田上明20周年

 昨日の後楽園ホールにおけるノア1月ツアー最終戦は見応えがあった。05年のクリスマスにデビューした谷口、青木、太田、伊藤らが、それぞれの個性で成長してきたことで、前座から試合の色がバラエティーになったことも大きな要因。加えて昨日は白GHC王者・川畑と百田の抗争が勃発、百田の59歳にしてのノアにおけるタイトル初挑戦が実現しそうなムードになってきたし、なぜか佐野に闘志を剥き出しにする菊地が客席を沸かせた。第5試合のタッグマッチではKENTAが高山善廣に猛アタック…あの前田日明が「KENTAはいいね!」と言うのも頷ける。
 さて、昨日の目玉は3大カード。まずは谷口が健介に挑んだ驀進十番勝負第1戦だ。その印象は「健介は優しくなったなあ」ということ。ファイト自体は相変わらず厳しいが、単に叩き潰すのではなく「来い!」と胸を突き出して谷口の闘志を引き出してやっていたし、最後もラリアットで終わらすのではなく、きっちりとノーザンライト・ボムで叩きつけた。弟子でもない他団体の若手に自分の必殺技を味わわせるというのは優しさ以外の何物でもないだろう。
 谷口の収穫としては“他団体の大先輩”の顔を張れるようになったこと。序盤は健介が張り飛ばしても胸にチョップを打つのが精一杯だったのが、5分過ぎからは張り返すことができるようになった。かつて馬場さんがルー・テーズと初めて対戦した時に頭を蹴るのに躊躇したというし、川田にしても88年の最強タッグ公式戦で馬場さんの顔を思い切り張り飛ばすことで吹っ切れたという。些細なことかもしれないが、そうした小さな経験の積み重ねがステップになっていく。この十番勝負は谷口にとって目先の勝敗よりも、どれだけ経験を積んで勉強できるかだ。
 ROH世界王者マッギネスに挑んだ潮﨑も、今回は勉強だった。昨年夏以降、目覚しい成長を見せている潮﨑だが、マッギネスは巧い! チョップ封じのために右手に集中攻撃を加えるのだが、鉄柱やロープを使ったラフなものから脇固め、アームブリーカー、指折りなどのねちっこいサブミッションを織り交ぜて観客を飽きさせない。あるいは潮﨑のチョップを誘発して、それで右手にダメージを与えるという心理戦も見事だった。一方の潮﨑は雪崩式フランケンシュタイナー、ジャーマン、ムーンサルト、ゴーフラッシャーと大技で反撃していったが、どれもマッギネスにとっては想定内。最後はロンドン・ダンジョンがガッチリと決まった。腕を極めるロンドン・ダンジョンはハッキリ言って地味な技。それでも客席が「オオッ!」となるのは、そこに至るまでの組み立ての巧さによるもの。こうした面を潮﨑には学んでほしい。
 そしてメインは田上明の20周年記念試合。田上は私と同い年。彼が大相撲からプロレスに入った時、私は週刊ゴングの全日本プロレス担当記者だったから思い出も多い。何年経っても個人的には“タマちゃん”なのだ。
 入門した頃からおおらかな性格で「これじゃあ、予定していたデビューに間に合わん。記者の人たちも厳しく書いてやってくれ」と馬場さんが苦笑していたのを思い出す。デビュー後も高木功(嵐)と2人で馬場さんに「タク(高木)、タマ(田上)! お前ら、後楽園のファンに何て言われているのか知っとるか? ナマクラって呼ばれてるんだよ!」と、よく尻を叩かれていたっけ。デビューした88年は天龍同盟全盛期で、天龍さんと初めてタッグで対戦した時には試合前にカブキさんに「天龍は厳しいぞ!」と脅かされて緊張していたのがおかしかった。シリーズの対戦表をチェックして「天龍さんとはあと○試合、ハンセンとは×試合、ブロディとは△試合…」と数えていたのも笑えた。とにかくバッカンバッカンくる天龍、ハンセン、ブロディを大の苦手としていたのだ。
 そんなタマちゃんが四天王の田上明になり、三冠王座、世界タッグを奪取、チャンピオン・カーニバル、最強タッグに優勝してノアになってからもGHC王者に君臨した。今もノアの中心でどっしりと構えている。それでもおおらかさが変わっていないのが素晴らしいところだ。
 88年1月2日のデビュー戦…担当記者でありながら、実は私は取材していない。実は全日本プロレスから名指しで取材拒否を通達されていたからだ。その話は、いずれプロレスコラムで書こうと思う。
 それはともかく「タマちゃん、20周年おめでとうございます。これからもお互いにそれぞれの分野で頑張りましょう!」

「田上明20周年」への2件のフィードバック

  1. ノア後楽園は面白かったですよ。
    いつものノアの問題点は対戦まで流れが下手なことですね。

  2. ノアに厳しいことを書きますが、ノアの試合の組み方は
    流れなど関係なく試合を組むことですね。試合のテーマ
    が見出せない試合が多いです。マスコミにはこういうこと
    を記事などで指摘してほしいです

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