石沢常光とケンドー・カシン

 昨日のヒーローズでケンドー・カシンこと石沢常光が柔道出身の秋山成勲と戦って敗れた。またまた総合でプロレスラーが負けたわけで、批判の声も大きかったことだろう。
 だが、私は個人的には久々に“石沢の顔”を見ることができて単純に懐かしさを覚えていた。石沢とカシンは本当に別人。石沢は礼儀正しい男だが、カシンは訳のわからない男。ここ数年間はカシンの顔がほとんどだったから、やりにくくてしょうがなかった。私が最後に“石沢”に会ったのは一昨年の5月30日。偶然、同じ新幹線に乗っていて、新神戸の駅でバッタリ。一緒にタクシーに乗って会場に向かったのだ。
「イッシーに会うのは久しぶりだね。やっと話ができるよ」
と言うと、石沢はニコニコと笑い、タクシーの中では当時の全日本の状況を話してくれた。私はその時にカシンの心が全日本から離れているを薄々、感じ取った。
 あれ以来、私は石沢に会っていないことになる。その後に会っているのは、すべてカシンなのだ。果たして今度はいつ、石沢常光に会えるのか?

坂口道場

 昨日は4月上旬に発売されるムック本の取材で坂口道場に行った。すると、バッタリと後藤達俊とご対面。坂口さんに聞いたところ、新日本の選手はもちろん、新日本を離れてフリーになった選手、新日本以外の団体の選手も練習しに来るという。「えっ、あの人も!?」という名前も聞いたが、書いてしまうと練習に来辛くなるだろうから、敢えて伏せさせてもらおう。
「ウチは団体に関係なく、誰でも練習に来ていいからね。中には道場がなくて練習したくてもできない団体の選手もいる。そういう人もドンドン利用してくれればいいんだよ」
 と坂口さん。団体の垣根を取り払った選手の交流というのは、坂口道場設立の趣旨でもあった。こんな時代だからこそ、こうした場が必要なのだ。
 そして夕方からは子供たちの柔道教室が。みんなニコニコ、楽しそうにやっている。こうやって楽しみながら体を動かし、体と心を鍛えるのは実にいいことだと思う。この光景を見て、改めて坂口さんが道場をやりたかった気持ちを理解できたような気がした。それにしても…坂口さんはいつまで経っても若い!

風雲急!

 昨日の午後4時過ぎにノアの釜山ツアーから帰国。成田空港で東スポを買ったら、裏一面でBMLの上井プロデューサーが3・19両国における棚橋VS柴田をボイコットの記事。とうとうやったか…。これを受けて3時から新日本で長州が会見を行ない、4時からは上井さんが3・22後楽園大会の全カード発表及び、改めて3・19ボイコットの会見をやったという。
 家に戻って荷物だけ置くと『NEWS侍!』の収録へ。ゲストはタイムリーにも上井さんである。番組中、限られた時間の中で上井さんにできるだけ喋ってもらおうと思い、私は三田さんに話を振られる以外には、なるべく口を挟まないようにした。
 今回の経緯を私なりに分析すると…BMLの2・26徳島への永田&飯塚の出場の交換条件として新日本側から3・19両国での棚橋VS柴田の要請があり、上井氏は、その条件を飲む気はなかったものの、徳島を成功させるために返答を曖昧にしていたのではないか。そして新日本は上井氏の確認を取らないままカードを発表したのだろう。ここまで上井氏が引き延ばしたのは、3・22後楽園の話題が3・19問題で打ち消されないようにするため。全カードが決定したことで、ようやくボイコット宣言したのである。
 さて、今回の件についての私の見解だが、確かに今回の棚橋VS柴田は唐突だったように思う。BMLファンの間では「やっぱり上井は新日本とデキている。柴田を売るのか?」という批判も少なくなかった。だが、ここにきてのカード消滅はファン不在。これが一番、まずい。このカードを目的にチケットを買ったファンもいるはずなのだ。ここから両団体が、どう落としどころを見つけるか? そして棚橋、柴田の気持ちは? 両団体の思惑が平行線のままに放置されては絶対に駄目だ。長州と上井氏の“仕掛け人”としての腕の見せどころだと思うのだが…。

日本と同じ!?

 今日はホテルで原稿書き。せっかく釜山にいるのに、街歩きもできずに部屋の中。辛うじて夕飯はホテルの近くにある大衆食堂でソジュ(韓国焼酎)をチビチビやりながら石焼ビビンバを食べることができた。韓国の食事でいいところはキムチやナムル、チヂミなどのおかずが沢山ついてくるところ。
 でも、これじゃあ日本国内の出張とほとんど変わりないじゃん!

