TAJIRIの器

 10月27日のゼロワンMAXの後楽園、29日の全日本の博多でTAJIRIと久々に話をした。ゆっくり話をしたのは02年6月にハワイのペりーズ・スモーギーというオープンエアのレストランでフナキ・ファミリーと一緒に朝食を取って以来のことだ。
 ゼロワンMAXでは藤田ミノルと10年ぶりの対決。きっと大方のファンは2人の青春物語を期待しただろうが、TAJIRIはそれを拒絶して、敢えて技の応酬はやらなかった。TAJIRIのファイトはパフォーマンスと長い間を取るというイメージが強いが、実は無駄な動きがまったくなかったし、お客と会話しつつ、攻めどころでは藤田に反撃の隙間がないほどの畳みかけをしていた。そして、ひとつひとつの技の入り方に工夫を凝らしているから、大技に頼らない。結果、試合は完全にTAJIRIのペースになり、藤田の雑さが目立ってしまった。ファンには期待に反した試合になったと思うが、藤田には勉強になったと思う。
 全日本の博多のムタとのタッグでは、ムタがTAJIRIのアドリブ&感性と必死に勝負していたように見えた。8月の両国の2人の一騎打ちは期待はずれな内容になったが、それはムタがTAJIRIのスピードとアドリブに対応できなかったからだと私は思っている。今回、ムタはタッグという形だったが、改めてTAJIRIと勝負したと思うのだ。
 そんな話をTAJIRIにすると「そういうプロレスの見方をしてくれるマスコミの人がいるのは嬉しいですね。僕は、今の日本のプロレスは理に適っていないと思ってるんですよ。なぜ、その場面でその技を使うのか、なぜそこで大技が必要ないのか。そういう理屈は大事だと思います。あと、例えば僕みたいな小さな人間がスーパーヘビー級の人間をロープに振ったりできるわけがない。そうなると、どうやってロープに振るのかを僕は考えるし、その1点だけでも見どころになると思うんですよ」などとプロレス談義に。
 TAJIRIのファイトは新しいようでいて、実はプロレスのベーシックな部分を重要視しているのだ。パフォーマンスだけでなく、彼の試合の組み立てに注目してもらいたい。そこには古き良き要素がたくさんある。
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です