懐かしい2人

 書く機会を逸してしまっていたが、先週のゼロワンMAX大阪&BML徳島で会った懐かしい人について書かせてもらおう。ひとりは栗栖正伸さん。昭和のプロレスの怖さをプンプンと発散している“イス大王”栗栖さんとは、ファンクラブ時代にインタビューして以来だから25年以上の付き合いになる。礼儀がなってない人間は大嫌い、本音で喋らない人間は大嫌いという昔気質のレスラーである。ここ数年は年に2~3回、電話で喋る程度で、ファイトを見たのは本当に久しぶり。きっちりとゼロワンの会場を沸かせていたし、翌日の徳島でもイスを振るっていた。さらに嬉しかったのは栗栖さんの奥さんに久しぶりにお会いできたこと。イス大王も奥さんの前ではおだやかなダンナさんに変身…文字通りの愛妻家だが、奥さんの栗栖さんに対する愛情も深い。大阪でも、徳島でも、会場の隅から栗栖さんのファイトを静かに見守っていた。きっとプロレスラー、栗栖正伸のことも大好きなんだなあとしみじみと思ってしまった。栗栖さんは幸せ者だ!
 もうひとり懐かしかったのは徳島で栗栖さんと対戦した中野龍雄(現・巽燿)。実戦のリングは去年1月のシュート・ボクシング以来だという。
「オファーがあったのは2日前で、急だからと断ったんだけど、どうしてもと上井さん、村上選手から電話をもらって…直々に電話もらったら、断れないじゃないですか。トレーニングはきっちりやってるんで、俺にできるような試合だったら、これからもドンドンやりますよ。ファンに忘れ去られないように試合をやっていきたいですね。40歳になりましたけど、年に負けちゃいけない。まだまだ暴れますよ!」
 と中野。旧UWFから培ったものを今こそ活かしてほしいものだ。
 

楽太郎師匠

 昨日は三遊亭楽太郎さんと立川ぜん馬さんの落語・二人会に行ってきた。ご存知のように楽太郎師匠は大のプロレス・ファン。天龍さんとは両国中学の同級生ということで、昔は大分、無茶をさせていただいた。私が天龍さん、阿修羅・原さんに飲まされすぎて、アゴを外したのも、楽太郎師匠が遊びに来た広島での出来事だった…。
 いつも見ているのは酔っ払っているか、プロレス会場の楽太郎師匠。落語家・楽太郎師匠を見るのは久しぶりだ。自由席のところを早めに並んで最前列の席に陣取ったのを気付いていたかなあ。
 それはそれとして、やはり本職の師匠の姿は一味違う。感心したのは噺に入る前のマクラ…時事ネタなどでお客さんの心を和ませる、本題に入る前の導入部分だ。ここでお客さんの心を掴んで噺に入る。これはプロレスの試合もそうだし、我々マスコミにも必要なこと。
 
 レスラーがいきなり大技を見せても、お客はウンともスンとも言わない。そこに持って行くまでの組み立てが大切なのだ。我々の仕事の場合は、いかに記事に興味を持ってもらえるかということになる。この日の楽太郎師匠の演題は古典落語だったが、今の時流に沿ったネタから巧く引っ張っていた。例えば、我々がレトロな企画をやる場合にも、今と結びつけながら若いファンにも興味を持ってもらえるように考える。単なるレトロ企画では懐古趣味に終わってしまうからだ。そういう意味で楽太郎師匠、いろいろ勉強させてもらいました!
 ところでお詫びをひとつ。プロレスコラムは水曜日更新ですが、実は書き終えていたものの、管理人にメールするのを忘れて、昨日は更新できませんでした。今晩未明に更新の予定なので、ぜひ、読んでください。テーマは前田&船木のBMLからの離脱についてです。
 

険しき王道…

 昨日は後楽園ホールでキングスロード旗揚げ第2戦。主催者発表で観衆は950人…寂しい入りだった。これが現実である。王道を掲げてはいるものの、所属選手は宮本、相島、高西の3人だけ。どうしても外の人間に頼らざるを得ず、王道というカラーを出すのは難しい。越中と後藤の全日本・砧道場組が22年ぶりにタッグを組んだが、それぞれに自分のカラーを持っていて、それを貫いたがために王道ファイトとは言い難かった。王道を意識してファイトしていたと感じられたのは長井満也、そしてメインの宮本VS大森だけだった。
 若きエースの宮本は辛い立場だ。実績がなく、どうしても若手レスラーのイメージだから、何を言っても、何をやっても説得力に欠けるのだ。だが、試合は良かったと思う。そして大森の男気というものを感じた。大森は試合後にこう言った。
「宮本の覚悟は伝わりました。気持ちは凄く感じるんだけど、それが技に乗っていない。それが乗った時には凄い爆発力になると思うね。それは、ふとしたキッカケじゃないかな。王道…僕には、彼と試合をやってもやんなくても、何であるかはわからないと思います。ただ、彼には頑張ってほしい。伴っている、伴っていないは別として、王道って胸張ってる人間はマット界の中で彼ひとりだけなんだから。言ったら凄いってもんじゃないけど、認める部分はありますよ。今日は宮本の技を受けてたって? スカす気はないですね。僕の育った環境では、胸を横にズラしてよけるっていうのはなかったですから。それを馬場さんに教わりましたから」。
 大森もやはり馬場チルドレンだった。そして、それを追いかける宮本は、これまで接点がなくても大森にとっては弟弟子なんだろう。そのコメントは愛情溢れるものだった。そして大森は「キングスロードをどう思いますか?」という質問にこう答えた。
「それは皆さんが思っている通りだと思いますよ。僕は最後、王道って胸張っている宮本が出てきて締めればそれでいいと思う。所属選手が少ない中での今の状況の揚げ足を取る気は、僕はないです。どうにかなることなら、揚げ足取って言いますけど、どうしようもないこともある。そのどうしようもないことの揚げ足を取るというのは、僕はできないです」。
 大森はキングスロードの抱える問題を衝きつつも、思いやりのある言葉に終始した。これが大森隆男の人間性なのだ。
 ハッキリ言ってキングスロードの今後は厳しい。しかし王道を掲げた以上は後戻りできない。そして関係者は注目している。ケロちゃん、新日本の草間前社長の顔も客席にあった。次回は4月9日の後楽園…ここが踏ん張りどころだ。