 なぜか釜山!

9日、10日とダイアリーを更新できなかったが、何と今、私は韓国の釜山にいる。これまでソウルには4回行ったことがあるけれど、釜山は初めて。もちろん遊びではなく仕事。秋山準&田上明&金丸義信のファンと行く釜山ツアーに今日から合流したのである。
 ツアー自体は10日出発だったが、10日は全日本の大田区大会のテレビ解説があったため、1日遅れて合流。今、昼間の取材を終えてホテルの部屋に戻ってきたところだが、あと30分したらロビーに集合だ。
 明日、この取材の原稿と写真を週刊ゴング編集部にメールし、さらに他社の終わっていない仕事もやらなければいけないから1日中、ホテルに缶詰になりそう。これだったら、日本での出張とまるっきり変わらないね(苦笑)。せめて美味しいものぐらいは食べたいものだが…。
 それにしても、久々にタマちゃん(田上)とゆっくり話をしたら面白かった。出てくるのは、酒宴で天龍さんにヒドイ目に遭わされた話や輪島(大士)さんの話などなど。アキちゃん(秋山)とマル(金丸)は笑って聞くしかない。そう、昔の全日本はスゴかったんです!

メンテナンス

 我々の生活は不健康極まりない。週末になると追い込み作業に追われて睡眠時間が極端に少なくなるから毎日寝不足と時差ボケ状態になり、当然、食事の時間もメチャクチャになる。そして運動不足。ずっと座ってパソコンを打っているから目は疲れるし、肩は凝るし、腰は痛くなるし…。
 腰は90年にギックリ腰をやってから持病となり、疲れが溜まると痛くなってくるから始末に終えない。家にはマッサージチェアもあるし、家の近くにある接骨院の常連さんになってしまった。ここはプロレス・ファンの先生が多いから、本当に良くしてくれて助かっている。さらに最近、妻が運動不足解消用にステッパーを買ってきてくれた(これはほとんど使っていないが…)。
 
 とにかく何をやるにも体が第一。メンテナンスが必要なのだ。朝と夜にはノニ、香酢、ウコン、マカ、ビタミンのサプリメントを摂取。ベテラン・レスラーではないが、このトシになると、まず仕事をやるためにベストな体調を作ることが勝負になってくる。さあ、これから接骨院に行かなくちゃ! 明日から忙しくなりそうだからね。

テレビの効果

 今、私はGAORAの全日本プロレス中継の解説者、サムライTV『NEWS侍!』月曜日に準レギュラー的に出演させてもらっているが、そのお陰で「GAORA、見てますよ。TARUが放送席を襲って、いつも大変ですね」とか「月曜の『NEWS侍!』、いつも見てます」とかファンの人に声をかけられることが多い。特に地方の会場でその率が高い。
 これってフリーランスの今の私の立場からしたら有り難い。やはり名前と顔が知られてナンボというのがあるからだ。それによって仕事のチャンスが増えているのは確かなのだ。やはり知名度というのは大きな武器になる。
 今のプロレスに必要なのもテレビ。私の場合は、マニアに知られるだけでもいいわけだが、プロレス、プロレスラーは世間一般にアピールしなければならない。となると、やはり地上波のいい時間帯のテレビが欲しい。それがあれば、今、業界の人間はこれほど苦労していないだろう。私が子供の頃は新日本も全日本もいい時間帯でテレビがあったから、何か起こると翌日には学校で話題になっていた。今、子供たちが気軽に、あるいは偶然にプロレスに接する機会がないというのが一番の問題だ。

