いよいよメインエベント!

 ホノルル空港に着いたのは現地時間の6日午前8時。日本時間だと7日午前3時だから、普段は寝る時間だ。寝不足でボーッとしているところにムッとしたハワイの熱気。そしてカンパリソーダのような空港の独特の匂い。この2つを感じた時にハワイに着いたと実感する。
 この時点で日本にいる時のあくせくした生活からスイッチが一気に切り替わる。昨日(つまり現地時間6日)はプールで読書&昼寝をしただけ。夜10時半には寝てしまった。
 そして今は7日の午前10時20分。今朝は6時半に起床し、ラナイから外を見ると虹が出ていた。虹を見るともう1回ハワイに来られるというだけに、いきなりラッキーな気分。そして8時半には朝食。心にも体にも、何て健康的な生活なんだ!
 今日はこれからアロハタワーに向かってクルーズの旅に出る。ハワイ島ヒロ→マウイ島カフルイ→ハワイ島コナ→カウアイ島ナウィリウィリの1週間の船旅。この数年、夢見ていたメインエベントの始まりだ!

今、私は…

 今、私はこのダイアリーをハワイで書いている。出発は日本時間の6日午後8時30分。ディファカップの決勝戦を見られなかったのは残念だが、昨年暮れから決まっていた計画だから仕方がない。
 実は今回のハワイ旅行は結婚10年の記念。10年前の5月8日にハワイで結婚したのだ。10年前の97年、私は週刊ゴングの編集長だったから、めちゃくちゃ忙しかった。時間ができるのはゴールデンウィーク明けぐらいしか考えられなかったので、5・2大阪ドームの橋本真也VS小川直也のIWGP戦、5・4代々木におけるキングダム旗揚げ戦を取材して、締め切りを終えてすぐにハワイに飛んで、式だけ挙げたのである。
 今年は春前からいろいろなことがあったので(苦笑)、2週間ほどの骨休み。でもダイアリーはなるべく更新するつもりなので、よろしく!

初マッスル

 昨日の夜、マッスル坂井がプロデュースする『マッスル』を後楽園ホールで初体感した。『マッスル』を説明するのは難しい。プロレス演劇、プロレスをモチーフにしたバラエティショー…演劇や本が好きな坂井の感性をプロレスのリングで表現したものとでも言おうか。プロレスにある要素を坂井なりの感性でデフォルメしたものと言うべきか。ちなみにチケットは1週間前には完売。これが坂井にとっては大きなプレッシャーになっていたようだ。
 まずは時事ネタを題材に『マッスル』及びプロレスの捏造、やらせ問題に始まり、『マッスル』を大きくするためには大人気のフィギュア・スケートを用いるべきだとして、『世界フィギュア・レスリング選手権2007』という形で試合を進行。これは課題曲に乗って試合を行ない、曲の解釈、技術、演技力、技のつなぎなどを採点。選手は試合後にキス&クライ(得点を待つエリア)で喜んだり、悲しんだりという趣向だ。前半戦での高得点は『白鳥の湖』でショートプログラムを演じた男色ディーノと飯伏幸太(つまりディーノⅤS飯伏の試合)。場内に流れる村田アナウンサーとベースボール・マガジン社の鈴木健氏の実況解説も、ちゃんとフィギュア・スケート調になっていたからよかった。おふざけではない、演劇、バラエティショーだから細部のディテールにも徹底的に凝っている。だからこそ、観客も楽しめるのだ。
 その他、PRIDEの買収劇をパロッて『マッスル』がアメリカのエンターテインメント総合格闘技組織UCCに買収されるというオハナシも出てきた。
 試合では、途中でナレーションが入って攻防がスローモーションになるなど、完全にお約束の世界。それを選手が真剣に演じる。一歩間違えれば、プロレスそのものを否定するような世界だが、そこに嫌な感じがなく、観客が素直に楽しめるのは、選手たちの真剣な取り組みと、坂井の根っこにある“プロレス愛”が感じられるからだろう。
 サプライズは、鈴木みのるの登場。もちろん、みのるにマッスルの世界観が通用するわけがない。いつも通りの妥協なきファイトで坂井をぶっ飛ばした。だが、坂井もプロレスラーとして必死に食らいついた。
「マッスル、それから周りにいる連中! お前ら、プロレス舐めてんだろ!? 中途半端な形でプロレスと俺に関わるんじゃねぇ。適当にやるんじゃねぇぞ。命懸けろよ! わかったか!?」
 とみのる。だが、その後には坂井と一緒にキス&クライに着席し、最高得点を得ると坂井と握手して雄叫び。このガッチガチの試合もフィギュア・レスリング大会の演目だったのか!? これだからプロレスは深い。虚実が渾然一体となっているのだ。
 プロレスラーとしてみのると戦うことができた坂井は大会終了後に泣いていた。
「プロレスを始めてから一番きつい、しんどい試合でしたけど、もっと頑張りたかったです。自分はちゃんとプロレスが好きで、それで始めたんですけど、『マッスル』が独り歩きして、そこだけで認知されて、大したプロレスラーとして思われていないのはわかってます。自分は、プロレスっていうのは戦いや感動を人々に与える素晴らしいスポーツだというのがあって、それをスローモーションとか使ってやっていますけど、鈴木さんは体だけでやっている。UWAI STATIONに出た時、鈴木さんと高瀬選手の試合を見て、張り手1発、試合で見せる気迫、マイクでお客さんを感動させる鈴木さんに感動しました。鈴木さんを見て、感動を与えられるレスラーになりたいと思いました。そう思わせてくれる鈴木さんと試合ができて嬉しかったです」
 坂井はプロレスラーとして一流ではない。だが、プロデューサーとしての才能はある。だから坂井は独自の感性でプロレスの中にある、プロレスならではの魅力の一部を取り出し、デフォルメして『マッスル』を創り出したのだろう。そして、そこに鈴木みのるが上がったのは大きな意味がある。
 様々なリングに上がっているみのるだが、その基準は「自分にとって面白いか」「自分の感性にビビッとくるものがあるか」ということ。ファイトマネーは二の次だ。いくらいい条件でも「面白くない!」と思ったら上がらないし、逆にファイトマネーが安くても「これはやりてぇ!」と思ったら上がる。それがみのるスタイル。『マッスル』には、みのるを動かす何かがあったのだ。

