08年…全日本は新たなドラマに

 昨日の後楽園ホールにおける全日本プロレスは『ファン感謝デー』と銘打った年内最終戦。あの大食いクイーン、ギャル曽根が荒谷&平井とカレー早食い対決をしたり、鈴木みのるがレイ・ミノールに変身(ルチャの動きが見事だった)してメキシコ・アミーゴスDXが結成されたり、ザ・たっちが健介と組んで武藤&神奈月のF-1王座に挑戦したりと、お楽しみの大会だった。
 07年も全日本にはいろいろな流れがあった。ヘビー級では三冠王者・鈴木みのるでスタートし、春の『チャンピオン・カーニバル』は武藤が優勝。その武藤が7・1横浜文体で鈴木に挑み(私個人の中ではベストバウト)、8・26両国で健介が三冠王者に。夏には小島がヒールに転向してVM入りしている。
 ジュニアでは2月に世界ジュニアが中嶋勝彦に移動。中嶋は8月にクリス・セイビン相手に内容のある防衛戦をしている。サイド・ストーリーとしては3月からペペ・みちのく、ミゲル・ハヤシJr.、エル・ノサワ・メンドーサがメキシコ・アミーゴスを結成してMAZADA率いるサムライ・ニュージャパンと抗争を繰り広げた。
 そして08年はすべてがシャッフルされて新しいドラマが生まれる予感大。VMは諏訪魔が離脱しそうな雲行きだし、武藤も「VM壊滅!」を宣言している。三冠戦線では小島の動きが注目だし、西村がどんなポジションを確立するか。ジュニアは昨日の大会でメキシコ・アミーゴスが解散したことによって、また新たな流れになるだろう。前座戦線もT28、真田に加えて無我から移籍した征矢、健介オフィスの山口、さらには健介オフィスから2月に新人が2人デビューするし、メキシコでデビューしたKAIとYAMATOも帰国してくるだろうから熱くなるはず。
 毎年、リング上の流れが大きく変わる全日本。だが、どんな流れになっても、そこには「お客さんをハッピーな気分にさせる」というしっかりした方針があるのだ。2008年もパッケージ・プロレスを堪能したい。