クォリティの高さを提供したノア武道館

 昨日のノア武道館は秋山×鈴木=GHC戦、小橋×KENTA、三沢×森嶋、田上×丸藤、力皇×小川の5大シングル&GHCジュニア・タッグ(金丸&杉浦VS日高&藤田)の6大決戦がウリ。
 正直、シングルが並ぶのはリスクが伴う。下手をするとお客さんが飽きてしまうからだ。ところがどれも好試合だった。スタートの力皇×小川は、小川がトリッキーな戦法で力皇をキリキリ舞いさせ、丸藤は対ヘビー級用の戦術を練りに練って田上を攻略した。森嶋は、まるでハンセン&ベイダー&ゴディをミックスさせたような超ド級のパワーを爆発させて三沢に迫り、三沢はその攻撃をすべて受け止めて、懐の深さと最後は真のトップの怖さを見せつけて事実上のKO勝ちをモノにした。割を食ったのは小橋×KENTA。ファンが求めるレベルが高過ぎて、実際は悪くなかったのだが、他のシングルマッチよりはボルテージが落ちてしまったのである。GHCタッグではゼロワンMAXの日高&藤田がベルトを奪取。昨年のベスト・タッグチームの実力をノア・ファンに知らしめた。メインの秋山×鈴木は、ここに至までの話題のトッピングを考えると意外にも技の数を抑えた意地と意地のシンプルな勝負に。他の試合では多くの技が飛び交っていただけに、頭脳派の2人は敢えて技ではない試合をしたのかもしれない。
 いずれにせよ、それぞれに試合のカラーが違うから飽きることはなかった。今回の武道館は派手なカードこそなかったが、ノアのクォリティの高さを証明するもの。内容に絶対の自信を持っているからこそのマッチメークだった。やはりノアは今の混迷極める日本プロレス界にあって、砦になっていると実感!

ベタで熱い全日本

 今日は全日本・後楽園でGAORAの解説→ノア武道館の週刊ゴング追い込み作業。時間的余裕がないので、ノアについては明日書くとして、今日は全日本だ。
 この『HOLD OUT TOUR』は松本で開幕したため、今日が初めてだったが、相変わらずリング上は活況を呈している。RODはマット・モーガンの加入、ケアとディーロの和解で盛り返しつつあるし、吉江の参戦で厚みが出てきた。曙、ジャマール、バーナードの離脱ショックを感じさせないところはさすがだ。
 メインの小島VS諏訪魔はパッケージのひとつだった。途中、TARUが強引にレフェリーに扮して小島に不利なレフェリングをし、ようやく京平さんが入ってきたと思ったら、もはや小島に盛り返す力は残っていなかった。試合に敗れ、なおもVMに痛ぶられる小島。そこで武藤が救出に入り、小島と握手…という瞬間に毒霧噴射!すでに3・10大田区での小島VSムタ三冠戦のプロローグがスタートしたというわけ。徹底的にベタな演出をするのが全日本の手法。ファンもそれを支持している。ただ、あまりにも三冠王者・小島に対するリスペクトがないような気もするのだが…。
 この日、感心したのは右手中指の付け根を粉砕骨折しながらも試合に出場しているTAKA。手術して皮膚から針金が露出している状態にもかかわらず、右手をガチガチに固めてのファイトだ。それでもRODタイムもこなして悲壮感を人に感じさせない。これぞプロ根性である。

新日本3月シリーズ開幕

 今日は久喜市総合体育館で新日本の3月シリーズが開幕。取材した感想は「やっと地に足が着いてきた」という感じだ。ちゃんと3・11名古屋、3・19両国に向かっての流れができていたのである。
 3試合目ではタイガー&サムライ&田口のチャンピオン3人が揃い踏みし、稔&ブラック&後藤と対戦。CTU側にしてみれば2・19両国のリベンジマッチであり、名古屋で行なわれるタイガーVS稔のIWGPジュニア戦の前哨戦でもある。タイガーを下した稔は、
「投げっ放しタイガー・スープレックスからの後頭部へのキック…名付けて“迷子の子猫ちゃん”に磨きをかける。頭にダメージを受けた化け猫は名古屋の会場をうろついて迷子になる」
 と宣言。稔もまた、プロレス頭を持った男だけに期待して良さそうだ。
 セミで山本が首固めながらも長州からフォールを奪ったのも面白い材料。それが“まぐれ”に見えないところに今の山本の勢いがある。
 メインでは曙とバーナードのスーパーヘビー級対決が会場を沸かせた。これは全日本でも名物カードだっただけに面白くないわけがないのだ。今は屁理屈をこねるより、お客さんを満足させることが第一。スタイル云々ではなく、今の事実上の新日本のエースは曙だと断言できる。
 そうそう、新日本と契約を更改した金本&井上と対戦した邪道がこんなことを言っていた。
「金本が残ろうが辞めようが知ったこっちゃないですよ。俺は個人的感情をリングに持ち込まないから。組まれたら誰とでもやる。日本人…特に新日本のリングは個人的感情が渦巻いているけど、俺は私的感情を抜きにして仕事は仕事でキチンとやるから。まあ、金本と井上? 彼らをベビーフェイスに育てたのは邪道と外道だから。あのクラスのスターだったら、俺と兄弟(外道)なら半年で作れるよ」
 考えてみたら、今の新日本の中では、邪道はベテランの部類に入るようになった。それにしても論客になったなあ。