新日本の熱

 昨日の新日本・後楽園も2日同様に2005人の超満員。昨年秋あたりから興行数が多いこともあって後楽園ホールで苦戦が続いていた新日本だが、かつての熱気が戻ってきた。
 とにかく会場の雰囲気がいい。お客さんが出来上がっていて、熱いのだ。そのひとつの要因として、本隊、ブラック、GBHの抗争の図式が鮮明になって、それぞれの試合にテーマがあること。ジュニアも従来の本隊とCTUに加え、本隊の中にサムライ・ジムができて、新たな流れになってきている。
 さて、昨日の試合だが、タッグながら裕次郎がライガーを、デヴィットが金本から殊勲の星を挙げ、真壁が真輔を再度撃破して「てめえら、見たか!? これが現実だよ。次のIWGPは、この俺だ!」とIWGP挑戦に名乗りを上げるなど、スリリングな展開。メインのIWGPタッグ戦は永田&飯塚の王座奪取はならなかったものの、いい試合だった。バーナード&トムコという大型ガイジンも新日本マットに厚みを加えている。
 現在、頂点に立つ永田は「たかが後楽園ぐらいで満足するなと言われるかもしれないけど、確実に熱が高まってきている。これがドンドン波及していけばいいんじゃないですか? 改めて、これまでの棚橋の頑張りも感じますよ。夢は…再び東京ドームにIWGP王者として立つことです」と言う。
 会場の器を考えれば、かつての隆盛を考えれば、確かにたかが後楽園ホール。されど後楽園ホールだ。かつて全日本が長州らジャパン・プロレス勢の大量離脱でピンチに陥った時、レボリューションをスタートさせた天龍は「当面の目標は後楽園ホールを超満員にすること」と言った。そして地方でも手を抜かない全身全霊のファイトで、いつの間にか後楽園ホールも日本武道館も超満員記録が続くようになった。そう、まずは後楽園ホールから。今が大事な時だ。