大日本の2008年は…

 昨日は横浜文化体育館で大日本プロレスの今年最後のビッグマッチ。仕事の都合で会場に到着したのは4試合目のメンズクラブvs反メンズクラブの直前だった。メンズクラブの中でも上位メンバーしか入れないというメンズ・レッド=MENSテイオー、メンズ・ブルー=飯伏、メンズ・ブラック=大石のメンズ・レンジャイに対して反メンズクラブを宣言する忍が用意したXはマイケル&松永のヌルヌル・ブラザース! あの秋山成勲のヌルヌル事件をパロディにして「ヌルヌルこそ最強!」と誕生したヌル・ブラは、今年1年で本当に成長した。当初はキワモノだったが、オイルというギミックに頼るのではなく、ちゃんと試合を構成するのだ。そして毎回、感心させれるのは飯伏と忍の攻防。最後は飯伏がフェニックス・スプラッシュで忍を仕留めたが、来年はシングルでの対決も見たいものだ。
 今年最後のビッグマッチとあって、普段は上がらない選手が次々に登場。次はNOSAWA論外がMAZADAではなく、MASADAと登場。全日本ではコミカルな論外だが、ヨソに出ると本来の東京愚連隊の残忍さも発揮する。アブドーラ小林と「全日本!」「大日本!」とチョップ合戦をやって客席を煽りつつ、大根おろしのおろし金や出刃包丁(?)を凶器に使うのだからエグイ。
 そして注目はMASADA。この男、テキサス・サンアントニオを中心としたインディー団体ではトップの選手でもある。体もあるし、技もある。そして大日本のデスマッチ魂を持ち合わせている。最後はスカルファック・バスターでアブコバを仕留めただけに2008年はデスマッチ・タイトル戦線に浮上してくるのは必至だ。
 今年1年、大日本のデスマッチ戦線の新星として頑張ったのが宮本裕向。その宮本が佐々木貴とデスマッチ7番勝負の最終戦を行なった。3月に後楽園で佐々木のデスマッチ王座に挑んだ一戦は、私の仲では今年のデスマッチ・ベストバウト。ただ、その後の7番勝負では考えすぎたのか、大きな魅力の破天荒さが消えていたような気がするだけに、ここは最後にビシッと決めてほしい。形式はガラス特攻+アルファ・デスマッチ。デスマッチはアイテムを無暗に使ったらお客さんが引くだけ。いつ、どのタイミングで、どういう形で使うかで試合の良し悪しが決まってしまう。つまり、それだけ難しい試合である。サイコロジーの勝負と言っていいだろう。そこが宮本が3月以降に悩んだことなのかもしれない。結局、宮本は7戦全敗という結果になってしまったが、こう言った。
「最悪の結果かもしれないですけど、戦ってくれた先輩、そしてお客さんに支えられてここまで来れました。考えることがいっぱいで大変でしたけど、来年は結果を残すことにこだわっていきたいと思います。声援によって、ここまで頑張れるんだっていうのがわかったし、これからも修羅場をくぐって、誰もが認めてくれるようなデスマッチ・ファイターになりたいと思います」。
 今年の7番勝負は宮本にとって、精神的に学ぶ場だったようだ。
 セミではプロレス大賞最優秀タッグチーム賞の真壁&矢野が関本&井上と激突。真壁と矢野は好き勝手にやっているようでいて、実は相手の持ち味を引き出しつつ、勝つ術を知っている。
「タッグで俺たちに喧嘩を売ろうなんて10年早いんだよ、バカ野郎! お前ら素人だよ。一般人だよ。それが現実だ! 俺に喧嘩売ってきたな!? てめえら、地獄見せてやる。冗談じゃねぇぞ! 初めての大日本!? 俺たちが呼ばれた団体でふざけた試合したことあるか? 完璧だよ。 てめえらは何があるんだよ? 俺には何もねぇんだよ! 守るものはねぇんだよ! その俺に喧嘩を売ってきた意味をわからせてやるよ」
 と、例によって真壁節が大爆裂。2008年は大日本とGBHの抗争も生まれる。
 そしてメインは沼澤に伊東が挑んだデスマッチ・ヘビー級戦。試合形式はロープ4面に蛍光灯、4コーナーにはそれぞれクリスマスツリー、有刺鉄線ボード、蛍光灯、剣山がセットされた十字架が置かれた『4CONER CROSS OF D』というもの。
 正直な感想を言えば、私にとっては今ひとつの印象だった。それは戦っている当事者同士の思い入れが強すぎたのかもしれない。大日本の過去最大のビッグマッチは6年前の横浜アリーナ。王者・沼澤も伊東も、この時にはポスターから外されるような存在で、凄く悔しい思いをしたという。その2人がこうして年内最後のビッグマッチのメインでタイトルマッチを行なうのだから、お互いに特別な感情を抱いて試合をしても不思議ではないのだ。
 封印していたファイヤーバード・スプラッシュを3年ぶりに繰り出し、さらに必殺ドラゴン・スプラッシュで1年3ヵ月ぶりに王座を奪回した伊東は、こうコメントしている。
「蛍光灯というマンネリ化したアイテムをどう使うかというのと同時に新しいアイテムも考えていきたい」
 大日本プロレスのデスマッチはこの2~3年で究極にまで高められた。これを今後、どう展開していくかは大きな課題である。
 課題と希望を持って大日本プロレスは2008年に突入する。

