IGFは猪木のオモチャ箱

 昨日の有明コロシアムにおけるIGF『GENOME2』は、いろいろな意味でスゴイ大会だった。もはやカードが当日にならなければわからないことにはファンもマスコミ関係者も慣れっこ。で、実際に純粋なプロレスの試合と言えたのはオープニングのAJスタイルズVSセンシとセミのカート・アングルVSケンドー・カシンの2試合だけ。
 だが、この2試合が良かった。まずスタイルズVSセンシはTNAのノンストップ・アクションのファイトだから、いきなり観客を引き込むには効果的な試合。かつてロウキーとしてゼロワン、ノアに上がっていたセンシは相変わらず人気があるし、スタイルズは試合巧者。アメプロ好きにはたまらないカードだ。
 そしてブッカーTの来日中止によってサプライズ的に実現したアングルVSカシンは、私的にイチオシ。どんなタイプとでも好ファイトができるアングルの実力が改めて確認できたし、カシンの約2年ぶりのプロレスもブランクを感じさせないもの。レスリングから入り、エルボー・スマッシュ合戦、カシンは立会人のデストロイヤーをいじり、雪崩式腕ひしぎ、絞首刑を決め、アンクルロックをクルリとエビ固めに丸め込むなど、持ち味を十二分に発揮した。カシンには、やっぱりプロレスに戻ってきてほしいものだ。
 その他の試合もそれなりに楽しめた。ブラジルの巨人軍団は胡散臭くてイイ。やたらとハイキックを振り回していたアマゾン・ブレードは205センチという発表だったが、どう見ても190センチぐらい。もう一方のダニー・イグアスは発表どおりに215センチありそうだった。でもこちらはブレードに比べてデクの棒度高し。こういうわけがわからない選手が登場するのも、プロレスのヘンな面白さである。
 WWEでクリス・マスターズとして活躍していたクリス・ムーアは格闘技色の強い柳澤相手にWWE流を通してフルネルソンで快勝。客席から「えーっ!?」という声もあったが、これこそWWEで話題になった必殺技マスターズロックなのだ。相手がどうあれ、自分のキャラを押し通すのもプロだ。
 タカ・クノウがあのノルキヤをフット・チョークで仕留めた試合、小原のヘッドバット攻撃に怒った人喰い義生が逆襲のタコ殴りで勝った試合も通常のプロレスとは違った面白さがあったと思うし、ジョシュ・バーネットとモンターニャ・シウバはヘビー級の迫力あり。シウバが和田良寛レフェリーを殴ったり、スリーパーをかけちゃったりというハプニング・シーンが生まれるのもIGFならではか。
 メインは安田、レネ・ローゼ、小川の三つ巴戦ということだったが、第1試合で安田がローゼをイスでぶっ叩いて失神させて、続く安田VS小川では立会人の猪木が試合途中でリングに駆け上がって小川をチョーク・スリーパーで失神させて、終わってみれば「勝者アントニオ猪木!」というふうなムチャクチャな展開に。それでも「1、2、3、ダァー!!」が出れば、すべてが許されてしまうのだ。
「猪木さんなら何をやってもいいのか!?」「いい」――それがIGFの世界。そう、IGFはプロレスにも格闘技にもこだわらない猪木のオモチャ箱である。猪木さんはリングを通じて“元気”を発信することを第一にしているのだ。IGFは“大バカ野郎”にならなければ楽しめない。

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