台風の中で全日本開幕

 昨日は台風4号襲来の中、まずは午後12時から後楽園ホールにおける全日本プロレス『サマー・アクション・シリーズ』開幕戦のGAORA中継解説。この日の目玉は武藤&健介VS小島&諏訪魔だ。先シリーズでブードゥー・マーダーズ(VM)入りした小島が諏訪魔とVM最強コンビを結成して、いきなり全日本正規軍の最強コンビと激突したのだ。
 ハッキリ言って、小島はまだ自己改革の途中。この日、ヒールの小島、VMの小島を強烈にアピールするべきだったが、まだまだ中途半端。従来通りの受けのファイトだし、反則攻撃もしっくりこない。キャラとしてのヒールをイメージ付けたいようだが、それがしっくりとこないのである。私個人の見方としては、希望通りに武藤&健介と対立するポジションになったわけだから、無理にワルぶる必要はないと思う。同じVMでも近藤修司は真っ向勝負の男。VM入りしても凶器に走る必要はないと思うのだが…。もし小島が自分を変えるために凶器や反則攻撃に走るというなら、肚を据えて徹底的にやるしかない。自分は何がやりたいのか? 小島はもっともっと自分を見つめなければなならない。
 この日のベストバウトはミゲル・ハヤシJrと櫛田雄二郎のシングルマッチ。櫛田とは、ハッスルのKUSHIDA。本名で全日本に出稽古に来たという形だ。ハッスルの生え抜きである櫛田はなかなかの経歴の持ち主。元々は髙田道場で、ZSTのジェネシスライト級トーナメント優勝経験もある。05年夏から自費でメキシコに飛んでルチャを学び、ライセンスを取得してCMLLでYUJIROの名前で20~30試合を経験して昨年2月のハッスル・オーディションのために帰国。TAJIRIのコーチを受けて昨年9月にデビューしたばかりの新人である。専修大学出身で、長州力にも練習をみてもらったことがあるという。TAJIRIは「バランスが良く、体の中心線がしっかりしていて左右にブレない」と、その素質を高く買っている。ちなみに客席にはTAJIRIの姿があった。ハッスルのリング上では敵対関係になったとはいえ、やはり気になったのだろう。
 ハッスルでのパンタロンではなく、ショート・タイツでミゲルに挑んだ櫛田は髙田道場仕込みのサブミッションとルチャ殺法を駆使した。佐野巧真が髙田道場を退団してノアに移籍した時に使った“ゆりかもめ”を披露したことに気づいた人はいただろうか!? 両腕と首を極める“ゆりかもめ”は桜庭和志が佐野に餞別代りにプレゼントした髙田道場オリジナルの技である。
 懐の深いミゲルによって持ち味を大いに発揮した櫛田。その真っ直ぐなファイトは爽快だった。純プロレスから多くのものをハッスルに持ち帰ってほしい。
 

カスイチはオモチャ箱

 リング・ソウルが月イチで新宿FACEにおいて開催している『カスイチ』は“お好きな人のためのプロレス・ライヴショー”といった趣だ。昨日の『カスイチvol.5』にしてもメキシコ・アミーゴスと菊タロー&アントーニオ本多のネタ合戦、アジャ、浜田文子にやりこめられて、全日本でのVMとはまるで違う一面を見せるTARU&ヤッシー、試合前にはアントニオ小猪木登場…と、お楽しみが散りばめられていた。
 メインの3WAYタッグ戦はエルドラドの軍団抗争をそのまま移行。SUKIYAKIの近藤&谷嵜、猛獣惑星の大鷲&KAGETORA、そしてエルデモンズの菅原卓也が藤田ミノルを助っ人に戦うというもので…このあたりになると、ちょっとマニアックか!?
 ここで勝利した大鷲が次回8月14日の『カスイチvol.6』のプロデュース権を得て、ちゃんこランブルを開催する。カスイチ常連レスラーが、普段出ている団体の選手を招待するという趣向らしいから、意外に豪華メンバーになりそう。ちなみに、すでに邪道&外道の同大会への参加は決定している。
 また、9月13日の『カスイチvol.7』から料金が変わり、これまでのS席=8000円、A席=7000円、B席=5000円から最前列&テーブル席=8000円、その他は5000円均一にするという。それでも高い気がするが、超満員でも400人の会場で大物ゲストを投入することを考えれば、主催者側としてはギリギリの料金設定なのだろう。
 VMの意外な素顔、意外な大物選手、そして気の利いたマッチメークが見られるカスイチは、プロレス好きのオモチャ箱。1回、覗いてみては?