無我ファイナル

 昨日は後楽園ホールで無我ワールド・プロレスリングのドラゴン・カップ決勝、そして“無我”という名前としてのファイナル興行だった。
 準決勝の藤波とTAJIRI、吉江と潮﨑はいずれも好試合。まず、藤波とTAJIRI。試合前、トイレで顔を合わせたTAJIRIは「藤波さん相手となると緊張しますねえ」と言っていたが、中盤までのグランドの攻防は見応え十分だった。腕を取り合い、足を取り合い…大技は一切ないが、それでお客さんを惹きつけて飽きさせない。こういう攻防の時の藤波の動きは機敏で素晴らしい。そして、それにTAJIRIがピタリと付いていく。最後はTAJIRIがレフェリーを吹っ飛ばしてのグリーン・ミストからバズソーキックと得意の流れを作ったが、策に溺れた恰好で、最後はドラゴン・スリーパーに轟沈。それでも試合後に赤のミストを噴き上げて大の字になり、這いずって控室に戻り…と、ちゃんとTAJIRIワールドを作り上げたのがさすがだ。
 また、TAJIRIの試合後のコメントも良かった。最初は「見ての通り、大したことないよ」などとコメントしていたが、突っ込みを入れていくと、含蓄のある言葉が口をついて出てきた。
「正直、今までやった日本人とは違いましたね。グランドの攻防は一歩半ぐらい負けていました。やっぱりこう、心が強いというか、うまく伝わるかわかりませんけど、不良の高校生を愛を持って更生させるしっかりした先生っていう感じですかね。あれは僕のキャリア、僕が歩んできた道では身に付かないものです。ああいう“しっかりした人”に一度、ハッスルに来てほしいですね。一度、ハッスルを観に来てもいいんじゃないかって。その時は一番前の席を用意しますよ。何でですかね、年季の入ったレスラーは体がデカイ。メキシコでビジャノⅢやカネックとやった時のような分厚さを感じました。僕らの世代にはない貴重な遺産ですよ。こういうものを吸収したから、ハッスルはまた成長しますよ」。
 吉江VS潮﨑は、潮﨑が吉江に真っ向からぶつかる肉体勝負。普段、ノアで145キロの森嶋と戦っている潮﨑は150キロの吉江と相対しても体力負けしない。チョップ合戦、ジャーマン合戦、ラリアット合戦を互角に演じ、コーナーへのパワーボム、ムーンサルト・プレスも繰り出した。ただオリジナル技ゴーフラッシャーを潰されたのが痛かった。
 それにしても夏のヘビー級リーグ戦から潮﨑はどんどん伸びている。チョップを繰り出しても、もはや小橋のコピーと言われないくらいのインパクトを身に付けている。今の若い選手は細いイメージが強いが、潮﨑の場合は骨太のイメージ。来年早々にもビザが取れ次第、無期限のアメリカ修行に出発するというが、大化けの予感大だ。
 さて、ドラゴン・カップ決勝は藤波VS吉江。西村離脱後、エース宣言している吉江が藤波のテクニックを馬力と気迫で押し切って優勝した。
「思えば、私にとってプロレスに入ってから初のシングル・タイトル。無我に入って成長して、優勝することができました。俺が選んだ道は間違ってなかったと自信を持って言えますね。だから何があっても大丈夫です。今年はいろいろあり過ぎましたけど、それも俺たちが成長するための試練だと思ってます。俺たちはデカクなって成長するんですよ。なぜなら俺がいるから。吉江豊がいるから。俺が優勝して未来が明るくないわけがない。無我のラスト…心機一転、新たな一歩を踏み出すためには名前を変えた方がいいんじゃないかって。名前は変わるけど、軸になる人間は一緒です。ただ地道にやっていくんじゃなくて、新しいものも展開していきたい。もう名前が出ているでしょう(=新日本の1・4東京ドーム)。すべては団体のためですよ。いろいろなものを背負って出て行きます。土産なしでは戻ってきませんよ!」
 吉江は力強くエース宣言した。事実上のドーム出陣宣言もした。キャリア13年にして担う重責。吉江が真の意味でデッカクなる時が来た。

プロレス大賞への反響について

 プロレス大賞についての書き込みが多数あった。これからも続くかもしれない。これだけ様々な意見が出るということは、裏を返せば2007年の日本プロレス界はどの賞についても「これだ!」という決め手に欠けたと言えると思う。それと同時に数多くの団体、様々なスタイルがあり、観る側の目も多様化しているということではないだろうか。
 今回の書き込みについてはファンのナマの声だと思うから、削除するつもりはありません。これだけプロレスについて考えているファンの人たちがいることは嬉しく思います。ただし、あくまでも書き込むのは自分の主張、意見、あるいは批判であること。決して人の悪口になったり、勝手な思い込みや決めつけ、推測で人の人間性を傷つけることのないように最低限のマナーは守ってほしいと思います。
 ということで、今日の後楽園における無我ファイナルについては明日、改めて書きます。