極まれり!サムライ激場

 今朝9時過ぎにダイアリーを更新したが、操作ミスで削除されてしまったので、改めて書こう。ゴールデンウィーク、プロレス業界は忙しい。昨日は午後3時から5・9後楽園大会に関するハッスルの会見。夜は新日本の後楽園だった。
 ハッスルは様々なリリースを律儀に私の自宅にFAXしてくれる。そうなると試合だけでなく、記者会見にも顔を出すのが筋というもの。会見場のPRIDE道場に出向くと、関係者からは珍しがられてしまったが…。記者会見の内容は、5・9後楽園の第1試合のTAJIRIのパートナーがジャイアント・バボから佐藤耕平に変わったこと(対戦相手はKUSHIDA&チエ)、モンスター軍入りを直訴していたキンターマン&クロダーマンが最終査定試合として“モンスター大将”天龍&“モンスターK”川田との対戦を命じられたという2点だけ。ただし、普通の会見で終わらないのがハッスル流だ。
 出席者(というよりキャスト)はセクシー広報・りんらん姉妹三女の泡瀬夏弥、アン・ジョー司令長官、TAJIRI、キンターマン、クロダーマン。アン・ジョーに天龍&川田との対戦を命じられたキンターマンがパニクって(というより素?)三女にセクハラを仕掛け、これにTAJIRI、クロダーマンも乗っかるというもの。記者会見のリリースにも「3時開始」ではなく「3時開演」と記されていた。
 さて夜は一転して硬派な男臭さムンムン。越中詩郎のサムライ激場だ。このGW、新日本は『レッスルランド』『ロックアップ』を含めると4回も後楽園興行があるだけに客入りが心配されたが、最近にはない2005人の超満員札止め。永田VS越中の一戦がIWGP戦になったことでチケットが伸びたという。
 それにしても凄い越中人気。お笑いタレントのケンドー・コバヤシのモノマネという意外な形で越中の知名度は全国区になったが、元々プロレス・ファンは不器用でも闘志溢れる真っ直ぐな越中を支持していた。G1に出て金星でも挙げようものなら、まるで優勝したかのように両国が熱狂したし、WJ時代でもシーンとした会場にあって越中の試合だけはお客が沸いていた。そんな男だから、どういう形であっても、こうしてブームが起こったことは嬉しいことだ。
 もちろんメインのIWGP戦は試合前から大コシナカ・コール。感極まった越中は入場の時点で顔をクシャクシャにして男泣き。48歳になるベテラン・レスラーが感動するって素晴らしいことだ。WJ崩壊後、辛酸を舐めながらも頑張ってきた越中。頑張れば結果が出る。ベタな考え方かもしれないが、それを越中は体現した。やはりド演歌ファイターだ。
 試合は越中の歴史を見るような内容だった。永田のキックでサンドバッグ状態にされながらも、そのたびに立ち上がる姿はジュニア時代の高田伸彦(現・髙田延彦)との名勝負数え唄を彷彿させるものだったし、ダイナミックなジャンピング・アームブリーカーは全日本の若手時代の三沢光晴との名物カードを思い起こさせるものだった。そして反選手会同盟、平成維震軍時代から変わらない闘志。
 結果は永田のバックドロップ固めに散ったが、プロレスは結果や強さだけではないことを改めて証明したと思う。試合後はサッとリングを降り、無言で控室に消えた越中。その背中はまさに粋なサムライだった。

棚橋弘至の第2章

“エンターテインメント性を強調した魅せるプロレス”をコンセプトに昨年5月13日に新宿FACEでスタートした『レッスルランド』は昨日の第9回大会で1年を迎えた。
 昨日のメインは棚橋、中西、TARUによる現場監督の権利を巡っての3WAYラダーマッチ。中西が勝利して『レッスルランド』を『中西ランド』にすることを宣言した。エースが棚橋から中西に交代した形だ。
 試合後、棚橋は言った。
「中西さんの気持ちが勝っていたということです。エースを任されながら、大して喋れず、試合もウケず、悔しいです。IWGPのベルトを失って、『レッスルランド』も『中西ランド』に変わって…心も体もオーバーヒートしました。会社に伝えてあったんですが、明日、膝の精密検査を受けます。明日以降の試合のスケジュールは白紙ですね。『中西ランド』に対しては拍手を贈りたいです」
 棚橋は右膝内側靱帯を損傷していて、とりあえず今日と明日の後楽園大会は欠場。その後は精密検査の結果次第となる。
 この1年、棚橋は本当に頑張ってきた。選手の離脱などグラついた新日本にあって、『レッスルランド』のエースとして新たなファン層の開拓、そしてIWGP王者として新日本を牽引することを期待された。棚橋の頑張りがなかったら、新日本は本当にヤバかっただろう。心も体もパンクしても不思議ではない。
 だが、この1年で棚橋は強靭になった。すべてを失ったここからが第2章の始まりである。重圧から解放されて心をリフレッシュし、体を治した後に本当の棚橋の魅力が見えてくるはずだ。

パッケージ・プロレスに新展開

 昨日は全日本プロレス『2007HOLD OUT TOUR』最終戦のGAORA中継解説のため、名古屋・愛知県体育館へ。鈴木みのるとTAJIRIの三冠戦をメインに川田&ケアVSムタ&バンピーロの世界タッグ戦、YASSHIが中島勝彦に挑戦した世界ジュニア戦、さらに小島のVM入り問題あり…と、パッケージ・プロレスならではの話題満載のラインナップ。
 さて、随所に見所がある全日本のパッケージも、この名古屋を境に新展開を迎えた。小島のVM入りは消えたものの、健介への反発を露にしたことから、これからの小島のポジションが注目されるし、TAJIRIに勝って三冠V3に成功したみのるは、挑戦者に指名してもなかなか意思を明確にしない武藤に業を煮やして、三冠王座を持ったままの全日本離脱を示唆した。ジュニア戦線は6月にシングルのリーグ戦が行なわれることが濃厚だし、メキシコ・アミーゴスに対抗してMAZADAが新勢力を結成することを宣言している。
「チケットを買って会場に入った瞬間からスクリーが回ってドラマはスタートしている」という武藤思想の下、新たなドラマが転がり始めたのは明らかだ。
「ソフトを作るノウハウだけは、この全日本プロレス、才能あるんじゃないですか。新たなるストーリー展開があるのがプロレス。これ、膠着したら苦しいよ」
 というのが口癖の武藤。8月に予定しているという大勝負に向けて全日本の流れは急激に変わっていくだろう。お楽しみはこれから…見逃したら損だぞ!