『ハッスル』の主役は

『ハッスル・エイド2007』を受けての昨日の『ハッスル・ハウス26』は見ものだった。とにかく最近感じるのは、作り込みに隙がなくなっていることだ。今回は橋本真也三回忌追善の意味も込めた『ハッスル・キング・フォーエバー』ということで、第1試合に登場した恐・イタコに破壊王が降臨。それもおふざけにならず、見事な水面蹴り、橋本そっくりのフォームのDDTを披露したのだからニクイ! ちゃんとやってくれれば、ファンは大喜びである。
 第2試合ではジャイアント・バボとアントキの猪木がタッグで“幻のBI対決”を再現。この手のパロディはハッキリ言って私は好きではない。先人たちへのリスペクトが感じられないからだ。やっぱりパロッていいものと悪いものがある。だが、リングアナとしてケロちゃんと木原オヤジを起用したあたりは隙がない。この2人がOKならば、文句も言いづらくなってしまうのだ。試合の方は、猪木は芸人だから、モノマネでいっぱいいっぱい。本人は大好きな猪木として試合ができるのだから感慨もあっただろうし、実際に試合後には涙を浮かべていた。そういった純なところは好感が持てた。また、バボがコブラツイスト、猪木が卍固めという競演シーンも演出。これは1971年3月2日、蔵前国技館における馬場&猪木VSミル・マスカラス&スパイロス・アリオンの名場面を再現したもので、こうした細かいところはマニア心をくすぐる。
 ただし、本物のレスラー、バボ…長尾クンには、馬場さんの研究が足りない。長尾クンは新日本出身だし、実際に馬場さんに触れたことがないから無理かもしれないが、上っ面のアポーだけじゃなくて、スローモーな中にも要所で緩急をつけた動きなど、馬場さんのさり気ないレスラーとして素晴らしさまで表現してこそ、レスラーがやるモノマネだと思う。
 そんなこんなをすべて吹っ飛ばしたのは、ハードゲイのコスチュームに身を包んでメイン終了後に乱入した天龍源一郎。その存在感は他をよせつけない。そして、どんなキャラになろうとも、天龍源一郎は天龍源一郎だった。かつて冬木弘道は「どんなにキャラ付けしたって、最後にはその人間が出る。ファンはそれを見る」と言っていたが、まさにその通り。あのHGに負けた意味は、これからの線を見ることによって明らかになるはずだ。
 ハードゲイ姿になっても、なおブレない天龍。今、『ハッスル』の主役は、紛れもなく天龍源一郎になった。『ハッスル』の関係者がこの天龍の覚悟にどう対応していくのか、お手並みは意見だ。