2007年プロレス大賞選考会

 昨日、正午から都内のホテルで2007年プロレス大賞選考会が行なわれ、去年に続いて私も出席させてもらった。選考委員は29人。今年は去年よりも選考が難航した。それだけどの賞も接戦、言い換えれば突出した存在がいなかったということでもある。この選考会はガチンコ。選考委員それぞれに1年間見てきたというプライドもあるから、議論の流れによっては殺伐としたムードも生まれる。そうして決定したのが以下の各賞だ。
〔最優秀選手賞〕三沢光晴
 MVPには三沢、棚橋、健介、小橋、曙の名前が挙がった。私が支持したのは小橋。たった1試合だけでMVPはどうなのかと迷ったが、たとえ1試合でも、人々に勇気と希望を与えるという日本のプロレスの本来の使命を体現してくれたし、世間一般でも話題になった。そして17000人ものファンを日本武道館に集めたということを考えたら、十分にMVPとしての資格があると思ったのだ。02年MVPのボブ・サップもプロレスは2試合だけで受賞だった。だが、やはり「1試合だけのレスラーにMVPはいかがなものか」「1年を通じて頑張ってきた他のレスラーはどうなるのか」「小橋がいないプロレス界を1年間、守ってきたレスラーにあげるべきでは」という議論に。最終的に投票で三沢と棚橋が残り、三沢が過半数を越える18票でMVPになった。
〔年間最高試合賞〕三沢光晴&秋山準VS小橋建太&高山善廣(12月2日=東京・日本武道館)
 ここでは他に鈴木みのるVS武藤敬司(7月1日=横浜文化体育館)、棚橋弘至VS後藤洋央紀(11月11日=東京・両国国技館)、KENTA&石森VS丸藤正道&飯伏幸太(9月9日=東京・日本武道館)、佐々木貴VS宮本裕向(3月14日=東京・後楽園ホール)、カート・アングルVSブロック・レスナー(6月29日=東京・両国国技館)が候補に上がった。私がノミネートしたみのるVS武藤は残念ながら第1回の投票で4票となって脱落。第2回投票では小橋復帰戦、アングルVSレスナー、棚橋VS後藤が残り、小橋復帰戦とアングルVSレスナーの最終投票にもつれ込んで、小橋復帰戦が受賞した。
〔タッグチーム賞〕真壁刀義&矢野通
 ここではタッグ三冠王の土井&吉野、IWGPジュニア・タッグ王者のディック東郷&TAKAみちのく、武藤&ザック・ゴーウェン、鈴木みのる&アブドーラ・ザ・ブッチャー、IWGPタッグ王者のバーナード&トムコ、過去に反選手会同盟やブードゥー・マーダーズといったユニットも受賞していることから髙田モンスター軍を推す声もあった。私は土井&吉野派だったが、最終的には真壁&矢野と東郷&TAKAが残り、「GBH代表という意味も含めて」ということで真壁&矢野が競り勝った。
〔殊勲賞〕棚橋弘至
〔敢闘賞〕森嶋猛
〔技能賞〕関本大介
 ここからの3賞も大混戦。私は今回の選考会で真壁、ROH世界王座を奪取して日本とアメリカを股にかけながら20回の防衛を果たし、日本でもノアのツアーの合間を縫って健介オフィス興行で中嶋勝彦と好試合をしたり、誰が相手でも内容のある試合ができるようになった森嶋猛、ゼロワンMAXで怪我から復帰してヘビー級の火祭り&ジュニアの天下一を制し、AWA世界王者にもなった田中将斗、様々な団体に出場して内容のある試合とインパクトを残した大日本の関本大介の4選手に賞をあげたかった。
 そんな中で殊勲賞は棚橋と森嶋の対決となり、MVPを逃した棚橋を推す声が多く、棚橋に決定。敢闘賞には森嶋、田中、真壁、曙、小橋、武藤、永田がノミネートされて森嶋に。技能賞は関本、川田、飯伏、永田、ミラノコレクションA.T.、中嶋がノミネートされて関本に。
〔新人賞〕B×Bハルク
 新人賞の資格はデビュー3年以内。つまり05年デビュー組からが対象となる。04年7月デビューの潮﨑豪、同じく04年7月デビューの飯伏幸太、04年10月デビューの鷹木信悟は対象外となるのだ。ノミネートされたのはRG、ゼウス、B×Bハルク、タカ・クノウ、谷口周平、青木篤志、インリン様の7人。私としては青木かハルク。RGも頭の中にあったが、それについては“別の思惑”があったので、私は青木を推した。投票の末、新人賞に輝いたのはハルクだった。
〔女子プロレス大賞〕該当者なし
 03年の浜田文子以来、該当者なしが続いている女子プロ大賞。やはり核になる団体が存在しないというのが辛い。それぞれに頑張っていても“大賞”となると「?」が付くのである。昨年、私は『息吹』を主宰して若手の育成にも力を注いでいる吉田万里子をノミネートしたが、過半数に届かなかった。今年はインリン様、高橋奈苗、神取忍がノミネートされたが、いずれも過半数に届かずに今年も見送りになった。
〔カムバック賞〕小橋建太
〔功労賞〕カール・ゴッチ
 上記の2賞は特別賞。この他、話題賞=武藤敬司、話題賞=ハッスルの提案があった。私が新人賞で敢えてRGを推さなかった思惑は、ハッスルとして特別賞に推薦したから。大晦日に興行を行ない、同日のゴールデンタイム放映も決定、新たなファンを開拓しているハッスルは個々の活躍というよりはひとつのパッケージとしての要素が強い。そこでハッスル全体として話題賞を提案したのだが、残念ながら過半数の支持は得られなかった。
 以上がおおまかな選考会の経緯。主催は東スポだが、決して東スポ主導のものではないということは記しておきたい。それだけに様々な意見や主張が飛び交う“凄い場”。相当なエネルギーを必要とする。今回、サムライTVとして初めて選考に加わった三田佐代子さんもグッタリしていた。プロレスラーが1年間、頑張ってきたことを評価するわけだから、選考委員それぞれにとっても、これは1年間の取材活動の総決算なのだ。

