原始的な戦い

 鈴木みのると佐々木健介は、この数年、本当にプロレスに打ち込んできたと思う。みのるは03年6月に新日本に上がってプロレスに戻ってきた時から今日まで、どっぷりとプロレスの世界に浸かった。「プロレスはプロレス!」と食わず嫌いにならずに、自分が面白いと思えばどんなリングにも上がってインディー系のイロモノと言われるレスラーや女子レスラー、果ては小学生までも相手にして、自分のカラーを出しつつ、幅を広げてきた。
 一方の健介も03年12月にフリーになってからは、黒タイツに黒シューズのコテコテのストロング・スタイルをやめて、最初はヒール的に匂いで新日本に殴り込みをかけ、以後はお笑い系のフロリダ・ブラザーズのケンスキー・ササキになったり、様々な団体に上がって幅を広げている。
 19年前、新日本の前座戦線で鎬を削った両者が昨日、全日本の両国のメインで三冠王座を賭けて激突。様々な要素を身に付けた2人が見せたのは、すべてを削ぎ落とした原始的なプロレスだった。前半15分は健介のヘッドロック。その後の10分近くはみのるの腕攻め。シンプルでもお客を惹きつける本物の戦いがそこにはあった。いろいろなものを身に付けた分だけ、シンプルな攻防がより新鮮にも感じられた。最終的に2人が行き着いたのは原始的な戦いだったのだ。
 42分7秒という時間で、2人はこの19年間をお互いに語りつくせたのではないか。勝ったの健介だが、それぞれに歩んだ19年に優劣はない。これは一区切り…2人のドラマはエンドレスだ。
P.S. 昨日のテレビ解説ではスペシャル・サポーターとして徳光正行さんが登場した。徳光さんは昔、三沢たちの溜り場だった東京・御徒町のスナックの常連で、全日本の後楽園ホールには必ず顔を出すプロレス・ファンだった。そんな徳光さんと十何年ぶりに一緒に仕事をする形で再会できたのは感慨深かった。「やっとプロレスの仕事が出来るようになりましたよ!」と徳光さん。これからも機会があれば…。

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