岩佐拓が掴んだもの

 7・1神戸ワールドが終わってドラゲーは新展開へ。元週刊ゴングで、今は週刊プロレスでドラゲー担当になっている金子記者に聞いたら「あんなにお客さんが入っている神戸ワールドは見たことがなかったです」とのことだった。
 さて、昨日の後楽園ホールではオープン・ザ・ドリームゲート王座次期挑戦者決定トーナメントが行なわれ、タイフーンから斎藤了、マッスル・アウトローズからマグニチュード岸和田、戸澤塾から岩佐拓、ニュー・ハザードからB×Bハルクが出場。まず岸和田が岩佐を破って決勝進出。続く斎了VSハルクでアクシデントが起こった。
 新日本のスーパージュニアに参加して外道、内藤に勝つなど充実しているハルクの猛攻に斎了はハードヒッティングな反撃で潰しのファイト。張り手の乱れ打ちでハルクの口からおびただしい鮮血が…。見かけと違って肚が座っているハルクはこれにもめげず、最後は先輩の斎了を攻略したものの、ダメージは大きかった。口の中をザクザクに切り、下の歯が2本折れ、さらにアゴを骨折した模様で顔が晴れ上がり、結局は救急車で病院に運ばれてしまったのである。
 うーん、残念!ハルクはこれからのドラゲーを引っ張って行く存在。上昇気流に乗ったところでの急停止は本人にとっても、団体にとっても痛い。ニュー・ハザードはYAMATOも肩の脱臼で戦線を離脱しており、鷹木信悟、サイバー・コング、ジャック・エバンスの3人だけになってしまった。勢いだけできた彼らにとって、ここが踏ん張りどころになろう。
 だが、この直後に思いもしない感動が待っていた。その主役は岩佐拓。ハルクの決勝戦放棄によって、改めて斎了と岩佐が決勝進出を争い、岩佐が勝利。そして決勝でも岩佐が奇跡の(?)勝利でCIMAへの挑戦権をモノにしたのだ。
 岩佐はハッキリ言って“遅れてきた男”だった。闘龍門5期生として2000年9月にデビューしたが、同期の吉野、アンソニー、土井はもちろん、後輩のミラノ、近藤、ヤッシー、菅原らにも大きく水をあけられて、存在感が薄かった。彼が活路を見出したのはお笑い路線。マイケル岩佐を名乗って、先ごろ引退した同期の三島来夢(ダニエル三島)とアメリカのインディー・レスラーをイメージしたフロリダ・ブラザースを結成して独特の存在感を示し、フロリダ解散後は戸澤塾の第一期生となった。
 だが、こうした経験は無駄ではなかった。観客の空気を読むセンス、試合運びが巧くなければ、お笑いはできないのだ。また、岸和田、鷹木などのパワー・ファイターが台頭する中で、それまではもてあましていた大きな体がモノを言うようになった。最近はお笑いではなく、パワー&老獪さで勝負。6月3日にはノアの札幌大会に参戦し、新井健一郎とのコンビで鼓太郎&マルビンのGHCジュニア・タッグ王座に挑戦して好ファイトをやってのけた。
 奇跡の…と、書いたが、今回の勝利は必然だったかもしれない。人間、頑張っていれば、いつかそれが実ることを証明してくれたと言ってもいい。こうした感動があるから、プロレスは素晴らしい。
 岩佐が闘龍門に入った当時のメキシコの寮長だった新井はこう言う。
「こいつね、入ってきた時は眼鏡かけてて、何にもできなくて…ホント、のび太くんだったんですよ。でも、ずっと努力してここまできた。プロレスは人生を表現していると思います。こいつはお笑いじゃないよ!」
 そして夢の扉を開く鍵を手に入れた岩佐はこう言った。
「こんなこと、言うべきじゃないのかもしれませんけど…僕は五体満足とは言えない状態で生まれてきて、それも親からの遺伝だったので、心配かけたくないからずっと強がって生きてきて…。でも人並みのことができなくて、ずっと諦めた人生でした。でも、たまたま友達とプロレスを観に行った時にCIMAさんのファイトを見て“同じ歳の人間が何であんな自由自在に体を動かせるんだ!?”と、嫉妬と憧れを抱きました。僕がプロレスラーの道、闘龍門を選んだのはCIMAさんへの妬みと憧れからです。CIMAさんに少しでも近づきたいという気持ちからです。それが、こうやって目標としていたCIMAさんに辿り着きました。僕にとって、タイトルマッチ云々というのは関係ないです。今まで生きてきた全存在を賭けてCIMAさんに挑んで、恥ずかしくない試合をしたいです。そして今までの自分に決別して、もうひとつ上に行きたいと思います」
 誰かが言った「プロレスには、その選手の人生が見える」という言葉。まさにその通りだと思う。次回のタイトルマッチは、CIMAが岩佐の人生を受け止める大一番なのだ。