武藤敬司の掌

 昨日は最強タッグ優勝戦のGAORA中継解説のために大阪へ。全日本が大阪府立体育会館の第一競技場で試合をするのは昨年1月8日の小島とTARUの三冠戦以来。あの試合後に諏訪魔がVM入りしたことを考えると、時間が経つのは早いものだとしみじみ思う。
 さて、最強タッグの行方は、まず健介&川田と小島&諏訪魔が優勝戦進出決定戦を行なって、小島&諏訪魔が勝ち上がって優勝戦で武藤&ジョー・ドーリングと激突。武藤&ジョーが優勝した。
 今回の最強タッグは健介&川田が大本命、小島&諏訪魔が対抗、武藤&ジョーはノーマークだった。そんな中で優勝した武藤はこう言った。
「結局さあ、他のチームは“俺が、俺が”なんだよな。ジョーは経験も浅いし、荒削りで、俺らのチームは発展途上なんだけど、ジョーは完全に俺の掌に乗っかったんだよ。それがこの結果をもたらしたわけだ」
ウーン、武藤らしい深い言葉だ。思えば、武藤は89年にグレート・ムタとしてWCWに登場した時、当時の世界王者リック・フレアーの掌に乗ることでブレイクした。戦うにしろ、組むにしろ、信頼できるトップの人間の掌に乗ることの意味を武藤は知っている。それをジョーに実践させたのだ。
 昨日の大阪では駅長…じゃなくて上井二三彦氏と久々に再会。「いやあ、『Gスピリッツ』は面白いですねぇ!」と、それが社交辞令だったとしても嬉しい言葉。そして、前号&今号の2回にわたってインタビューしているブッチャーは試合後に額からダラダラと血を流しながら、放送席の私に向かってウインク。ヘンにいじられなくてよかった…。
 今日発売の『Gスピリッツ』第4号でのブッチャー・インタビュー後編は日本でのファイト&ビジネスについてが主題。日本プロレス→全日本プロレス設立→新日本プロレスへの移籍→全日本への復帰→東プロ、WAR、大日本等への参戦→現在、さらに真田広之と映画に出演した時のエピソード、素顔のラリー・ポール・シュリーブとして人生で一番大切なもの、引退についてなどを聞いているので御一読を!
 さて、今日はこれから『2007年プロレス大賞』選考会議へ。各賞の発表と、その経緯は明日書きます。

