はずっとコンビを組んでいる鍵野威史アナウンサー、ドリー引退試合は若林健治アナウンサーとの初コンビ、メインの健介VS小島の三冠戦は若林アナ+鈴木みのるという緊張感のある放送席を担当させてもらった。
 全日本プロレス84年担当同期の若林アナとは、昔の思い出を共有しているだけに、まるでプロレス好きの友だちと喋っているような感覚だった。とにかく若林さんは熱い! その熱さに煽られて、こちらも言葉が出てくる感じ。そして熱いだけでなく、きっちりとリング上の状況を把握しながら実況しているのはさすがだった。ウーン、これが若林節か!
 鈴木みのるは、放送席でも鈴木みのる。試合前、GUESTのステッカーを手に現れたみのるは、
「解説引き受けたのはいいんだけどさー、こんなステッカー送ってきやがってヨソヨソしいと思わない? 何かムカつくんだよねー。“1月で全日本をクビになった鈴木みのるでーす!”って、このステッカーをテレビカメラに向けてやろうか? 健介と小島のしょうもない試合だろ? 痛いところをビシビシ突いて、放送できなくしちゃうよ。ヘヘッ」
 と、不気味な笑み。この人の場合、言ったことは本当にやるから油断ならない。そして、いざ解説になるとシビアで的確なコメントを連発。横で聞いていて感心するしかなかった。
 そして若林さんが健介との友情物語を突っ込んでも、すべてバッサリと否定。あの若林さんが「いやあ、鈴木みのるには勝てないですね。KOされました」と舌を巻くほど。とにかく頭の回転も舌の回転も早いのだ。ヘッドセットを投げ捨ててエプロンに駆け上がり、チャンピオン・カーニバル参戦をアピールするタイミングも絶妙だった。
 さて、肝心の試合の方での私なりのMVPは棚橋とドリー。棚橋の空気の読みは素晴らしい。ブーイングだと察するや、完全にナルシスト・モードに入り、試合では執拗に川田を挑発、チャンピオン・カーニバル参戦アピールもナルって全日本ファンの反感を煽った。あれは日本人では棚橋にしかできない、と私は思っている。そしてプロレス的には武藤の遺伝子を持っている。棚橋参戦でチャンピオン・カーニバルはグーンと面白くなった。
 そしてドリー。正直、開幕戦では「どうなることか…」と思ったが、シリーズの連戦できっちりとコンディションを作ってきた。天龍とのチョップVSエルボー・スマッシュには、私も若林さんもシビレっぱなし。最後の最後までテキサス・ブロンコを貫いてくれたのはさすがだった。ドリー、天龍さん、渕さん…馬場さん時代の選手がいる全日本プロレスのテレビ中継を若林さんとやれたことは、この上ない喜びである。
 さて、今日も興味深い大会がある。ゼロワンMAX後楽園とノア日本武道館のどちらに行くのかという質問があったが、仕事の関係でノア日本武道館に行きます。で、試合終了の時間によっては後楽園に向いたいと思っている。ノアが17時、ゼロワンMAXが18時30分開始なので、せめて佐藤耕平VS中邑真輔、あわよくばセミの将斗&日高VS金本&田口からでも観られれば…。

今日は

今日は両国国技館で全日本プロレスの2008年初のビッグマッチ。私はスカパーPPVの解説をすることになっている。実況はずっとコンビを組んでいる鍵野威史アナウンサー、そしてドリーの引退試合と健介VS小島の三冠戦では若林アナウンサーと初タッグを結成することになった。さらにここにゲスト解説として鈴木みのるが入ってくるから、どんな放送になるかまったく予想がつかない。
 実は、私と若林アナウンサーは全日本プロレス同期生。私が週刊ゴングの全日本担当になった1984年に若林さんは中部日本放送から日本テレビにやってきて、プロレス中継をするようになったのだ。日本テレビには倉持隆夫さん、松永二三男さんというプロレス担当のアナウンサーがいて、おふたりにも優しくしていただいたが、同じ新入りという立場だったから若林さんが一番話しやすかった。あれから24年の時を経て、全日本のテレビ放送席に座るというのは感慨深いものがある。特にドリー、天龍の試合を一緒に喋ることができるのは嬉しい限り。
 ということで、そろそろ両国へ行かなければ!