デスマッチの絶対王者

 ロープに張り巡らされた蛍光灯。そればかりではない、リング上にも蛍光灯が散りばめられている。ロープに飛ぶことはもちろん、リング上で受け身も取れない。蛍光灯300本マッチは極限の戦いだった。
 ロックアップして膝を着くだけでリング上の蛍光灯が破裂する。安易に投げ技を食うわけにもいかない。こんなに緊迫感のある試合は久しぶりだ。そして時間が経過するにつれて、王者・佐々木貴も挑戦者・伊東竜二も、蛍光灯のザクザクの破片で敷き詰められたキャンバスに構わず体を預けるのだ。
 大日本プロレスにとって夏と冬の横浜文化体育館は年間の柱。私が大日本の横浜文体に足を運んだのは今回が初めてだったが、いかにこの団体が、デスマッチが支持されているかを実感させられた。
 王者の佐々木貴は他団体アパッチプロレス軍の人間だが、ファンは所属団体に関係なく佐々木にも伊東にも声援を送っていた。最終的に勝ったのは佐々木であってもファンはダイニッポン・コールを連呼していた。
「団体なんか関係ねえ。デスマッチを愛する奴がこのリングで輝けるんだ。伊東には大日本の意地があっただろうけど、俺だってあいつがいない間にデスマッチを守ってきた意地がある。伊東は強いよ。強かったけど、最後は意地だよ、意地。今回は俺の意地がほんのちょっとだけ上回ったんだと思う。次の挑戦者? それは俺が指名するんじゃない。ファンが選んだ人間、ファンが後押しする人間だよ。そういう相手とやりたい。試合形式は相手が望むもので構わないから。これからも体を張って、ファンの声援に応えられるように、凄い試合、凄いデスマッチをやっていきます」
 と、佐々木。佐々木にとって今回が伊東戦初勝利。昨年9・10横浜文体で伊東に敗れてデスマッチ・ヘビー級王座を失ったが、勝った伊東は負傷欠場を余儀なくされて王座返上。そのベルトを12・3横浜文体で沼澤邪鬼との王座決定戦で取り戻した佐々木は、今年に入って3・14後楽園で宮本裕向相手に「今年のベストバウト!」と呼ばれるほどの試合をして初防衛に成功したが、本人の中では「伊東に勝ってこそ真のチャンピオン」という気持ちと「この1年、大日本のデスマッチを引っ張ってきたのは俺だ。それを証明する」という2つの想いがあったろう。絶対に負けられない一戦だったのだ。
 ベルトを掲げる佐々木に客席から「絶対王者!」という声が飛んだ。まさしく今の佐々木には絶対王者にふさわしい自覚、覚悟、実力、風格が備わっている。大日本のデスマッチが、どんなに血を流してもグロや残酷ショーにならないのは、王者・佐々木貴を初めとして各選手がピュアな気持ちで戦っているからである。デスマッチは遺恨、因縁といったドロドロした感情がなくても成立するまでに成熟した。

新日本の熱は本物!

 昨日の新日本・後楽園ホールは2025人(超満員札止め)。本当によく入った。新日本は後楽園での興行数が多いこともあってか、一時期はまったく客が入らなかったが、この春からは好調。もっとも、IWGPヘビー、IWGPジュニア、IWGPジュニア・タッグの3大タイトルマッチを組んで入らなかったら、深刻な問題なのだが…。
 一番の変化は客数もさることながら、会場の熱気だ。一昨年の秋頃から昨年の春にかけては、観客がひいているというか、寒々した空気があって、何をやってもつまらなく感じたものが、今は観客が積極的に試合を楽しもうとしている。もちろん、試合内容はそれに見合ったもの。昨日の後楽園にしても、第1試合の平澤VS石狩からメインの永田VS真壁まですべてが興味深かった。試合終了は9時半を越えたが、中だるみがなく、たっぷりプロレスを堪能させてくれたという印象だ。
 復帰した蝶野が「俺が新日本を建て直してやる」と言えば、棚橋は「今まで会社に十分尽くしてきたから、これからは自分の自由な意思で上に行く」と宣言。それぞれに意欲的になっている。今シリーズでCTU解散という流れの中で、田口が稔を破ってIWGPジュニア王者になったのもポイント。ここからジュニアの新たな流れが生まれてきそうだ。
 東郷&TAKAに金本&亘が挑戦したIWGPジュニア・タッグは私好みの試合だった。東郷とTAKAはやっぱり巧い。挑戦者チームにやりたいことをやらせた上で、要所はきっちりと押さえる。試合の切り替えし、緩急の付け方が抜群なのだ。TAKAの「アウェーの俺たちが、新日本のリングで一番いい試合をやってやる」という言葉は、様々な団体を渡り歩いている者のプライドである。
 メインのIWGP戦は大流血戦。真壁がイスとハサミで永田を流血に追い込めば、永田はムエタイ流のエルボーで真壁の額を切り裂いた。客席からは「これが新日本か!?」という声も飛んだが、最終的には心と心を真っ向からぶつけ合う勝負。どんなに血まみれになっても嫌な感じはなかった。そこに駆け引きなしの2人の意地のぶつかり合いがあればいいのだ。振り返れば、猪木とシンの戦いもそうだった。
「やっぱり肘は禁じ手…今後は使うべきじゃないね。でも、あれで立ってくる真壁を見て、プロレスラーはやっぱり凄いなと思った。普通なら、あそこでストップでしょう。真壁のスタイルを正しいとは思わないけど、あいつの気力、この道で生きていくんだという気迫は感じた。俺と真壁じゃ、歩いてきた道も、見つけた道も違うけど、根本的に目指すものは一緒。方法論が違うだけでね。方法論は違っても、魂をぶつけ合ったということですよ」
 と、永田。さらに永田は、
「新日本の足場は固まったと思う。このベルトを持って、両国、そして東京ドームに進んで行きたい!」
 スタートは聖地・後楽園ホール。後楽園ホールの熱は戻った。ここから新日本の躍進が始まる。