Gスピ情報その3=裏ミスター・プロレス

『Gスピリッツ』第4号は、いよいよ明日12月10日(月)に発売となる。私はフリーとして様々な媒体で仕事をしているが、今年の3月に週刊ゴングが休刊になり、メインとなる媒体を失った。それがこうして、新雑誌で活躍の舞台を得て今年を締め括れるのだから幸せだと思っている。
 さて、発売前の最後の情報としてお届けするのはドラゴンゲートの望月成晃インタビュー。今号ではドラゴンゲートのDVDが付録になっていることもあって、ご登場願った。というよりも、それは後付の理由であって、私はかねてからモッチーにインタビューしたかったのだ。
 一番のポイントは彼のプロレスラーとしての成り立ち。13年前に北尾道場(のちの武輝道場)で空手家としてデビューしたモッチーは、受け身もロープワークも知らずにプロレスのリングに立った。それが、いかにしてプロレスラーになっていったのかだ。武輝道場からWARへ。そしてバトラーツやみちのくに上がって実戦の中で様々なエッセンスを身に付け、ルチャを学んでいないのに闘龍門→ドラゴンゲートで確固たる地位を築いてきた。今回のインタビューで私はモッチーの一風変わったプロレス人生の引き出しを開けたつもり。
 なぜ望月成晃が“裏ミスター・プロレス”なのか…このロング・インタビューを読んでいただきたい。

Gスピ情報その2=ハッスルと真剣勝負!

 明後日12日10日(月)発売の『Gスピリッツ』第4号で、私はハッスル・エンターテインメント株式会社の山口日昇代表と対談を行なった。山口代表とはテレビ朝日の『リングの魂』に何度か一緒に出演しているから知らない仲ではない。当時、山口代表は『紙のプロレス』(現Kamipro)編集長で、私は週刊ゴング編集長。その頃から山口代表は独得の視点を持つ人だった。今回の取材は『ハッスル・マニア2007』1週間前という忙しい中、渋谷でのイベントを抜けて受けてくれたもの。本当に感謝だ。
 正直、Gスピの読者の多くは『ハッスル』を受け入れないのではないかと思う。だが、テレビ地上波放映がスタートし、大晦日の興行が決定。それが同日のゴールデンタイムで放映されるとなれば、真正面から捉えないわけにいかなくなる。私も山口代表との対談を通して、真正面から『ハッスル』にぶつかってみた。
 
 当然、髙田延彦の『泣き虫』も避けて通れないし、根本から『ハッスル』を解剖し、分析し、検証したつもりだ。そして、この対談を踏まえて『ハッスル・マニア2007』を総括させてもらった。ぜひ、読んでいただきたい。

『Gスピリッツ』第4号情報その1

4号.JPG
12月10日(月)発売の『Gスピリッツ』第4号の表紙&コンテンツを改めて紹介します。
【付録DVD】
ドラゴンゲート大特集
映像版選手名鑑/なにわ式イリミネーションマッチ/3WAY6人タッグマッチ勝ち抜き戦
【密着ドキュメント】
剛腕復活、小橋建太「“もうひとりの自分”との闘い」
NOAH12・2日本武道館
【クローズアップ】
アントニオ猪木「闘魂は不滅なり」
【検証1】
たけしプロレス軍団の全真相「実体なき団体の誕生と崩壊」
[証言者]スペル・デルフィン、邪道
【検証2】
初代ケンドー・ナガサキの奇妙な運命、そして3代目襲名計画
【スペシャル企画】
“千の顔を持つ男”ミル・マスカラス
国宝級マスク大研究2/アステカ帝国ガイド
【スペシャルインタビュー】
キラー・カーン(前編)「マスカラスにセメントを仕掛けた日」
望月成晃「目指すは“裏”ミスター・プロレス」
アブドーラ・ザ・ブッチャー(後編)「馬場との密約」
ラヨ・デ・ハリスコJr.「稲妻仮面2世の家庭事情」
【対談】
山口日昇ハッスル代表×小佐野景浩
「“ファイティング・オペラ”の本質」
ハッスルマニア11・25横浜アリーナ
【強力連載】
長州力の人生相談『くよくよ悩むな、コラッ!』
みのもけんじ『プロレス・スターウォーズG ~グレート・ムタ編~』
ザ・グレート・サスケ『愛のミステリーサークル』
菊地孝×門馬忠雄×吉澤幸一『三者三様』
男色ディーノ『続・男色病棟24時』
ますだおかだ増田『リングサイドを遠く離れて』
ハチミツ二郎『新日本プロレス復興計画』
ユリオカ超特Q『ドラゴン怒りの雪崩式リングイン』
ドクトル・ルチャ『アリーバ・メヒコ』
小佐野景浩『真説・天龍革命』
原悦生『格闘写真美術館』
渋澤恵介『世界ふしぎ再発見』他

スト市がやった!

