インディー・サミット

 今日、後楽園ホールにおいて日本スポーツ出版社主催で行なわれた7団体参加の『インディー・サミット』は素直にいい大会だったと思う。ハッピーな客席、楽しそうに…意欲的に試合に取り組む選手たち、高木三四郎以下、舞台裏でも一生懸命に働く各団体の幹部。そんな光景を見たら、何も異論を挟む余地はない。
 10年前、私はベースボール・マガジン社主催の東京ドーム興行『夢の懸け橋』に異論を唱えたが、今回の興行ではプロレス団体ではない第三者が潤滑油になることで実現できるものがあるということを知った。
 さて、これから週刊ゴングで大日本VSアパッチ=蛍光灯デスマッチのカラー・グラビア、巻頭のリポートを書かなければならない。グラビアでは伊東らの心意気を伝え、巻頭読物では、このダイアリーと重複してしまうかもしれないが、素直に感じたことを書くつもり。興味のある方は来週の週刊ゴングを読んでください。

ジャマールの涙

 昨日は大田区体育館で全日本プロレスの年内最終戦。平日開催、不便な会場にもかかわらず超満員札止めの3700人を動員した。これは、ROD、ブードゥー・マーダーズを柱とした今年の全日本の路線がファンに支持されてきたという証明だろう。
 さて注目は最強タッグ優勝戦よりも、ジャマールの全日本離脱→WWE復帰である。試合前、客入れしていない会場で、客席に座って遠くを見つめるジャマール。そこにはいつもの陽気な姿はなかった。だが、大会が始まればプロ。試合前のRODタイムでも陽気に振舞う。ただ、コーナーのエンディングではRODのメンバーと握手し、抱き合っていた。この時点でジャマールの離脱に気付いたファンは何人いただろうか?
 あくまでも、さりげなく日本を去るつもりだったジャマールだったが、やはり感情を抑えることは無理だった。盟友のTAKA、ケアと組んで健介、中嶋、雷陣に勝利した後、ジャマールは「今までありがとう!」と健介、中嶋、雷陣と抱擁を交わし、RODのメンバーとも改めて抱擁。目からは涙が溢れ出た。そしてRODタオルをロープにかけて一礼…私はGAORAの解説席にいたが、思わず目頭が熱くなってしまった。
 03年6月にWWEを解雇されて同年11月に全日本にやってきたジャマール。彼にとって、全日本は新たな人生のスタートだった。リスペクトするグレート・ムタの団体で成功することに賭けていたのだ。当初はヒール色の強いRODにあって、ジャマールは武藤のような誰からも愛されるベビーフェースになれることを夢見ていた。本来は子供好きだが、ヒールのキャラを守ろうとして、子供のファンがサインを求めてきた時には、ちょっと困った顔をしながら、人目のつかない所まで連れて行ってサインしていたことも思い出される。
 やがて新ヒール軍団のブードゥー・マーダーズが出現したことにより、RODはベビーフェース的存在となり、さらには本来の陽気な性格がファンに知られてジャマールは目標としていた人気者になった。きっと全日本マットはジャマールにとって安住の地だったに違いない。
 だが、今回のWWEからのオファー。日本を愛しつつも、より条件が良く、飛躍できる舞台を選択するのがプロの道だ。だがジャマールにとって日本での2年間は、人生の中で大事な時間になっていると信じたい。来年2月、ジャマールはWWEスーパースターズの一員として日本の土を踏む。

本格始動から1年

 去年の9月16日に日本スポーツ出版社を退社した私は、しばらくはリフレッシュ期間としてGAORAの全日本プロレス中継の解説以外は、各方面への挨拶回り、都内近郊のプロレス会場に顔を出す程度でほとんど仕事をしていなかった。10月にはハワイ、11月には韓国に行くなど、約25年の心身の疲れを取ることに専念していた。
 だが、12月4日に私の人生時計の針がまたまた動き出した。1年前の12月4日、私はノアの2005年最終戦の横浜文化体育会館に顔を出した。仕事ではなく、三沢社長に挨拶をするためだ。ところが、ここで天龍のノア参戦という動きが急浮上。実は私は、個人的に2006年には天龍がノアに上がるという情報を掴んでいた。しかし、それは春以降のことで、年明けの1・8日本武道館になるとは夢にも思っていなかった。こうなるとじっとしてはいられない。天龍がノアに上がるのは、私の夢でもあった。このビッグ・ニュースを自分の中に押し込めているわけにはいかなかったのだ。
 大会終了後、私は会場に来ていたゴングの吉川新編集長、木幡次長に私が持っているネタを話し、そのまま家に戻らずに懐かしいゴング編集部に直行し、天龍の電話インタビュー、巻頭記事を一気に書き上げた。実のところ、私は今後もプロレス業界で仕事をしていくことを決めていたものの、その舞台をどうするか思案中だった。ゴング以外の媒体も考えていた。それに本格的に動き出すのは年が明けてからにしようと思っていたのだ。だが、この“天龍、ノア参戦”によって、私は自然な形でゴングで再び仕事をするようになり、また年明けを待たずに本格始動することになってしまった。これも運命だと思う。
 試合後、高山と鈴木みのるが「どうせだから、ノアが嫌がる天龍さんも呼んじゃおうか…」などとコメントしている最中に、ハワイで買ってきたコア・ウッド製のウクレレの携帯ストラップが切れるという不思議なことも起こった。私は、それは「バケーションはもう終わり。そろそろ動き出せよ!」という合図にも感じられた。
 あれから1年…今日12月4日は、またまたノアの年内最終戦の横浜文化体育館大会だ。もちろん、今回も会場に行く。ゴングの取材として。

長州の心は…

 新日本1・4東京ドームの全カードが決定した。現場監督・長州が立てたテーマは新日本VSインディー。新日本を離れ、WJ、リキプロで外の世界を見た長州は、その中で培った人脈でゼロワンMAXから大谷、田中、高岩、耕平、崔、義人、BMLから村上、柴田、アパッチから金村、非道、大日本から関本、リキプロから石井、宇和野を参加させる。これはもう、この3年半のすべてを新日本にぶつけてやろうという気なのだろう。
 いざ、戻ってみたら緊張感のない新日本。「インディーの人間は、こうやって必死に生きているんだ。これでも食らえ!」というのが長州の心境ではないか。恐らく長州は本気で新日本をぶっ潰してやろうと思っている。そして、その一方では「新日本を支える誰かが出てきてくれ!」とも思っているはず。その心は複雑なはずだ。
 ハッキリ言って、今回のドームは地味である。話題性からしたら低い。だが、新日本とインディーのそれぞれの生きざまがぶつかるだけに、これは私にとっては実に見応えのある大会だ。