犬がいない生活

 ハワイで結婚式を挙げた知人が昨日の午後帰国。預かっていた豆柴を迎えにきた。わずか8日間の我が家へのホームステイだったけれど、やっぱり寂しい。
 この2~3日はすっかり甘えん坊になっていて、普段は妻のあとをくっついて歩いているくせに、私が出かけようとすると悲しそうにキャンキャン吠えていた。妻が出かける時も同様。どうやら私たち夫婦2人にいてほしいようなのだ。
 帰す前日の夜には、妻の腕枕で寝ているからいいだろうと、私はひとりでリビングで酒を飲んでいたが「一緒に寝ようよ!」とばかりにリビングと寝室を行ったり来たりしてキャンキャン。私が布団にもぐりこむと、安心したようにパタンと寝てしまった。ウーン、面倒臭いけど、カワイイ奴だ!
 そんな感じだったから、帰ってしまった昨日の夜はホッとしたはずなのに、私も妻も寂しさが募るばかり。まるでペットロス症候群のよう…。
 などと思っていたら、今しがたトコトコトコと豆柴の足音が! 一夜明けたら遊びに来たのである。まとわりついてきて、おやつを食べて、寝る。やっぱり、この惑星の豆柴はカワイイ!

田中護氏の死を悼む

 7月1日、田中護氏が82歳で天寿をまっとうした。田中護氏とは全日本プロレスの会場で「ご観戦の記念に、また、ご家庭へのお土産に…」という名フレーズでパンフレットを売っていたおじさんである。
 我々が「田中のおじさん」と呼んでいた田中護さんは、全日本プロレスのパンフを手掛けていた田中印刷の社長さんだった。シリーズが始まるとパンフレット売り場に立ち、我々、マスコミには取材ノートに対戦カードのスタンプを押してくれた。あの対戦カードを作るのには年季が必要で、キレイに全カードが写るようになるまで大変なのだ。そういえば、デビュー当時の川田は、いつも対戦カードにカタカナで“カワダ”と押されていた。きっと外人選手の名前を切り張りして作っていたのだろう。これに不満を持った川田がおじさんに抗議すると「だって、おまえはハンコ代を持ってきてないだろう」。もちろん冗談だったが、川田が大真面目にハンコ代を包んできたから、おじさんは大笑いだった。
 巡業に同行して各会場で声を張り上げてパンフを売り、試合後には常に馬場さんと行動を共にしていた田中のおじさん。元気で、とても優しい人だった。不機嫌な顔や疲れた顔は見たことがない。
 全日本の広報担当者が急病で入院し、私がピンチヒッターとして85年の『決戦!ダイナマイト・シリーズ』のパンフの編集をしたことも思い出のひとつ。ゴング編集部と田中印刷は目と鼻の距離にあったから作業しやすかった。また、それ以外でも「小佐野クン、○○の写真がないからちょっと借りに行くよ」とか「悪いけどさあ、××の写真、持って来てくれない?」などど行き来したものだ。
 今日の告別式は行くことができなかったが、昨日の御通夜は行くことができた。全日本の武藤社長、渕さん、京平さん、ノアの三沢社長、小橋、天龍さん、馬場元子さんらの花が並び、私が斎場に着いた時には元子さん&京平さん、天龍さん、ノアの選手&関係者、全日本の加藤一良営業顧問らがいた。この何年間かで人間関係が複雑になってしまったが、それでもこうやって会する。それも田中のおじさんの人柄だと改めて思った。
 去年の4月28日、永源さんの引退パーティーでお会いした時には元気だったのに…。昭和のプロレスをを知る大切な人がまたひとり去ってしまった。田中のおじさん、安らかにお眠りください。天国で馬場さんと久々のお食事ですね! ご冥福をお祈りします。