 昨日は仕事の都合で試合開始時間より30分遅れてドラゲー後楽園大会へ。会場に着いたら、12・22後楽園の『DEEP33』で総合格闘技ルールで対戦するストーカー市川と滑川康仁がリング上で対峙しているところだった。
 いきなり凄いものを見てしまった。完全に無防備な滑川にスト市の張り手がモロにヒット! 滑川は不覚にも膝から崩れ落ちた…。花道の奥で一緒に見ていた岡村社長は大爆笑、DEEPの佐伯代表は苦笑い。こんなことをしていいのか!?でも、こんなことができるのが市ちゃんなのだ。
「火花が散りましたよ。やっぱりプロレスラーのパンチは凄いですね。正直、効いて…ビックリしました」
と苦笑気味に語った滑川だが、次に出てきたのは、
「当日は100パーセント真剣勝負ですから、ストーカー市川をぶっ潰しますよ!」
という格闘家としての言葉。ウーン、市ちゃんは大丈夫だろうか?
 ルールは3分2Rで、ロープエスケープを認める特別ルール。さらにスト市のカンチョーも認めるというが、佐伯代表は、
「DEEPに上がってくる勇気は買いますけど、2度とプロレスができない体になるかもしれませんね。特別ルールにしたのは、ローキック1発で終わる可能性を考えて、総合の厳しさを与えるために何度もダウンさせて、何度も関節を極めてロープに逃げさせて痛ぶるためです」
と不気味な予告。やっぱりヤバイか!?
 でも11・25新宿FACE『格闘王国LIVE2007』ではエルドラドの豪がパンクラスの佐藤光留相手に5分2R(判定なし)で時間切れに持ち込んでいる。スト市も“負けないファイト”に徹すれば、滑川だって、そう簡単には極められないのではないか。
 さて、この日のセミ&メインはキング・オブ・ゲート公式戦。セミでは勢いに乗る土井とROHのトップ、オースチン・エイリースの激突、そしてメインはCIMAとフジイの“原点対決”という好カード。そして年内最後の後楽園となる12・28では、現在のユニットの枠を取っ払ってCIMA、フジイ、鷹木とモッチー、横須賀、K-nessの激突することが決定。あのブラッド・ジェネレーションとファイナルM2Kが一夜限りの復活を果たしてぶつかるのだから、これはCIMAが言うように「少し遅いクリスマス・プレゼント&少し早いお年玉」だ。大きなストーリー展開の中に、常に後楽園用のストーリーがあるのがドラゴンゲートのいいところ。来年も楽しませてくれることだろう。
 ドラゴンゲートと言えば、12月10日発売の『Gスピリッツ』第4号のDVDはドラゴンゲート特集。試合としては今年の4・17後楽園で行なわれたタイフーン(CIMA、横須賀、斎了、キッド、ハルク、アンソニー、マット・サイダル)とマッスル・アウトローズ(岸和田、土井、吉野、堀口、Gamma、サイバー・コング、ジャック・エバンス)のなにわ式イリミネーションマッチと6・5後楽園で行なわれたタイフーン(横須賀、斎了、キッド)とニューハザード(鷹木、ハルク、サイバー)とマッスル・アウトローズ(岸和田、土井、吉野)の3WAY6人タッグマッチ(勝ち残り戦)。このDVDの解説は私が務めた。普段は全日本プロレスの解説をやっているものの、試合スタイルが違うし、両試合ともにリング上に次から次へと選手が登場してノンストップで動き回るから、付いていくのが大変だった。やはりドラゲーの試合は静止画ではなく動画で観るのが一番! ぜひ、ナマのドラゲーを体感していただきたいと思う。『Gスピリッツ』第4号の情報は、明日からお伝えしていきます。
PS.小橋復帰戦のダイアリーに対するコメントの中でGNOGさんから「小橋と秋山のチョップの応酬中に、小橋の背後から三沢がエルボーで割って入った場面についてどう思うか」という質問をいただいた。
 この場面は、私からしてみたら…小説で言えば“行間を読む部分”だと思います。それを自分なりにどう解釈するかというのもプロレスの楽しみ方のひとつでしょう。
 とりあえず、私の見解を簡潔に書きます。あれは、三沢がそれまでの小橋の間、ペースを壊しにかかったシーン。敢えて、ああいう行動に出たのは、それだけ三沢には小橋、あの試合に深い思いがあったのだと私は思った。
 これ以上、言葉を並べると無粋になるので、それこそ“行間”を感じ取っていただければと思います。