鈴木みのるにUの魂

 昨日、新宿FACEでカス野郎プロレス『カスイチ』を初めて体感した。これが、なかなか楽しいプロレス・ライヴ。ミゲル・ハヤシ・ジュニアとKAGETORAのジュニア対決に始まり、FMWを再現する野橋&ハヤブシートVS怨霊&GOEMON(久々に話ができて嬉しかったよ、浩二クン!)、越中とヤッシーの超平成維震軍にケンドー・コバヤシがマネージャーに付いてのTARU&大鷲との激突、近藤&谷嵜&ミラニート・コレクションA.T.とHARASHIMA&KUDO&高梨のエルドラドとDDTの6人タッグ対決、そしてメインの鈴木みのるVS澤宗紀と、マニア心をくすぐる気の利いたマッチメーク。
 試合でこそヒールに戻ったが、あのTARUが試合前に白地にBABYFACEと書かれたTシャツを来てリングサイドのお客さんと握手しながら入場し、リングインと同時に客席に一礼、「どうも、ベビーフェースのTARUです!」と挨拶したのは笑えた。このカスイチでは全日本のブードゥー・マーダーズとは違って、TARU、近藤、ヤッシーの素顔が垣間見えるのだ。
 さて、ファンとマスコミの注目は、何といっても越中とケンドー・コバヤシの合体。あの越中がリングで笑顔を見せるのは稀なこと。コバヤシはお笑い芸人のスタンスを崩さないでいたが、感激で目が潤んでいた。
 私が個人的に注目していたのは、メインのみのるVS澤。澤にはランジェリー武藤というもうひとつの顔があり、三冠戦前哨戦という目で見ても面白いのだが、私的にはみのるVSバトラーツという視点で注目した。バトラーツはみのるの藤原組時代の後輩・石川雄規が設立した団体である。
「石川さんは相当、鈴木さんにいじめられたみたいですからね。未だに言いますもんね。だから石川さんの弟子である僕が、その恨みを晴らそうと」と澤。澤独特の言い回しだが、澤は自分のルーツになる鈴木みのるを体感することを楽しみにしていた。
 試合はシビアだった。みのるはマウントから顔面パンチ、顔面への蹴り、アキレス腱固めと澤をかわいがった。それこそ藤原組時代に若手をいじめまくった頃に戻ったようだった。同じ遺伝子を持つ後輩だからこその試合だったように思う。
「バトラーツって、あのバカの石川が創った団体だろ? かなり遠いながらも似たような空気を感じたよ。全日本や新日本とは違うUWFという団体の流れを多少なりとも感じるところがあった。意外に気持ちよかったよ、試合してて。澤はどうだったか? テキトーに頑張れ。邪魔なら殴る。それだけだ」
 控室に入りかけて、振り向いたみのるは最後にこう言った。
「あのさ、その頃、俺はパンクラスでやっててさ、まったく違う世界にいたわけだけど、髙田延彦が武藤の足4の字で負けた時は屈辱だったよ。今度の三冠戦は、そういう想いもこもっているから…」
 鈴木みのるの心の奥底には、強さのみを求めて青春を燃やしたUの魂が今も宿っている。

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