以前とは違うノアの風景

 ここ最近、ノアの不振が話題になっているが、本当に不振なのか? 小橋建太不在ということもあるが、昨年秋からノアの風景は凄い速度で変わってきている。若い力の急速な台頭、他団体との積極的な関わり…ノアが新しい時代につなぐために必要な変化だが、それにファンが追いつけず、戸惑っているといったところか。団体にとっても、ファンにとっても、今が過渡期なのだ。
 昨日、千葉ポートアリーナ・サブアリーナ大会に行ってみたが、確かに1年前とは風景が違う。それは、1年前とは違った見所があるということだ。第1試合から丸藤とDDTの飯伏が登場して客席を沸かせるというのだから贅沢。森嶋、ヨネはすっかり次代のトップとしてのファイトを身につけているし、潮﨑のファイトも骨太になった。
 ちょっと前までは「みんな同じようで区別がつかない」と言われた若手にしても、秋山イズムを持つ青木が欧州遠征を経てジュニア戦線で急浮上しそうな予感だし、元気いっぱいの太田一平、ワルに目覚めた平柳努、パワー&ルチャという変わったスタイルの伊藤旭彦と、それぞれにカラーが出てきた。ヘビー級で期待される谷口は潜在能力がありながらプロレスのリズムに馴染めていない感じだが、今シリーズは秋山とのタッグが多いだけに何かを掴めるはず。
 志賀&川畑のパンパーズというキャラは、かつてのノアでは考えられなかったものだし、ジュニア戦線は初のタッグ・リーグ戦、ROH勢の参加でグレードの高い今風のファイトを提供している。
 いつまでもノアを四天王時代の全日本プロレスの延長として見ていたら、それは間違い。今のノアは、かつての伝統を守りつつ、バラエティーに、新しくなっているのだ。これでドッシリした柱ができれば、ノアの新段階は完成するだろう。その過程を楽しまない手はない。今のノアを見ておかないと、あとで損をすることになると思う。

犬がいる生活

 実は、我が家には先週の木曜日から豆柴(1歳半)がいる。旅行に行った知人の犬を預かったのだ。ところが私も妻も犬を飼ったことがないだけにタイヘン。
 柴犬はキレイ好きで基本的には家の中では排泄をしないというので朝、昼、夜、寝る前と4回の散歩。私の役目は朝8時の散歩と深夜の散歩。トイレのタイミングはバッチリ覚えた。完全にしゃがんだ時はオシッ○、中腰はウン○ね。トコトコと歩いていたと思ったら急停止、腰をちょっと下げたところでササッと新聞紙を地面に置く。コトをすませた後、ちょっと申し訳なさそうな顔をしてこっちを見るのがカワイイ。お陰で私は運動不足解消だ。
 それにしても、このお犬様、自分を人間だと思っているのか? 寝る時は私か妻の腕枕。それもうつ伏せではなく、腹を見せて仰向けになってガーガー寝る。キミは本当に犬なの!?
 芸はできません。「おすわり!」「それは伏せでしょ」という具合。でも、餌をあげるときだけはおすわり→お手→おかわり→伏せ→待てを完璧にこなせるのはナゼだ!?
 ということで、我が家は今、お犬様に振り回されている。昨日も午後から妻が用事で外出すると、ふてくされたのか台所でジーッ。私が呼んでも来やしない。そのくせ、私が仕事部屋に入ると、部屋のドアの前で丸くなって寝ている。で、サムライTVに出かける時間になったら、私が出て行ってしまうことを察知してか、玄関に陣取って動かない。何とか餌でリビングにおびきだして、その隙に外出に成功したが、置いていくのが切ないこと、切ないこと。こんな感じじゃ、とても我が家で犬を飼えそうもないなあ。このお犬様との生活も木曜までだ。
 缶コーヒーBOSSのCMのトミー・リー・ジョーンズではないが「この惑星の豆柴はカワイイ!」。